麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第55回)

2007-02-17 02:03:45 | Weblog
2月17日


立ち寄ってくださって、ありがとうございます。

まだ、風邪が治りません。

いろんなことが
全部いやになってくるような体調の悪さ。

自信を持った女の(ということはすべての女の)
ハイヒールの音
自信を持った若者の
精液くさい理論
自信を持った子どもの
かしこそうなバカ面
自信を持った初老男の
口臭

たたきつぶし
ひねりつぶして
世界のカーペットの冷たい裏側に
放り込み
上から足でつぶしていく

だめだ

なんにもならない
人生と同じように
そんなことをしても
なんにもならない

こう書いても
なんにもならない


なにか今日は改行して書くほうが
楽な感じ。

下にもひとつ書いてみました。

いつも言ってることの繰り返しですが……。

では、また来週。
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無題

2007-02-17 02:01:57 | Weblog
子どものころ
眠ったあとで世界がどうなるのか
すごく知りたかった
だって
昼は、ものにニスを塗ったみたいに見せているけど
夜は、ニスをはがして、ざらざらした肌触りになって
とても同じ世界とは思えなかったから
昼に学校で父さんがいまなにをしているのか
考えるのと
夜に布団の中で、窓から夜を見るのは
ぜんぜんちがう
昼は何かに緊張する
なにもなくても緊張する
夜はだらっとする
なにか世界の全部が隣にある感じ
こんなふたつがどうやって入れ替わるのか
いつも知りたかったけど
がまんして目を開けていても
気がつくと朝だった
見ることができない時間は
僕になにか説明を求めた
だから僕は
夜は毎日空からはがれて
夜たちの墓場へ死にに行くと説明した
いつも僕は説明した
わからないところは
全部物語にして
自分に説明した
僕には世界が何のためにあるのかわからない
僕には僕がいる必要があるのかどうかわからない
僕には人が何のために生まれてくるのかわからない
僕には偉い人という言葉の意味がわからない
だから、全部物語にして
自分に説明している
そうしないと生きられないから
でもそれが
本当は僕がつくったお話だと
僕は知っている
僕がいなくなれば
そのどれもが
だれにも必要のないお話になることも
もちろん
「僕」というお話も

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