拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

カバリエとカレーラス

2020-01-09 22:50:05 | 音楽
火野正平の自転車旅の番組が一段落したと思ったら同じ時間帯でヨーロッパ自転車旅が始まった。初日はスペインのグラナダ。グラナダと言えば、カレーラスが「♪グラナーダー」と歌ってる姿が目に浮かぶ。もちろん有名曲だからドミンゴやパヴァロッティと言ったラテン系のテナーが皆歌っているが、とりわけカレーラスの歌いっぷりは情熱的というか、悲壮感が漂っているというか、印象が強かった。そう、カレーラスは体がドミンゴやパヴァロッティより小さかったから、「三大テナー」で両側の他の二人に挟まれて歌う風は、なんとなく有名な「(左右の腕を地球人につかまれた)宇宙人の写真」のようだった。そのグラナダにアルハンブラ宮殿があるんだそうで。へー。「アルハンブラの思い出」ってギター曲は悲しげで脳天気な「♪グラナーダー」とは真反対の印象。アルハンブラ宮殿はイスラム時代の建築物だそうで、この地はいろんな歴史が交錯した、それが音楽の多様性に現れているのかしらん。それが昨日の放送。今日は、同じスペインでもカタルーニャ地方。モンセラート修道院がある地域。へーえ。カタルーニャ地方ってフランスに近くて、言語はカタルーニャ語でスペイン語は外国語扱いなんだって。モンセラと言えば、かの名ソプラノのモンセラ・カバリエがカタルーニャ出身。あれま。カレーラスも「♪グラナーダー」とか歌ってるくせにやっぱカタルーニャの人ではないかい。そうか、それでカバリエに可愛がられたんだ。ドミンゴやパヴァロッティに囲まれたカレーラスも貧相だったが、カーテンコールでカバリエと手をつないで拍手に応えるカレーラスも巨樹にとまるセミのようだった。面白い話がある。カバリエとカレーラスが共演する舞台の直前、カレーラスが不調で降板を申し出た。しかしカバリエは許さない。「いーえ、あなたは歌えます」の一言でカレーラスも出ることになった。カレーラスはもうやけのやんぱちで開き直って歌ったらこれがなかなかの名唱だったんだってさ。でも、参考になる話ではある。あまり神経質になってあーだこーだ心配するよりも、思い切ってやった方がいい結果を生むのかもしれない。長くなった。カバリエとカレーラスそれぞれの思い出については次回以降に。