ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

「第1回シャルキュトリコンクール」審査結果発表!

2015-05-28 11:02:31 | おいしい食べもん
日本シャルキュトリ協会 の主催で、シャルキュトリの腕前を競う
「第1回シャルキュトリコンクール」 が開催されました。

※シャルキュトリとは? → 肉の加工食品のこと

その審査結果の発表および授与式が5月27日に「ルヴェ・ソン・ヴェール駒場」(東京都目黒区)にて行われ、取材に行ってきました。

コンクールには「プロ」の部「一般」の部があります。
プロの部は、日本国内においてシャルキュトリを作り、販売している人が対象です。
(レストランや、製造販売店のシェフや職人など)

プロ向けの部のテーマは “パテ・アン・クルート” Pâté en croute
パテをクルート(パイのようなパリッとした皮)で包んで焼いて仕上げたものです。



29名の応募があり、予選では写真とレシピを提出(4月23日)。
決勝に進んだ20名が作品を送り、5月27日に12名の審査員が試食して採点しました。


結果を待つ選手の皆さん

その結果…

1位  岡村 隆明氏  レストラン ル・ミロワール(広島県福山市)

ウサギのパテ・アン・クルート サリエットの香り

2位  塚本 治氏 (セルリアンタワー東急ホテル)

パテ・アン・クルート ソース シュプレーム

3位  永妻 信人氏 (セルリアンタワー東急ホテル クーカーニョ)

パテ・アン・クルート アレキサンドル デュメーヌ風



20名の作品は授賞式後のパーティーの際に試食することができました。


岡村さんの「ウサギのパテ・アン・クルート サリエットの香り」

これは味がよかった!
サリエットはハーブの一種で、英語ではセイボリー。タイムに似たシソ科の植物です。
臭みがあるといわれるウサギを、サリエットを使うことで、クセも臭みもなく、仕上げていたと思います。ややもすると強めに感じる塩加減もちょうどよかったです。

他の選手の作品を見てみると…



パテ・アン・クルートは、だいたい似たような姿をしていますが、中身や外の皮で変化をつけていて、カットした断面で楽しませてくれます。
これは!と目を惹くものもありますが、食べて味がイマイチだとガッカリ。
見た目の美しさも必要だと思いますが、一番の決め手は、やはり“味”ですね。



ドーン!と大きなサイズの作品もありました。
目を惹くので、大人数のパーティーなどに出せば、華やぎそうですね。



ロベール・ボリュー氏
(フランス・シャルキュトリ・ケータリング・食肉加工業連盟会長)
「フランスでは、シャルキュトリは、古いノウハウを持つ食文化のひとつ。シャルキュトリは、すぐに、簡単に食べられる優秀な食材。シャルキュトリは400種あると言われているが、今回は、そのうちのひとつ“パテ・アン・クルート”がテーマ」。



一般の部は、営業目的でシャルキュトリを作っていない人が対象です。
テーマは 「シャルキュトリを使った料理」

12名のエントリーがあり、書類審査(4月6日締切)を経た9名が決勝に進出。
4月26日に決勝大会が服部栄養専門学校にて行われました。

その結果…

1位 山本 眞紀氏「ホーム・スイート・ハムパイ 」
2位 木村 滋子氏 「春キャベツとレバーのメンチカツ シャルキュトリ風」
3位 依藤 亜弓氏「パテのタタン風 オリエンタル風味」


こちらは、作品を見ることができませんでしたが、審査員のひとり、服部幸應さんの講評を聞くと、見た目も味も、かなりハイレベルだったようです。

「家庭の料理の中に自然にシャルキュトリを使ったメニュー。一工夫されていて、魅力あるもの。出された時に、おおっ!という感動を審査員に与えたもの、さらに、口の中に入っていいマッチングを見せたものが3位までに入った」(服部さん)

※日本シャルキュトリ協会のHPに画像がありました → コチラ



プロの部の優勝:岡村 隆明氏 / 一般の部の優勝:山本 眞紀氏

山本さんの本業は、家庭や出張サービスで教える英語の講師だそうです。



コンクールの審査員として初来日した ジル・ヴェロ氏

パリ6区で人気の「メゾン・ヴェロ」3代目のシャルキュティエ。
今回は、デモンストレーションや講習会も行なったそうです。

「日本のエレガントさ、もてなしの心に感動。毎年、リヨンの近くでパテ・アン・クルートのコンクールがある。一番最近の優勝者は日本人。日本におけるシャルキュトリのポジションが発展することを確信した」と、ヴェロさん。

ヴェロさんの話に出ていたコンクールについて調べてみました。
フランスはドローム県のタン=エルミタージュで2014年12月1日に開催された「パテ・アン・クルート世界選手権2014」(Champion du monde 2014 de pâté-croûte)で、シャニーの三ツ星レストラン「Maison Lameloise」の河村英幸さん(岐阜県美濃加茂市出身)が優勝しています。日本人、頑張ってますね!
作品の画像を見て驚きました → コチラ (同コンクールのFacebook)



日本シャルキュトリ協会副会長の中村勝宏氏(日本ホテル統括名誉総料理長)は
「5-6位までは僅差だった。どれもレベルが高くて良かった。ただ、日本はまだまだシャルキュトリの認知度が低い。フランスではシャルキュトリを毎日食べる比率は99%。ワイン、フロマージュ、シャルキュトリはフランスの食文化の基本。コンクールを通じてシャルキュトリの認知度が上がるといい」と講評を述べました。

なお、上位入賞者には、ディプロムと、協賛各社からの賞品(シャルキトリ類、鍋、マグナムボトルワインetc...)が授与されました。
おめでとうございます!





授賞式に合わせて、式後には、日本シャルキュトリ協会の会員や、コンクール参加者、関係者らを交え 「Fete de la charcuterie francaise フレンチ・シャルキュトリ祭り」が開催されました。

会場となった「ルヴェ・ソン・ヴェール駒場」の伊藤シェフと、日本に長く住むフランス人、ライフスタイル・デザーナーのパトリス・ジュリアン氏の考案で、フランスそのままのシャルキュトリの楽しみ方ができるような料理がずらりと登場しました。



テーマは、“ちょっと田舎風に、家庭的に”

シャルキュトリは気取っていただくよりも、気軽に、自分の好きなように楽しみたいですからね


ジル・ヴェロ氏のシャルキュトリ盛り合わせ



いったい何種類あるのでしょう?
かなりのてんこ盛り!(笑)



ジル・ヴェロ氏のシャルキュトリの中から私はこちらの3点をチョイス。
意外にも、塩気がマイルド。

その他にも素晴らしい料理の数々がありました。



しかし、シャルキュトリはお腹がふくれます(笑)



ワインは、スパークリングのクレマン・ド・ブルゴーニュ、ミュスカデ、プロヴァンスのカシ・ロゼ2種、ギガルのロゼと赤がありました。
昨日は暑かったこともあり、クレマンがおいしく感じました。
ロゼワインもシャルキュトリにはもってこいです。



シャルキュトリは、買ってきてそのままサッと出して食べられるのが魅力。
私もいつも瓶詰めのパテを常備しています。
一般の部のコンクールでは、市販のシャルキュトリをアレンジした料理が提案されましたが、手を加えてオリジナル料理にしてもいいですね。

おいしくて、便利なシャルキュトリは、忙しい私たちに嬉しいフードです


シャルキュトリ協会では年間を通じてさまざまなイベントを開催しています。
同協会の会員になると、イベントが会員価格で参加できます。
気になる方は、同協会ホームページをご覧ください。

日本シャルキュトリ協会
http://www.charcuterie.jp/index.php

コメント
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