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ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

日本遺産「牛久シャトー」が地元少年院とコラボ!

2020-07-28 12:37:01 | ワイン&酒

先日、文化庁が令和2年度「日本遺産(Japan Heritage)」として発表した中に、

「日本ワイン 140 年史~国産ブドウで醸造する和文化の結晶~」が入っていることを紹介しました。

※紹介記事は コチラ

 

申請者は茨城県牛久市山梨県甲州市で、認定されたストーリーの中には、牛久市にある「牛久シャトー」が含まれています。

 

先週、この牛久シャトーに関するまた別の新しいニュースが取り上げられていました。

それは、牛久シャトーと地元の少年院がコラボし、ワイン造りへの取り組みを始めた、というもの。

 

牛久市の少年院「茨城農芸学院」の敷地内でブドウ栽培を行ない、そのブドウを牛久シャトー内の醸造所で仕込んでワインを造る、という計画です。

同少年院の16~20歳の約60人の少年たちが栽培するブドウ樹の数は50本。

うち、一部はビニールハウス内でも育てるそうです。

 

その目的は、業績不振の牛久シャトーを救う、ということです。

そこで、改めて牛久シャトーについて調べてみると、色々なことがわかりました。

 

 

牛久シャトーは、1903(明治36)年、神谷傳兵衛が茨城県牛久市に開設した日本初の本格的ワイン醸造場で、2008年には国の重要文化財に指定され、2020年には日本遺産(Japan Heritage)にも認定されました。

 

私も何度か訪問したことがありますが、重要文化財に指定されたシャトーカミヤ旧醸造場施設3棟をはじめ、歴史を感じさせる素晴らしい施設があり、見学できるものもあります。

レストラン、BBQガーデン、ショップ、ビールのブルワリーなどもあり、人気スポットだったはずですが、業績不振だったとは…

 

それが、2018年12月末、製造施設(牛久ワイナリー、牛久ブルワリー)と飲食・物販施設を閉鎖しました。

ただし、神谷傳兵衛記念館などの見学施設を含む園内の散策は可能でした。

 

つまり、牛久シャトー内では、2018年12月末以降のワイン醸造が中止されました。

なんとももったいない…

 

そこで動き出したのが、地元の茨城県牛久市です。

 

翌2019年3月、牛久シャトーを所有するオエノンホールディングスと牛久市は、重要文化財シャトーカミヤ旧醸造場施設の保存活用や牛久シャトーの公開活用などで包括連携協定を締結しました。

 

2019年7月には、国指定重要文化財「シャトーカミヤ旧醸造場施設」を含む牛久シャトー全体を賃貸借する方向で基本合意し、牛久シャトー内の事務所に、牛久市の文化財担当部署がおかれることになりました。

この合意には、かつての賑わいを取り戻す目的も含まれていました。

 

2019年12月1日付で、国指定重要文化財「シャトーカミヤ旧醸造場施設」を含む牛久シャトー全体(約6万5,000平方メートル)の賃貸借契約が、オエノンホールディングスと茨城県牛久市の間で締結されました。

契約期間は、2019年12月1日から2039年11月30日までの20年間。

賃料は、月額462万円。

 

2020年1月6日、牛久市がほぼ全額出資した市支出法人「牛久シャトー株式会社」を設立。

代表取締役社長には、オエノンホールディングスのグループ会社である合同酒精株式会社の元営業推進部長兼物販部長、川口孝太郎氏が就任。

川口氏は、牛久シャトーにも長年勤務されていました。

 

新生「牛久シャトー」再生の道のひとつが、「日本遺産(Japan Heritage)」の登録申請です。

先述したように、こちらは2020年6月19日に日本遺産に認定されました。

 

また別の方法として提案されたのが、「若者との協業」で、牛久市長の思い付きからだそうです。

地元の少年院とコラボしてブドウを栽培し、そのブドウを牛久シャトーでワインにできれば、という構想です。

少年院でのブドウ栽培はほかでもあるようですが、ワイン用のブドウ栽培は、全国48箇所にある少年院の中では、牛久市の「茨城農芸学院」が初めてだそうです。

 

 

なお、現在の「牛久シャトー」ですが、2018年末で閉鎖されたレストランやショップは再開しています。

レストランやショップでは、牛久シャトー内の圃場で収穫されたブドウ100%のワイン「シャトー・デュ・ヴァン メルロー 2019」「シャトー・デュ・ヴァン マスカット・ベーリーA2019」などが販売されています。

※「シャトー・デュ・ヴァン マスカット・ベーリーA2019」は2020年7月23日から限定販売

 

あれ?牛久シャトーの製造設備は2018年末に閉鎖されたのでは?

これらのワインは、ブドウを他のワイナリーに運び、委託醸造されたものだそうです。

 

2020年1月に新体制で再スタートし、このコロナ禍の中、レストランやショップは再開することができましたが、次の目標はシャトー内での醸造再開でしょうか。

2020年ヴィンテージから仕込めるか?

 

少年院で栽培されているブドウはまだ収穫できる樹齢ではないようですが、これがワインになる日を期待したいと思います。

 

 

牛久シャトー株式会社

茨城県牛久市中央3-20-1

https://maita37.wixsite.com/ushiku-chateau

 

※神谷傳兵衛記念館とオエノンミュージアムは無料で公開されています

※レストランおよびショップは定休日がありますのでHPで確認してください

 


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