鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

ノーベル化学賞受賞の鈴木北大名誉教授が「セレンデュピィティ」と意味深い表現したのに注目した

2010-10-08 | Weblog
 7日は日本中が前日夜に決まったノーベル化学賞受賞の鈴木章北大名誉教授と根岸英一米パデュー大特別教授の2人の話題に沸いた。いつもは難しい受賞の研究内容が液晶や薬品の製造に使われている親近感もあって人となりにまで掘り下げた報道が目立っていた。相変わらずの景気低迷に日中間の尖閣諸島の領有権問題や検察をめぐる不祥事など、このところ暗い話ばかり多かっただけにそうした話題を一時的にでも忘れることのできる格好のテーマとなったようだ。そのなかで、鈴木教授がNHKテレビのインタビューのなかで「ノーベル賞受賞に至った理由は」と聞かれて、「セレンデュピィティ」とおよそいままで聞いたことのない英単語を述べたのが気になった。
 早速、英和辞典を引いてみると、「Serendipity」なる綴りで、訳は「当てにしないものを偶然にうまく発見する才能」、もしくは「掘り出し上手」と書かれてあり、日本の漢字熟語にはなりにくい訳となっていた。英語の単語の成り立ちなるものがよくわからないが、「seren」が「自ら」を意味するとしたら、「dipity」は「detection」の発見に多少とも近いのかな、とも思ったが、どういう組み合わせでかくなる意味になるのか、よくわからなかった。そこでウェブスターの英英辞典を引いてみたら、1754年にホレース・ワルポールなる作家が書いた物語「セレンディプの3人の王子」のなかで偶然に幸運な発見を行う才能を持つ王子のことが書かれているとあり、この物語からそうした能力を「セレンディピィティ」と言うようになった,と書かれてあった。ウェブスター英英辞典には「serendip」とはセイロンのことだ、とも書いてあり、これではまるで語源的意味はないことがよくわかった。
 それにしてもまず通常の会話でこうした英語に接することがない単語を鈴木教授がなぜ知っていたのかにも興味が沸いたが、ノーベル賞を受賞するほどの実績を持っている人の口からかくも意味深い言葉が発せられることに驚いた。
 鈴木教授は研究者として常に研究をし続けることが大事だ、と説き、幸運に恵まれることも大事だ、と話したうえで、この「セレンデュピィティ」なる言葉を発した。こうすればかくなる、とのある程度の確信を持って努力をすることが必要だが、ある段階からは核心的なところを自ら探り当て、手繰り寄せなければならない。だからといって、必ず成果が生まれるものではない、そこには幸運という要素があるのだ、ということを言いたかったのだろう。
 人間、努力しない者のいは幸運も訪れないし、幸運が転がっていてもそれに気がつかなけければ逃げていってしまう。政治学者のマックス・ウエーバーが「プロティスタンティズムと資本主義の精神」のなかで「天は自ら助ける者を助ける」と言っているが、それに通じるものともいえよう。
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3 コメント

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Unknown (Unknown)
2010-10-09 14:11:01
セレンディピィティは科学系ではよく使われる単語ですよ
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Unknown (yamato)
2010-10-18 18:41:03
「天は自ら助けるものを助ける」
は聖書にあった言葉かしら?と思いながら、serendipityと関らせての考察を「なるほど」と拝読してました。
しばらく更新されてませんがお風邪など召されてませんか?季節の変わり目御自愛くださいますように。
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はじめまして! (韓国旅行情報(UtravelNote))
2010-11-10 11:51:40
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