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社員を突き放せ

トリンプジャパンの元社長、吉越浩一郎氏は、人材育成に悩む経営者からアドバイスを求められると、次のように答えるという。

社員を突き放せ。ホウレンソウ(報告、連絡、相談)なんかやっているから部下が育たないんだ」

細かいことまで上司が指示を与えていては若手が成長する機会を奪ってしまう、とのこと。メンター制度やコーチングなど、いつでも頼れる先輩がいるのはいいが、「自分以外に頼る人間はいない」という修羅場を経験しないままだと成長しない、と論じている。

その通りだと思う。経験学習の調査をしていると、人は「自分だけが頼り」という状況の中で学んでいることがわかる。ただし、突き放してばかりでも人は育たない。考えなければならないことは2つある、と思う。

一つは、キャリアの段階。独り立ちできるようになる3-5年目からは、自分で判断する機会を増やすべきだろう。

二つ目は、メンターやコーチングのあり方。よいメンターやコーチは、後輩や部下に「自分で考えること」を促す。

「社員を突き放す」ことと、「社員を気にかける」ことのバランスをとることが大事だと思う。

出所:日経ビジネス2008.12.15, p124.
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