6月に入ったのに、2月の取材の話ですみませんが、これだけは書いておきたいので、今さらですが取り上げたいと思います。
南アフリカの「シャノン・ヴィンヤーズ(Shannon Vineyards)」から
スチュアート・ダウンズ氏が再来日し、改めてシャノンのワインを紹介しました。
※以前に詳しく書いた記事があります → コチラ
Mr. Stuart Downes Shannon Vineyards(South Africa)
シャノン・ヴィンヤーズは、スチュアート・ダウンズと弟のジェームズ・ダウンズが南アのウエスタン・ケープ州エルギン・ヴァレーに立ち上げたワイナリーです。
ダウンズ兄弟の実家はリンゴや梨の栽培農家でした。
兄のスチュアートはチリの「コノ・スル」で輸出マネージャーとして10年勤め、弟のジェームスは、南アのワイナリーだけでなく、仏ブルゴーニュ、米ナパ、チリなどでも栽培、醸造の経験を積み、兄弟のふるさとである南アでワインをつくろう!と、2000年にブドウの植樹を開始。
南アの銘醸にブドウを供給する栽培家としても有名になりましたが、2007年に初ヴィンテージのワインを瓶詰めし、2008年9月に初リリースすると、すぐに評判となりました。
日本には輸出マネージャーのスチュアートが2009年11月に来日し、初めて紹介してくれました。
その当時のシャノンのワインの印象ですが、ピノ・ノワールは南ア独特のスモーキーなニュアンスがあり、少々粗削りな点も感じましたし、南アのワインにしては価格がちょっとお高い、と思いました。
しかし、久しぶりに飲んでみたところ、ずいぶんと変化を遂げているようです。
Shannon Sanctuary Peak Sauvignon Blanc 2014 (W.O. Elgin)
シャノンではクローン研究に力を入れています。
ソーヴィニヨン・ブランのクローンについては、2009年の来日の時には5つのクローンを栽培しているとスチュワートは言っていましたが、現在は3つに絞ったようです。
自社畑100%。畑の標高は260~300mで、冷涼な地域になります。
このワインは、口いっぱいにその魅力が溢れ、よりボルドースタイルに近くなるよう、11%のセミヨン(100%新樽発酵)をブレンドしています。セミヨンのクローンは1つだそうです。ソーヴィニヨンはステンレスタンク発酵です。
飲んでみると、ソーヴィニヨンらしいハツラツとしたシトラス系、ほのかなトロピカル系のアロマがあり、クリスピーでスパイシーで、少し塩っぽい感じもあります。
このワインなら、魚卵の“イクラ”もいけます。
スチュアートのオススメは、牡蠣。
このソーヴィニヨンは、南アではハイエンドレストランなどでオンリストされているそうですが、価格を見て、意外にも手を出しやすくてビックリ!これはコスパいいです。しかも、以前の価格よりもお安い!アルコール度数13.5%。
(輸入元希望小売価格:2200円、税抜)
Shannon Semillon 2015 (W.O. Elgin)
自社畑100%のセミヨン100%。畑はソーヴィニヨン・ブランと同じ標高260~300mにあり、面積はわずか0.5ha。
冷涼な気候に向くオーストラリアクローンを植えています。
野生酵母で発酵させ(土地の個性が出る、とスチュアートは言います)(フレンチオーク樽100%)、12月に500L樽に移し、10~11カ月熟成させています。オーストラリアクローンは、樽熟により深みが出るとか。2015年は800ケースのみ。
独特のスパイシー感、スモーキーさがあり、フルーツも豊かで凝縮感がありますが、酸の厚みもあり、味わいはかなり辛口です。
ソーヴィニヨンはフレッシュなテイストの料理に合いますが、このセミヨンは、より複雑な料理、まろやかな料理に合わせるといいと思います。アルコール度数は13~13.5%。
(輸入元希望小売価格:3800円、税抜)
Shannon Rockview Ridge Pinot Noir 2014 (W.O. Elgin)
ピノ・ノワールは6ha、自社畑100%。12の区画があり、区画の特性に合わせた4つのフレンチクローンを植え分けています。
収量は、それぞれ19~26hl/haと、かなりの低収量。
手作業で選別後、除梗し、コールドマセラシオン(3~6日)を経て、自然酵母と培養酵母で発酵させます。その後、228Lのフレンチオークバリック樽でMLF後、12カ月熟成(新樽30%)。
このピノ・ノワールは、最良の樽を選別して瓶詰めしており、スチュアートは「色合いは薄く、アルコール度数も低く(13~13.5%)、美しいフルーティーさがあり、よりデリケートでフェミニンなスタイルを好んで選別している」と言います。
なるほど!たしかに色合いがとっても淡いです。
カスタードの甘いアロマがあり、海苔を思わせるニュアンスも感じました。
とても繊細な美しいフルーツがあり、ほわっとやさしいタッチです。
2009年にシャノンのピノ・ノワール2007(ファーストヴィンテージ)を飲んだ時には、力強いスタイルで、まだ若さもあり、まとまりに欠ける感じでしたが、このワインはまったく別物です。価格も手頃になり、いい方向に変わっていると思います。
(輸入元希望小売価格:4500円、税抜)
Shannon Mount Bullet 2011 / 2008(MG) (W.O. Elgin)
マウント・バレットはメルロ100%、3haの単一畑になります。
表土は砂で、その下が粘土層であり、メルロに適している土壌です。
区画は5つあり、5つのクローンを植えています。クローンによっては、収穫時期が10~14日も違ってくるそうです。
2つのフレンチクローンはトラディショナルなスタイルを、3つのイタリアンクローンはセイボリーなキャラクターを与えるとか。
手で選別後、自然酵母で発酵させ、225Lのフレンチオークバリック樽でMLF、20カ月熟成(新樽40%)させています。
アルコール度数は14.5%にもなりますが、酸度が高く、ワインにフレッシュ感を与えるため、バランスの取れたワインになります。
今回は、2011年のレギュラーボトル、2008年のマグナムボトルを試飲しました。
2011年でも6年が経過しているので、いい感じの熟成のニュアンスが出てきています。
スパイシーで、独特のスモーキーさもあり、最初はクセを感じますが、飲んでいるうちに、だんだんとなめらかさ、複雑味が出てきます。
タンニンのキメは細かく、シルクのようなテクスチャーがある一方で、背骨がしっかりとした骨格がキチンとあり、長熟型のワインだということがわかります。
2008年は年数がさらに経過していますが、マグナムボトルですので、熟成の進み方も少しゆっくりです。しかし、伸びやかなボディに包み込まれるような心地よさがあり、長い余韻も楽しめます。
2008年は南アの当たり年だそうですから、セラーキープには最適ですね。
2013年ヴィンテージも同様だそうです。
(輸入元希望小売価格:2011年-4500円、税抜) ※2008年は参考商品
シャノン・ヴィンヤーズのあるエルギンは南アの南西部に位置し、海に近い地域です。
地域全体のブドウ栽培面積は約80haで、18のワイナリーがあるそうです。
ブドウ品種は、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワールが主体で、セミヨンやメルロも、シャノンのおかげで?増えているとか?
冷涼気候なので、自然な酸があり、アルコールが低く、フレッシュでキレイな、クオリティの高いワインが生まれる土地だと言います。
シャノンでは、「ワインは、セラーではなく、畑が一番大事と考え、地球温暖化に向かう今、この冷涼な気候を尊重したワインづくりに取り組んでいる」と、スチュアート。
シャノンが所有する畑は15ha。コンパクトだから集中して畑に力を注げる そうです。
近年、南アのワインは日本でもずいぶんと輸入されるようになり、あちこちで見かけるようになりました。
1000円以下の超お手頃ワインもありますが、シャノン・ヴィンヤーズのワインは、南アのワインガイド『ジョン・プラッターズガイド』で高く評価されているばかりではなく、英国やアメリカのレビューでも、最もエキサイティングな南アワインと評されているクオリティワインです。
南アのワインを探す時、「シャノン・ヴィンヤーズ」は覚えておきたい名前のひとつです。
スチュアートさん、ありがとうございました!
8年前とあまり変わっていないような?若いです(笑)
[参考]
南アの超プレミアムワイン「シャノン・ヴィンヤーズ」(2009年11月)
http://blog.goo.ne.jp/may_w/e/09ee1d2fbb003f8c7a95fe0a1163504b
(輸入元:スマイル)
南アフリカの「シャノン・ヴィンヤーズ(Shannon Vineyards)」から
スチュアート・ダウンズ氏が再来日し、改めてシャノンのワインを紹介しました。
※以前に詳しく書いた記事があります → コチラ
Mr. Stuart Downes Shannon Vineyards(South Africa)
シャノン・ヴィンヤーズは、スチュアート・ダウンズと弟のジェームズ・ダウンズが南アのウエスタン・ケープ州エルギン・ヴァレーに立ち上げたワイナリーです。
ダウンズ兄弟の実家はリンゴや梨の栽培農家でした。
兄のスチュアートはチリの「コノ・スル」で輸出マネージャーとして10年勤め、弟のジェームスは、南アのワイナリーだけでなく、仏ブルゴーニュ、米ナパ、チリなどでも栽培、醸造の経験を積み、兄弟のふるさとである南アでワインをつくろう!と、2000年にブドウの植樹を開始。
南アの銘醸にブドウを供給する栽培家としても有名になりましたが、2007年に初ヴィンテージのワインを瓶詰めし、2008年9月に初リリースすると、すぐに評判となりました。
日本には輸出マネージャーのスチュアートが2009年11月に来日し、初めて紹介してくれました。
その当時のシャノンのワインの印象ですが、ピノ・ノワールは南ア独特のスモーキーなニュアンスがあり、少々粗削りな点も感じましたし、南アのワインにしては価格がちょっとお高い、と思いました。
しかし、久しぶりに飲んでみたところ、ずいぶんと変化を遂げているようです。
Shannon Sanctuary Peak Sauvignon Blanc 2014 (W.O. Elgin)
シャノンではクローン研究に力を入れています。
ソーヴィニヨン・ブランのクローンについては、2009年の来日の時には5つのクローンを栽培しているとスチュワートは言っていましたが、現在は3つに絞ったようです。
自社畑100%。畑の標高は260~300mで、冷涼な地域になります。
このワインは、口いっぱいにその魅力が溢れ、よりボルドースタイルに近くなるよう、11%のセミヨン(100%新樽発酵)をブレンドしています。セミヨンのクローンは1つだそうです。ソーヴィニヨンはステンレスタンク発酵です。
飲んでみると、ソーヴィニヨンらしいハツラツとしたシトラス系、ほのかなトロピカル系のアロマがあり、クリスピーでスパイシーで、少し塩っぽい感じもあります。
このワインなら、魚卵の“イクラ”もいけます。
スチュアートのオススメは、牡蠣。
このソーヴィニヨンは、南アではハイエンドレストランなどでオンリストされているそうですが、価格を見て、意外にも手を出しやすくてビックリ!これはコスパいいです。しかも、以前の価格よりもお安い!アルコール度数13.5%。
(輸入元希望小売価格:2200円、税抜)
Shannon Semillon 2015 (W.O. Elgin)
自社畑100%のセミヨン100%。畑はソーヴィニヨン・ブランと同じ標高260~300mにあり、面積はわずか0.5ha。
冷涼な気候に向くオーストラリアクローンを植えています。
野生酵母で発酵させ(土地の個性が出る、とスチュアートは言います)(フレンチオーク樽100%)、12月に500L樽に移し、10~11カ月熟成させています。オーストラリアクローンは、樽熟により深みが出るとか。2015年は800ケースのみ。
独特のスパイシー感、スモーキーさがあり、フルーツも豊かで凝縮感がありますが、酸の厚みもあり、味わいはかなり辛口です。
ソーヴィニヨンはフレッシュなテイストの料理に合いますが、このセミヨンは、より複雑な料理、まろやかな料理に合わせるといいと思います。アルコール度数は13~13.5%。
(輸入元希望小売価格:3800円、税抜)
Shannon Rockview Ridge Pinot Noir 2014 (W.O. Elgin)
ピノ・ノワールは6ha、自社畑100%。12の区画があり、区画の特性に合わせた4つのフレンチクローンを植え分けています。
収量は、それぞれ19~26hl/haと、かなりの低収量。
手作業で選別後、除梗し、コールドマセラシオン(3~6日)を経て、自然酵母と培養酵母で発酵させます。その後、228Lのフレンチオークバリック樽でMLF後、12カ月熟成(新樽30%)。
このピノ・ノワールは、最良の樽を選別して瓶詰めしており、スチュアートは「色合いは薄く、アルコール度数も低く(13~13.5%)、美しいフルーティーさがあり、よりデリケートでフェミニンなスタイルを好んで選別している」と言います。
なるほど!たしかに色合いがとっても淡いです。
カスタードの甘いアロマがあり、海苔を思わせるニュアンスも感じました。
とても繊細な美しいフルーツがあり、ほわっとやさしいタッチです。
2009年にシャノンのピノ・ノワール2007(ファーストヴィンテージ)を飲んだ時には、力強いスタイルで、まだ若さもあり、まとまりに欠ける感じでしたが、このワインはまったく別物です。価格も手頃になり、いい方向に変わっていると思います。
(輸入元希望小売価格:4500円、税抜)
Shannon Mount Bullet 2011 / 2008(MG) (W.O. Elgin)
マウント・バレットはメルロ100%、3haの単一畑になります。
表土は砂で、その下が粘土層であり、メルロに適している土壌です。
区画は5つあり、5つのクローンを植えています。クローンによっては、収穫時期が10~14日も違ってくるそうです。
2つのフレンチクローンはトラディショナルなスタイルを、3つのイタリアンクローンはセイボリーなキャラクターを与えるとか。
手で選別後、自然酵母で発酵させ、225Lのフレンチオークバリック樽でMLF、20カ月熟成(新樽40%)させています。
アルコール度数は14.5%にもなりますが、酸度が高く、ワインにフレッシュ感を与えるため、バランスの取れたワインになります。
今回は、2011年のレギュラーボトル、2008年のマグナムボトルを試飲しました。
2011年でも6年が経過しているので、いい感じの熟成のニュアンスが出てきています。
スパイシーで、独特のスモーキーさもあり、最初はクセを感じますが、飲んでいるうちに、だんだんとなめらかさ、複雑味が出てきます。
タンニンのキメは細かく、シルクのようなテクスチャーがある一方で、背骨がしっかりとした骨格がキチンとあり、長熟型のワインだということがわかります。
2008年は年数がさらに経過していますが、マグナムボトルですので、熟成の進み方も少しゆっくりです。しかし、伸びやかなボディに包み込まれるような心地よさがあり、長い余韻も楽しめます。
2008年は南アの当たり年だそうですから、セラーキープには最適ですね。
2013年ヴィンテージも同様だそうです。
(輸入元希望小売価格:2011年-4500円、税抜) ※2008年は参考商品
シャノン・ヴィンヤーズのあるエルギンは南アの南西部に位置し、海に近い地域です。
地域全体のブドウ栽培面積は約80haで、18のワイナリーがあるそうです。
ブドウ品種は、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワールが主体で、セミヨンやメルロも、シャノンのおかげで?増えているとか?
冷涼気候なので、自然な酸があり、アルコールが低く、フレッシュでキレイな、クオリティの高いワインが生まれる土地だと言います。
シャノンでは、「ワインは、セラーではなく、畑が一番大事と考え、地球温暖化に向かう今、この冷涼な気候を尊重したワインづくりに取り組んでいる」と、スチュアート。
シャノンが所有する畑は15ha。コンパクトだから集中して畑に力を注げる そうです。
近年、南アのワインは日本でもずいぶんと輸入されるようになり、あちこちで見かけるようになりました。
1000円以下の超お手頃ワインもありますが、シャノン・ヴィンヤーズのワインは、南アのワインガイド『ジョン・プラッターズガイド』で高く評価されているばかりではなく、英国やアメリカのレビューでも、最もエキサイティングな南アワインと評されているクオリティワインです。
南アのワインを探す時、「シャノン・ヴィンヤーズ」は覚えておきたい名前のひとつです。
スチュアートさん、ありがとうございました!
8年前とあまり変わっていないような?若いです(笑)
[参考]
南アの超プレミアムワイン「シャノン・ヴィンヤーズ」(2009年11月)
http://blog.goo.ne.jp/may_w/e/09ee1d2fbb003f8c7a95fe0a1163504b
(輸入元:スマイル)
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