ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

イタリアの土着品種ワインが面白い!

2011-12-16 15:48:12 | ワイン&酒
この秋に出かけた、イタリアワイン専門のインポーターの試飲会で、あ、これイイ!面白い!美味しい!と思って記録に収めたワインを見直していたら、どれもイタリアの土着品種ブドウからつくられたものでした。

その土地の気候や土壌をひっくるめ、ワインを生み出す環境を総合した“テロワール”という言葉があり、ワインを語る際には、よくこの言葉が使われますが、地元ならではのブドウ品種もテロワールのひとつに違いありません。

カベルネやメルロ、シャルドネといった国際品種のブドウからつくられるワインは知名度も人気もあり、国際市場に進出する際に“グローバルスタンダード”とされましたが、このところは、国際品種よりもその土地ならではのブドウ(土着品種、ローカル品種)からつくられるワインに興味を示す人が非常に増えてきたように感じます。



土着品種の中には、栽培に手間がかかるとか、ブドウの個性が強すぎるとか、収量が少ないからとか、さまざまな理由で消えかかっているもの、消滅してしまったものもあります。
今までは、そのマイナス面だけを見ていましたが、近年はその個性を重視し、復活させる動きがイタリアの各ワイン生産地で見られます。

消費者の立場から見れば、どこにでもありそうなワインよりも、その土地でしか育たないブドウでつくられたユニークなワインの方に興味を持つのは当然ですよね?

イタリア は、それこそ、土着品種の宝庫
数え切れないほどのブドウ品種がありますが、今回はその一部だけ紹介します。

では、北のピエモンテから南下していきましょう



Langhe Freisa 2010 Adriano Marco e Vittorio

ピエモンテ州の土着ブドウであるフレイザ種からつくられた、微発泡の赤ワインです。
フレイザ種で長期熟成型のワインがつくられることもありますが、色調が薄いので、ラズベリーやスミレの風味のする軽快な発泡タイプのワインになることが多くなります。

アドリアーノ社がつくるこのワインは、ブドウらしい果実の風味が前面に出ていて、少し野生的なニュアンスもあり、しかも発泡しているので、非常にユニークで、飲んで楽しいワインです。
エチケットもピンクでカワイイし、ワインの色も赤なので、女子会にオススメしたいですね。
(輸入元希望小売価格 2,400円)



左)Riviera Ligure di Ponente Pigato 2009 Punta Crena
右)Riviera Ligure di Ponente Vermentino2009 Punta Crena

白ワイン好きの私が、これは素晴らしい!と思ったのが、リグーリア州のPunta Crena(プンタ・クレーナ社)のDOC Riviera Ligure di Ponente 2アイテム。

リグーリアはピエモンテ州の南、ティレニア海に面する小さな州で、ワイン生産量も非常に少ないため、リグーリアのワインは日本ではなかなか見つけることが難しいかもしれません。
しかし、イタリア最大の港ジェノヴァが州都で、フランスのコート・ダジュールから続くリヴィエラ海岸、音楽祭で有名なサン・レモ、ポルトフィーノなどの洗練された観光地もあり、そこに集まる人の胃袋を満足させる美食との縁は切っても切れません。
海に面しているので魚介料理が多く、それに合わせる白ワインが有名です。

上で紹介しているヴェルメンティーノはリグーリアだけに限らず、また、フランスでも栽培が広がっている白ブドウ品種ですが、ピガートはリグーリアの土着品種になります。

プンタ・クレーナのオーナーであるルフィーノ氏は、ミラノ大学醸造学部との提携で新しいピガート種の苗木を生み出した人物。彼のピガートのワインは、果実味と酸のバランスがよく、ピュアでエレガントな味わいです。

ヴェルメンティーノは、スーッと自然に入ってきますが、艶やかさがあり、品があります。
どちらもクリーンなミネラル感がありますが、海に面した段々畑でつくられているからでしょうか。
(各3,300円)



Dindarella 2006 Aldeghert

リグーリア州の東に位置するヴェネト州のアルデリーゲ社のつくる赤ワインです。
ディンダレッラがブドウ品種名で、アマローネにごく少量使われることはありますが、これ単体だけでワインをつくることはない品種です。
このディンダレッラを100%使用してつくったIGTワインです。ブドウの収穫後、数ヶ月トレーで房を寝かせておき、11月下旬から12月下旬に醸造が始まります。

飲んでみると、なんとも不思議な風味がします。それでいて、ワインとしてはエレガント。これは面白い!1本をじっくり飲んでみたいと思ったワインでした。(6,000円)



左)Ciro Rosso Classico Riserva “DURI” 2007 Scala (DOC)
中)Calabria Ross “Briseo” 2008 Scala (IGT)
右)Ciro Rosso Classico Siperiore 2008 Scala (DOC)

イタリアのブーツのつま先、カラブリア州のワイナリーSCALA(スカラ社)のワインで、両端の2本がガリオッポ100%、真ん中がガリオッポとマリオッコ各50%のブレンド。

私がイイナと思ったのは、ガリオッポ種(Gaglioppo)100%の2本。
ギリシャ原産とされ、乾いた土地でもしっかり育ち、糖度も高く、男性的なワインになるといわれる品種です。

スペリオーレは、まだタンニンが若々しいながらも果実の甘さがあり、コスパ的にも充分おいしい!(2,300円)
リゼルヴァ“ドゥリ”は、非常に凝縮感があり、果実のエキス分、酸、タンニンがしっかりし、複雑味があり、飲みごたえのある点が気に入りました(3,300円)
マリオッポ種が半分は行った“プリセオ”は、少々ビターなニュアンスを感じました(マリオッポ種の個性か?)(3,000円)



“LUI” Puglia Rosso 2008 Cantina Albea

ブーツのカカト、プーリア州のアルベア社がつくるウーヴァ・ディ・トロイア種(Uva di Troia)100%の赤ワインで、3種類の小樽で8カ月熟成させています。
ウーヴァ・ディ・トロイアは南イタリア、特にプーリアで見られる品種ですが、あまり人気がないため、減少の一途を辿っているのですが・・・

色濃く、しっかりした骨格を持つ濃厚なワインですが、ボディはなめらかで、独特の野性味があります。これも飲んでいくうちにどんどん変化していきそうですから、腰を落ち着けて飲んでみたいと思いました(5,800円)。



どれも国際品種にはない個性があり、飲んでみないとわからないワクワク感を持たせてくれるワインでした。
今回はごく一部しか紹介できませんでしたが、イタリアだけにとどまらず、フランスにもスペインにも、その土地ならではの土着ブドウからつくられたワインがありますので、気になるブドウ品種名を見つけたら、ぜひぜひチャレンジしてみてください


(輸入元:株式会社 MONACA)



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