拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

内縁不倫オペラ

2017-06-24 05:28:34 | 音楽
昨日は不倫オペラの話をした。実は、最初に頭に浮かんだのはモーツァルトのコシ・ファン・トゥッテだった。姉妹の恋人たちがそれぞれ変装して自分の彼女じゃない方にアタックするという話。姉妹はそれぞれよろめいてしまう。ベートーヴェン(結構、堅物だった)は、このオペラの不道徳さに我慢がならなかったそうだ。だが、これは不倫とはちょっと違う。いずれのカップルも未婚だからだ。因みに、未婚でも内縁関係が成立していれば、その不当破棄については慰謝料が発生するが、コシの場合は内縁関係でもなさそう。そのベートーヴェンの唯一のオペラである「フィデリオ」。なるほど、「堅物」の作らしく、レオノーレは、男に変装してフィデリオと名乗って囚われの身となった夫を救出する。「フィデリオ」とはよく言った(英語のfidelity=貞節)。同じ変装でも大違い。でも、コシの長女の名前も「フィオール・ディ・リージ」(貞節の花)。名が体を現すとは限らない。いや待て。そのフィデリオだってマルツェリーネに注目してみると、彼氏がいるのにフィデリオに横恋慕して彼氏をポイ捨てする。だが、フィデリオが女だと分かるとちゃっかり彼氏とよりを戻す。ちょっと、ベートーヴェン先生。あまり道徳的でないんでないかい?結婚前ならなにやってもいいってことかい?まあ、このあたりはかわいいもんだ。「ヴォツェック」はもろ内縁不倫の話。「カヴァレリア・ルスティカーナ」のサントゥッツァも内縁だよな。どっちも刃傷沙汰となり、悲惨な結末を迎える(慰謝料どころの話ではない)。因みに、コシの音楽は例えようもないほどきれい。フィデリオの特に最後の場の音楽は例えようもないほど崇高。