拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

早ー

2010-05-03 22:10:09 | インポート
それにしても、イタリア・オペラの主人公は一瞬にして気分が変わります。長年、憎んでいた相手から、「誤解だ」と一言言われただけで、「あー、私はなんという思い違いをしていたんだ!」と反省したりします。そりゃ仲直りするのはいいことですけど、今までの大騒ぎは何だったの?それから、サッカーのサポーターが熱唱する歌はヴェルディのアイーダの行進曲ですが、これは、王女アムネリスと奴隷女のアイーダと将軍ラダメスの三角関係の話です。で、アムネリスは、アイーダとラダメスが怪しいと思ってアイーダにかまをかけます(おー、こわ)。アイーダの顔色が変わったのを見て「やっぱり」と思って、あなたは私の「リヴァーレ(ライヴァル)ね」と言うと、アイーダは「リヴァーレ、結構!」とたんかを切ったその一瞬後、「アーーーーーッ(こればっか)」と叫んで、「ごめんなさい、ごめんなさい」と平謝りです。早ー場面の転回も早いです。マノン・レスコーなんか、第1幕でマノンは若い男ととんづらしたはずなのに、第2幕ではじいさんの愛人になってます(いつの間に?)。第3幕で罪人としてアメリカに送られたと思ったら、第4幕ではいきなり砂漠をうろうろ歩いています(で、前に記事にしたように、「ソーラ・アッバンドナータ(一人、見捨てられて)」となるわけです。)。途中のいきさつなんか全部省略です。そこへ行くと、ドイツオペラ、特にヴァーグナーなんか、途中でぐっすり寝て起きたらまだ歌手が同じ位置で歌ってたなんて言われるほど動きがありません。登場人物の気持ちに変化が生じたときは、何で気が変わったかをじっくり説明します。現在のシーンの前に何があったかも延々と説明します。だから、一曲が長いですし、ヴァーグナーの指輪が四部作になったのも、それまでのいきさつを説明したくて前史を加えてったら四つになっちゃった、ということらしいです。で、私は、イタリア・オペラも、ヴァーグナーも両方好きなこうもり野郎です。