拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

オーボエとクラリネット

2020-01-20 11:39:14 | 音楽

昨日のKMCの休憩時間に……その前に、お前、歌やめるって言ったくせになんでKMCに行ってるんだよって?そりゃあなた、相対性理論でさぁ。あるところでは辞めてもあるところでは辞めない。文句があるならアインシュタインに言ってみな。ということで、あらためて、昨日のKMCの休憩時間の話。MさんがIさんに「ミサソレ通唱会のオーボエ、素晴らしかった」と感激の体。私もまったく同感。で、特にどこが?と思ったら「アンコールのフィデリオ」。なーるほど、そりゃそうだ、私がアンコールに選んだ箇所はオーボエの世にもおいしいメロディーから始まる。これをIさんはまことに美しく吹かれた。だが、私の個人的には、ミサソレのオーボエと言えばこれ、グローリアの終盤。歌が「アーメン、アーーーメン」と歌っている背後でオーボエがタリラタリラ、タリラタリラと吹くところ、つまり写真の部分なのだが(写真を載せるんならタリラタリラなんて書くことはなかった。が、書きたいのである)。ここが大好きで、ここもIさんは完璧に吹いて下さって私は大感激だったのである。私が最初にミサソレのレコードを買ったのは中学んときでトスカニーニ指揮のもの。そのマニアックな選択にレコード店主が「すごい」と言っていたが、すごくもなんともない、その店にはそれしかなかったのだ(自分でそれしか売らないでおいて「すごい」と言う方がおかしい)。で、この演奏は超絶的にテンポが速く、しかも録音が古くて件のオーボエは認識できなかった。ここを認識したのは高校になってから買ったベームの新録音である。因みに、Iさんは、「ミサソレのクラリネットって吹きっぱなしなんですね」との感想をおっしゃっていた。そう言えばそうだ。B♭管とA管の持ち替え時間以外はずっと吹いている。ベートーヴェンはクラリネットが好きだったのだろうか(それともいじめたかったのだろうか。)。第九の第三楽章の中間部でのホルンとのからみもクラリネット吹きだったら一度は吹いてみたいと思うもの(家で吹く分には勝手である)。そう言えば、この部分についてオーボエのプロの方とお話したことがあった。もちろん、あのクラのメロディーはおいしい、オーボエ吹きとしては悔しい……が、あそこはクラリネットだから意味がある。もしオーボエだったら、オーボエの音色はクラより明るく華やかだから、それで音楽が完結してしまう。しかし、ベートーヴェンはそこで完結させたくなかった、後につなげたかった、だからクラを選んだのだと。なるほどー、と思った。この話をいつか書いてみたかったが、いい感じで今日書くことができた(悦、悦。私の免疫機能はこれでだいぶ改善したことだろう)。