新潮社の新書「新聞社ーー破綻したビジネスモデル」(河内孝著)に衝撃的な提案が書かれている。毎日、産経、中日新聞3社が合併すべきだ、と提案しているのだ。長らく新聞は斜陽産業であると言われてきたが、著者は新聞事業そのものがもう破綻しており、全国紙がいまのように5紙も存続できない、と断定し、今後、生き残りを図るためには合併しかない、と提案している。著者は毎日新聞の常務取締役を務め昨年退任した現場の責任者だった人だけに妙に説得力を持った本であり、新聞業界に大きな波紋を投げかけている。
「新聞社」はまず新聞産業の構造を解明する。全国で5000万世帯、600万事業所で購読されて、年間1兆7700億円の販売収入があるが、そのうち配達手数料で6500億円、販売促進費で1500億円かかる。全国に2万1000店ある新聞販売店は折込チラシで年間4500億円の収入があり、これが販売店の経営を支えている。一方、新聞には広告収入が年間1兆円あるがこれは2000年以来減少の一途を辿り、いまや30年前の水準に落ち込んでいる。広告収入の25%は広告代理店の手数料となるが、ある一定の額以上は利益となるものだけにこの減少は新聞社の経営の屋台骨を揺さぶる。
事実、全国紙5社のうち。毎日新聞は売上高1542億円に対し経常利益5億円、産経新聞は1310億円に対し13億円(いずれも2003年)と売上高経常利益率は1%以下で、およそ経営としてはお寒い状態。ここへきてさらに広告収入の減少、インターネットへのシフトで部数の減少、それに消費税のアップが見込まれ、さらに経営の苦境は続き、特に毎日、産経の将来は暗いと見通している。
そして、著者は持論である毎日、産経、中日3社の合併を大胆にも提案する。3紙は地盤を異にしており、販売店をしぼることにより、経営効率の向上を図ることができる、と結論付けている。こうすれば部数1000万部の新聞が誕生、朝日、読売に対抗できる、としている。
これには中日新聞が応じるかが最大のポイントであるし、毎日新聞も先祖代々の不動産を時価にして数千億円保有しているので、おいそれと合併に踏み切るとは思えない、ともしている。
おそらく著者は毎日新聞在職中に3社提携の道を探ろうとして、多少の根回しをしたことだろう。それで、プライドの高い同僚たちから猛反発され、引っ込めたのだろう。武士は食わねど爪楊枝、と座して死を待つような妙な誇りがあるのが新聞社で、お金にまつわる話などとんでもない、と言う輩がいっぱいいるのが新聞社でまず3社合併が陽の目をみることはないだろう。
それでも新聞社の経営がそこまで追い込まれていることを白日の下にさらした、という点で衝撃的な本である。
「新聞社」はまず新聞産業の構造を解明する。全国で5000万世帯、600万事業所で購読されて、年間1兆7700億円の販売収入があるが、そのうち配達手数料で6500億円、販売促進費で1500億円かかる。全国に2万1000店ある新聞販売店は折込チラシで年間4500億円の収入があり、これが販売店の経営を支えている。一方、新聞には広告収入が年間1兆円あるがこれは2000年以来減少の一途を辿り、いまや30年前の水準に落ち込んでいる。広告収入の25%は広告代理店の手数料となるが、ある一定の額以上は利益となるものだけにこの減少は新聞社の経営の屋台骨を揺さぶる。
事実、全国紙5社のうち。毎日新聞は売上高1542億円に対し経常利益5億円、産経新聞は1310億円に対し13億円(いずれも2003年)と売上高経常利益率は1%以下で、およそ経営としてはお寒い状態。ここへきてさらに広告収入の減少、インターネットへのシフトで部数の減少、それに消費税のアップが見込まれ、さらに経営の苦境は続き、特に毎日、産経の将来は暗いと見通している。
そして、著者は持論である毎日、産経、中日3社の合併を大胆にも提案する。3紙は地盤を異にしており、販売店をしぼることにより、経営効率の向上を図ることができる、と結論付けている。こうすれば部数1000万部の新聞が誕生、朝日、読売に対抗できる、としている。
これには中日新聞が応じるかが最大のポイントであるし、毎日新聞も先祖代々の不動産を時価にして数千億円保有しているので、おいそれと合併に踏み切るとは思えない、ともしている。
おそらく著者は毎日新聞在職中に3社提携の道を探ろうとして、多少の根回しをしたことだろう。それで、プライドの高い同僚たちから猛反発され、引っ込めたのだろう。武士は食わねど爪楊枝、と座して死を待つような妙な誇りがあるのが新聞社で、お金にまつわる話などとんでもない、と言う輩がいっぱいいるのが新聞社でまず3社合併が陽の目をみることはないだろう。
それでも新聞社の経営がそこまで追い込まれていることを白日の下にさらした、という点で衝撃的な本である。
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