拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

「ファイエル」って言った?(銀河英雄伝説とローエングリン)

2020-04-14 19:47:00 | 音楽
「ファイエル」って言った?「フォイエル」でなくて?いやたしかにその後も「ファイエル」と言っている。「銀河英雄伝説」で帝国の宇宙戦艦が敵に対してビーム砲を撃つときの号令なのだが、帝国の公用語はドイツ語らしく、例えば号令を発した主人公の名前が「ラインハルト・フォン・ローエングラム」だし、その副官が「ジークフリード・キルヒアイス」である。だったら、「撃てっ」は「Feuer!」であり、その発音は「フォイアー」、オペラやバッハやリートで使う舞台ドイツ語なら「フォイエル」のはずである。それがなぜ「ファイエル」なのだろう?たしかに、帝国の言語はときどき英語っぽくなる。上記の副官の名前も「ジークフリート」ではなく「ジークフリード」である。英語で「撃てっ」は「fire!」。これだと「ファ」で始まる。英語訛りのドイツ語?とにかく不思議である。その銀河英雄伝説、今回二度目のアニメ化で(一度目も見た)、Eテレで放送が始まっている(Eテレ、おそるべし!)。帝国と同盟が宇宙で闘いを繰り広げるというスターウォーズみたいな話であるが、帝国が悪者というわけでもない。帝国側のラインハルト・フォン・ローエングラムもジークフリード・キルヒアイスも「いい男」である。その「ローエングラム」、ヴァーグナーのオペラの「ローエングリン」と表記が似ているが、「ローエングラム」は名字である。それに対して「ローエングリン」は……これは名字じゃないよな、オペラの最後で名前を明かすのだが、「父はパルチファル、私はローエングリン」と言ってるし(名字だったら父親と同じはず)。じゃあ名字は何だ?そうだ、「パルシファル」もヴァーグナーのオペラになっていた。それを思い出せばいいんだ。パルシファルはそもそも名無しの権兵衛だった。第2幕の途中で、戦死した父親が当時まだ生まれる前だった息子のことを「パルシファル」=「清らかな馬鹿者」と呼んだことが判明して、以後、「パルシファル」になるのだった。名字についての情報はやはりない。ま、いいか、これまで気にしたこともなかったし。おしんのオープニングの配役紹介の画面だって名前だけだし(おしん、竜三、etc)。いちいち名字まで言ってた日には配役紹介が大変である。その大変なのが「マイスタージンガー」。もともと登場人物が多いうえにみんな名字がついてる(ハンス・ザックス、ファイト・ポーグナー、クンツ・フォーゲルゲザンク、コンラート・ナハティガル、ジクトゥス・ベックメッサー、フリッツ・コートナー、ヴァルター・フォン・シュトルツィング等々)。FMで聴くときは、長い本編の前に長い配役紹介を延々と聞くことになる(それもまた楽しみである)。