拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

知事さんは映画がお好き?

2020-04-09 09:41:18 | 日記
どこかの知事さんに言わせると、非常事態宣言の出た都府県は「七人の侍」であり、他の県は(侍を助けた)「村人」なのだそうだ。この知事さんは映画好きとお見受けした。映画と言えば、「プリティ・ウーマン」でジュリア・ロバーツがおハイソなレストランで苦労するシーンを久しぶりに見て、「男はつらいよ」第1作で寅さんがさくらの見合いの席で「大暴れ」するシーンを思い出した。映画と言えばでもう一つ。非常事態宣言の出た都府県から軽井沢とかに「脱出」する人がいるという。しかし、さっきの知事さんの話とはうらはらに、逃げてきた「侍」を必ずしも「村人」はこころよく受け入れてはくれないようだ。それより思い出したことがある。ボッカチョが書いた「デカメロン」。私は、中学んとき正月の深夜にテレビで見たパゾリーニ監督の映画の淫靡な世界に惹かれて(思春期の少年とってかなりの刺激であった)、その後、原作を読んだのだが、その冒頭(映画では描かれなかった)はまさに今の世界と同じである。つまり、ペストが流行して街はパニック。そんな中、何人かが病から逃れるため地方に「疎開」する。疎開先で時間をもてあましたものだからみんなでお話をしましょう、と言って語られたのが「デカメロン」の各エピソードである。パゾリーニ監督はその中から淫靡な話を中心にとりあげたが、その手の話は逆に少数派である。そのせいかどうか、読み始めたはいいがまだ完読しないで放ってある(いや、完読できないのは下ネタが少ないからではない。母の付き添いで病院に行くときいつも読んでたのだが最近は施設が契約している先生に往診に来てもらってて病院に行かなくなったからである。それと、キンドルではなく紙の本ということもある)。ところで、今回、東京のほか首都圏で非常事態宣言が出されたのは神奈川、埼玉、千葉であり、これらの県から東京に通勤している人の数は、それぞれ106万人、93万人、71万人なのだそう。それに対し、地図上ではこれらの県と同様東京と近接している山梨県からの通勤者の数は1万人。桁違いに少ない。しかし、東京と山梨の間には山がある。中央本線で高尾を過ぎたあたりから延々と続く山を思えばこの数字には合点がいく。最後に笹子トンネルを抜けて甲府盆地が広がる風景はまるで桃源郷のようである。「プリティ・ウーマン」に戻る。ジュリア・ロバーツがフォークではじき飛ばした食べ物をキャッチした給仕さんは最高にグッジョブであった。「デカメロン」に戻る。前記の通り下ネタは決して多くはないが、それより多いのは「若い奥さんをもらった年寄り」の奮闘物語。何を奮闘するかというと、夜のお勤めではない。逆に、夜のお勤めを逃れるための言い訳作りに奮闘努力するのである(寅さんは、「奮闘努力のかいもなく」と歌っているが)。中央本線で見る東京と山梨の間の景色の話に戻る。車窓から見えるのは山だけではない。ときどき視界に現れる桂川(神奈川県に入って相模川になる)を見るのが私は大好きである。途中に、「武田家終焉の地」と書かれた看板の立っている駅もある。一度降車して歩いてみたいと思っている。