中立のあと、後入りのお知らせは喚鐘でした。
表千家流では広間の時に喚鐘、小間の時は銅鑼となっているそうです。
紹鴎棚の前に藍染の仕覆に入れられた茶入が置かれ、濃茶へと誘います。
点前が始まると、皆の気持ちが一つになって静寂に包まれました。
・・・すると、鶴首釜から心地よい音が聞こえてきました。
耳を澄まして音に集中すると、
松林に風が吹き、梢をやさしく鳴らして通り過ぎてゆくようでした。
松風とはよくぞ名付けたものと聴き入っていると、
柄杓が汲み入れられて松風がやみました。
今度は柄杓から流れる水音、茶筅通しのサラッサラッ、そして再び、やさしい松風が・・・。
めったにないサウンドスケープの一コマです。
「緊張して茶筅通しの手が震えてしまいました・・・」とご亭主。
そのようには見えませんでしたが、客冥利なこと!と嬉しく受けとめました。
緊張しながらもしっかり練ってくださった濃茶を三人でたっぷり、
マイルドな味わいを愉しみました。
濃茶は柳桜園、前席のお菓子は「松の緑」です。
お茶碗がどれも素敵でした・・・。
主茶碗は了入作、拝見すると楽の印があり、隠居印だそうです。
小振りの黒楽で、無作為のかろやかさを感じる、親しみやすい茶碗でした。
昨年11月に根津美術館の茶席で出会った了入の赤楽に続いて、
了入の黒楽で濃茶を頂いたシアワセとご縁を噛みしめました。
替茶碗は、大野鈍阿作の赤楽、捏ね上げられた手なりのままのような茶碗に
かわいらしさを感じたのは私だけでしょうか?
もう一碗は、川瀬忍作の「なみだ」。
気に入ったあまり、二代長野垤志氏が川瀬氏の茶席から黙って持ち帰り、
毎日この茶碗で茶を点ててのんだそうです。
ある日、川瀬氏を招いて茶碗を見せると、
「よくぞここまで育ててくれた・・・」
と言って、「なみだ」という銘を付けられたそうです。
「なみだ」はうれし涙でした・・・(ステキなお話しでした)。
エキゾチックな出し帛紗に嘆声を上げました。
赤地に金のモールは、インド産でしょうか?
手に取るとずっしり、「くさり帷子」を連想する触感と重さです。
二枚目は、ダマスク金襴。
ダマスカス(シリアの首都)で織られた金襴は青地に眩しいほどの金でした。
三枚目は、タイ製の銀モール。魅力的な紫の絹布に銀が渋く映えています。
( 一富士二鷹三なすび・・・富士遠景 )
続き薄茶になり、奥様の珠己さんのお点前でした。
お二人に代わる代わる濃茶と薄茶を点てて頂き、感激でした・・・。
薄茶の主茶碗は、惺入作の銘「大神楽」、伊勢神宮に因む銘だそうです。
見込に美鶏が描かれ、お茶を頂くとあらわれてきました。
この茶碗もよく育てられていて、細やかな白磁の貫入が美しく、
鶴首釜に続くお気に入りかも。
薄茶席になり、多彩な顔ぶれのお客様のこと、茶談義、漫談?など
和やかにお話ししながら薄茶を愉しみました。
お心こもる初釜のおもてなしに厚く感謝申し上げて、
もうしばらく余韻に浸っていますね。
そうそう・・・最後に「落ち」がありましたが、ナイショです。
新・釜師長野家の初釜 (2)へ (1)へ
表千家流では広間の時に喚鐘、小間の時は銅鑼となっているそうです。
紹鴎棚の前に藍染の仕覆に入れられた茶入が置かれ、濃茶へと誘います。
点前が始まると、皆の気持ちが一つになって静寂に包まれました。
・・・すると、鶴首釜から心地よい音が聞こえてきました。
耳を澄まして音に集中すると、
松林に風が吹き、梢をやさしく鳴らして通り過ぎてゆくようでした。
松風とはよくぞ名付けたものと聴き入っていると、
柄杓が汲み入れられて松風がやみました。
今度は柄杓から流れる水音、茶筅通しのサラッサラッ、そして再び、やさしい松風が・・・。
めったにないサウンドスケープの一コマです。
「緊張して茶筅通しの手が震えてしまいました・・・」とご亭主。
そのようには見えませんでしたが、客冥利なこと!と嬉しく受けとめました。
緊張しながらもしっかり練ってくださった濃茶を三人でたっぷり、
マイルドな味わいを愉しみました。
濃茶は柳桜園、前席のお菓子は「松の緑」です。
お茶碗がどれも素敵でした・・・。
主茶碗は了入作、拝見すると楽の印があり、隠居印だそうです。
小振りの黒楽で、無作為のかろやかさを感じる、親しみやすい茶碗でした。
昨年11月に根津美術館の茶席で出会った了入の赤楽に続いて、
了入の黒楽で濃茶を頂いたシアワセとご縁を噛みしめました。
替茶碗は、大野鈍阿作の赤楽、捏ね上げられた手なりのままのような茶碗に
かわいらしさを感じたのは私だけでしょうか?
もう一碗は、川瀬忍作の「なみだ」。
気に入ったあまり、二代長野垤志氏が川瀬氏の茶席から黙って持ち帰り、
毎日この茶碗で茶を点ててのんだそうです。
ある日、川瀬氏を招いて茶碗を見せると、
「よくぞここまで育ててくれた・・・」
と言って、「なみだ」という銘を付けられたそうです。
「なみだ」はうれし涙でした・・・(ステキなお話しでした)。
エキゾチックな出し帛紗に嘆声を上げました。
赤地に金のモールは、インド産でしょうか?
手に取るとずっしり、「くさり帷子」を連想する触感と重さです。
二枚目は、ダマスク金襴。
ダマスカス(シリアの首都)で織られた金襴は青地に眩しいほどの金でした。
三枚目は、タイ製の銀モール。魅力的な紫の絹布に銀が渋く映えています。
( 一富士二鷹三なすび・・・富士遠景 )
続き薄茶になり、奥様の珠己さんのお点前でした。
お二人に代わる代わる濃茶と薄茶を点てて頂き、感激でした・・・。
薄茶の主茶碗は、惺入作の銘「大神楽」、伊勢神宮に因む銘だそうです。
見込に美鶏が描かれ、お茶を頂くとあらわれてきました。
この茶碗もよく育てられていて、細やかな白磁の貫入が美しく、
鶴首釜に続くお気に入りかも。
薄茶席になり、多彩な顔ぶれのお客様のこと、茶談義、漫談?など
和やかにお話ししながら薄茶を愉しみました。
お心こもる初釜のおもてなしに厚く感謝申し上げて、
もうしばらく余韻に浸っていますね。
そうそう・・・最後に「落ち」がありましたが、ナイショです。
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