お気楽ボランティア日記

楽しみながら、ボランティア   広がる、人の輪

映画「あん」を見て

2015年06月05日 | 映画・演劇・本

 何の予備知識も持たずに、まっさらの気持ちで「あん」という映画を見ました。

 河瀬直美という監督、名前は知ってましたが作品を見るのは初めて・・・他のもぜひ見たいと思わされた映画でした! 

 主役の樹木希林の演技はさすがで、心にしみました。満開の桜や、青い月や、木々が風に揺れる姿と戯れる老女の姿は何とも言えず、ただ、いいものを見せてもらったなあと思いました。

 そして小豆を煮て、とびきり美味しい「あん」になるまでの手を抜かない一つ一つの作業や、じっくり待つことや、あんに話しかけたりしていつくしむ様子から、丁寧に生きることの愛おしさが見る者にじいんと伝わってきました。そこだけでも素晴らしかったです。

 ああ、この映画はあんにまつわる、そういう職人技みたいなことを描こうとしているのかなあと思ってみていたら、途中からとんでもない方向へと見る人を引き込んで行きました。

 老女の手が、醜い皮膚病にやられていると思っていましたが・・・彼女は「ライ病患者」だったのです。

 彼女を雇った、どら焼き屋の店長である男性は、それを知らなかったし、知ってからもそのまま一緒に仕事をしてました。しかし「ライ病」ということが広まって、行列が出来ていた店は閑古鳥が鳴くようになりました。そして、彼女は店を去って行きます。

 彼女と、辛い過去を背負った店長と、家出もする女子中学生のつかの間の交流。ライに対する世間の偏見。・・・題材は暗いのですが、見終わってなぜかさわやかさが感じられるしっとりした作品でした。

 帰り道、昔見た栗生楽泉園の患者さんの映画「熊笹の遺言」を思い出しました。あれは確か日本映画学校の学生が撮ったもので、映画会には出演者の方が来てお話もされたと思います。ドキュメンタリー映画でしたから訴えてくる力は強力でしたが、今回の「あん」も心にしみる点では良かったと思いました。

 たくさんの人に勧めたい映画でした。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 幕間にグラッ | トップ | 家がきれいになると・・・ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画・演劇・本」カテゴリの最新記事