拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

100万ドル登鯉男じゃなくトリオ

2010-05-24 12:20:27 | インポート
久々にCDショップに行ったら(最近は、CDはネット通販でばっかり買ってるので)、村上春樹さんの小説に登場する曲、それも小説に出てくる演奏家のものが大々的に売られてました。例えば、最近話題になった「1Q84」のシンフォニエッタ(小澤征爾=シカゴ交響楽団)、第2巻の第2章に出てきますという注釈まで付いてました。それから、「海辺のカフカ」に出てくる、100万ドル登鯉男(なんで「トリオ」と打ったらこの字に変換するかね。「トリオ」は「トリオ」でしょうが、ワープロさんよ。もう、腹減ったじゃなくて腹立ったもんね。)によるベートーヴェンの大公トリオ!大公トリオはいいですねー。運命とか書いていた時期からちょっとたって、激しさが影を潜めてきた時期に書かれた名曲です。100万ドルトリオによる演奏っていうのも私的には懐かしいです。このトリオ、超巨匠の寄り集まりで、ヴァイオリンは、ハイフェッツ、ピアノはルビンシュタイン、チェロはフォイアーマンです。大昔の人たちで、それこそ、SPレコードの時代です(今売られているCDは、SPレコードの復刻版で、音質は推して知るべし。村上春樹さんがとりあげなければ、CDショップで山積みされるようなことはなかったでしょう。)。私がなんでこのトリオが懐かしいかというと、子供のころ、なんかで読んだんです。なんだったかなー、と思い返してみて、あっ、もしかしたらと思って、堀内敬三さんの「音楽の泉」(父親が持っていたやつで、今手にとっただけでぼろぼろに分解してしまいそうな古い本です。)をめくってみました。「音楽の泉」は今でもAMラジオで放送しているクラシックの番組で、もう何十年も前の大昔から続いています。で、初期の案内役が堀内敬三さんで、ラジオで放送された解説が本になってたのでした。子供の私は、レコードを買えない代わりにその本を読んで、どういう曲なんだろーなーと想像を巡らしていました。読むのは久しぶりです。で、ありました!まさに大公トリオの解説で、その時放送で使ったのが100万ドルトリオのものでした。このメンバーの中で、私が一番レコードで聴いたのは、ヴァイオリンのハイフェッツです。ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームス、チャイコフスキーの協奏曲で初めて買ったレコードは、皆ハイフェッツのでした。もう半端ではない超絶技巧でして、難しくて有名なチャイコフスキーの協奏曲なんか、親の敵をとるような猛スピードで弾ききっちゃってます。この曲、この方の演奏を聴いた後、他の方のを聴くと、ゆっくりすぎちゃって別の曲みたいです。ただ、音はちょっと乾燥した感じです(レコードのせいかなー)。ハイフェッツの超絶技巧ぶりは、映画「カーネギーホール」で見ることができます。