先日来日していた、
オーガニックの生産者のワインが
非常にコストパフォーマンスが良かったので、紹介したいと思います。
産地は
イタリアのシチリア島北西部トラパニ県マルサラです。
マルサラというと、マルサラ酒を想像する人も多いかと思います。
マルサラ酒はアルコール度数を高めた酒精強化ワインで、甘くて濃厚で、ポルトガルのポートワインやマデイラによく似ています。
一般的には食後酒に飲まれることが多いですが、日本では料理に使われているのをよく目にします。
こうした
酒精強化ワインは、あまり飲まれなくなってきている傾向があります。
ライフスタイルが変わり、食後にゆったりと食後酒を楽しむ習慣が薄れてきていること、食の嗜好のライト化で、濃厚で重たい甘さの強いワインは選ばれにくくなってきていることがあります。
つまり、こうした酒精強化ワインの産地は、どこも危機感を感じています。
そこで、例えば、ポートワインの産地ポルトでは、辛口のスティルワインに力を入れる生産者が増えています。
マルサラに拠点を持つ
「Cantina FINA -カンティーナ・フィーナ」では、2代目になる
若い3兄妹 が力を合わせて
オーガニックのスティルワイン づくりに取り組んでいます。
3兄妹の末っ子
フェデリカと長男の
マルコが来日しました。
マルコは元サッカー選手だそうです。そんな雰囲気ありますね(笑)
マルコとフェデリカの間に次男がいます。次男は今回はシチリアでお留守番です。
1990年代、彼らの
父ブルーノ・フィーノ氏は、イタリアの偉大なエノロゴである
ジャコモ・タキス氏がシチリアでワインづくりを始めた際の醸造アシスタントとなり、ジャコモ氏の傍で20年経験を積んだ人物です。
フィーナ家としては、1995年頃から畑を入手し、ブドウ栽培を行なっていましたが、2002年から自社で瓶詰め、販売を開始しています。
彼らは、
畑を始めた当初からオーガニックに取り組み、現在、自社畑は100haあります。
Miral Bianco 2015 Cantina Fina (Italy, Sichily, IGP Terre Siciliane)
Miral-ミラルとは、アラブ語で“砂漠の花”の意味で、エチケットにも描かれています。
オーガニック。
グリッロ50%、シャルドネ50%のエントリーレベルワイン。
柑橘のニュアンスがあり、飲みやすく、サッパリ。アルコール度数13%。
参考価格:1300円 (以下、価格はすべて税抜です)
Miral Rosso 2015 Cantina Fina (Italy, Sichily, IGP Terre Siciliane)
オーガニック。
ネロ・ダヴォラ50%、シラー50%。アルコール13%。
こちらはエントリーレベルの赤ワイン。やさしい口当たりで、フルーツと酸がジューシーで飲みやすいです。少し華やかな印象もあり、やや冷やして飲んでもOK。
マルコによると、魚に合わせてもいいとか。カツオなどに良さそうです。
参考価格:1300円
FINA Grillo 2015 Cantina Fina (Italy, Sichily, IGT Siciliane)
オーガニック。
グリッロ100%の白ワイン。アルコール13%。
「グリッロはマルサラで大事なブドウのひとつで、ボディがあり、口の中でミネラルと酸のバランスが取れたワインになる。ハーブのヒントがあり、食事に合わせやすい白ワイン」とマルコさん。
ほどよい厚みのあるキレイなフルーツがエレガント。塩っぽいミネラルを感じるのは、海沿いの畑のブドウを使っているからだそう。海沿いの畑のブドウはアルコールが高くなるとか。熟成の80%がステンレスタンクで、20%が樽。
参考価格:1600円(税別)
FINA Chardonnay 2015 Cantina Fina (Italy, Sichily, IGT Siciliane)
オーガニック。
シャルドネ100%。アルコール13.5%。
標高400mの畑のシャルドネをフレンチオークのバリック樽で6カ月熟成。骨格がカッチリしています。冷やしすぎると素っ気ないので、温度コントロールしながら飲むことをオススメします。
参考価格:1600円
FINA Nero d'Avola 2014 Cantina Fina (Italy, Sichily, IGT Siciliane)
オーガニック。
ネロ・ダヴォラ100%。アルコール13.5%。
標高300mの畑のブドウを使用し、熟成は大樽で6カ月。
果実味豊かで、野生的なスパイシーさ、華やかな甘さがありますが、軽やかさもあります。タンニンがソフトで、全体のバランスがよく取れています。
参考価格:1600円
FINA Syrah 2014 Cantina Fina (Italy, Sichily, IGT Siciliane)
オーガニック。
シラー100%。アルコール14%。
畑の標高は350m。バリック樽で12カ月熟成させているフルボディタイプ。
スパイシーさは穏やかで、上品な印象です。ボディに厚みがあり、しっかりとした飲みごたえがあるので、肉料理にぴったり。
マルコの一番好きなワインだそうで、オススメのフードペアリングは日本の神戸肉。神戸肉はなかなか手が出ませんが(笑)
参考価格:2000円
シチリアの赤ワインというと、地場ブドウの
ネロ・ダヴォラが有名ですよね。
桑の実、プラム、森の木の実などの香りがしっかりあるのが特徴です。
シチリア各地でネロ・ダヴォラのワインが造られていますが、
トラパニ周辺のネロ・ダヴォラは酸が強めに出るため、他のブドウとのブレンドも多くなります。
フィーナでは65%が国内消費で、輸出は35%。
アジアでは、すでにシンガポール、中国に輸出しています。
日本には初上陸ですので、飲んだのも初でしたが、オーガニックで造られ、しっかりしたワインでありながら、価格が非常に手頃なのに驚かされました。
イタリアの評価ガイドでも高いポイントを獲得しています。
これは
本当にコストパフォーマンスが高く、オススメです。
そうそう、マルコさん情報では、
来年からグリッロとネロ・ダヴォラのワインがIGTからDOCに昇格するそうです。
シチリアのワインは、ますます注目が集まりそうです。
輸入元:株式会社ローヤル オブ ジャパン