拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

バッハはコロナに克つ

2020-04-11 15:20:59 | 音楽
バッハが楽長を務めたライプチヒの聖トーマス教会の「バッハ祭り」がこのご時世で中止になった代わりに「バッハはコロナに克つ」と銘打った演奏がネット配信された。曲はバッハのヨハネ受難曲「を基にした」(nach,after)曲だという。「一緒に歌いましょう」ともある。その意味は見て分かった。がらんとした教会の中にいるのは、指揮者のほかテナーのクリスチャンセン、数人の歌い手、オルガン、チェンバロそして打楽器奏者だけ。クリスチャンセンがエヴァンゲリストのほかパートを問わずソロを全部歌う。その他の歌い手はコラールに参加するのみ。そのコラールの中のある一曲が「一緒に歌う」曲であった。ネット会議アプリを使ったのだろう、自宅で一緒に歌う人々の姿が映像で映し出された(私は20分経ってから視聴を始めたのだが、その限りでは人々が一緒に歌ったのはこの一曲のみであった)。興味深かったのはコラール以外の(本来の)合唱部分。むち打ちを連想させる打楽器のリズムに乗ってクリスチャンセンが歌詞を朗読。なるほど、ここは原曲とは別物。だから「基にした」なんだ。ちょうど、この週は朝のFMの「古楽の楽しみ」で、バッハの幻のマルコ受難曲の復元版が特集されていた。たくさんある復元版の先駆けであるヘルマン版ではエヴァンゲリストの部分が朗読であり、そのことを思いだした(朗読の部分が違うが)。そんな感じできびきびと曲が進行し、あっという間に最後から二曲目。本来は合唱曲である「Ruht wohl」はクリスチャンセンがソロで、しかもアカペラで歌う。そして最後のコラール。二人の歌い手が加わってアカペラの三重唱。感動的だった。うん、「基にした」曲ではあったが、受難週の聖金曜日、受難の物語がきびしく、美しく世界中に届けられと思う。私も、急に襲ってきた原因不明の足の親指の付け根の激痛……症状からすると通風の発作だと思われる……という受難に遭い、痛みをこらえながら受難の物語に聴き入った。そんな具合だから、外出自粛要請なんかなくったって外出はしない。痛くて歩けない。だから医者には行ってない。そもそも近くの外科がどこも内科併営なので行くのも怖い。まあ、通風なら数日でけろっと治るというから少しの我慢である(?)。