鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

東横線の特急があの田園調布駅に停まらなくなったのは、時代の移り変わりの象徴だ

2013-05-24 | Weblog
 23日はかわさき市民アカデミーの「持続可能な社会の創出」講座を受講した。1時間早く家を出て、教室に行く直前に気がついて、ドトールでコーヒーを飲んで時間をつぶして行ったら、「当番」となっていて早く家を出た理由があったのだ、と思い当った。講義では森林の定義なるものを聞いたが、そのうちに地球発生以来46億年の話となり、どうも森林というとヒノキ、杉を想像してしまうので、森林というより、「みどり」という言葉のがいいと思って、その旨質問したら、「森林とはみどりの意で、だれもヒノキや杉を想像しない」と一蹴されてしまった。講師の先生は東大の名誉教授で、恐れ多くてだれも質問しないので、質問が出たのに驚いていたようだった。
 で、図書館で新聞、雑誌を見て、武蔵小杉駅から帰ろうとすると、駅の近くで消防自動車が止まって、なにやら大騒ぎしている。見ていると、JR武蔵小杉駅構内で人身事故があったようで、担架を担いで消防署員が急いで、構内に入っていき、おかげでJRは1時間くらい運転停止、という。仕方なく、図書館にでも戻ろうか、思って、エスカレーターを登ると、東急東横線の改札があったので、ディスプレイを見ると、「振り替え運転中」と出ている。係り員にJRの武蔵小杉から溝の口までの回数券を見せて、「これで自由ケ丘経由で、溝の口へ行けますか」と尋ねると、いいというので、早速東横線のホームへ降り立った。
 運よく、数分で渋谷行きの特急がやってきた。どうせ特急といっても、田園調布、自由ケ丘と停まるのだろう、と思っていたら、いきなり自由ケ丘駅に着いてしまった。自由ケ丘駅で確かめてみると、特急と通勤快速は田園調布駅には停まらず、自由ケ丘駅の次は武蔵小杉駅となっている。おそらく、この3月に西武新宿線から乗り入れている地下鉄の副都心線が東横線と直通運転するようになり、特急や通勤快速が自由ケ丘駅の次に田園調布駅にも停まるのでは折角西武池袋沿線と横浜中華街が直結したのにメリットがない、と判断されたのだろう。
 田園調布といえば、東京を代表する高級住宅地で、駅前から放射線状に伸びた道路の両側には見るからに大企業の社長宅といった感じの、2階建て、もしくは3階建てのベランダ付きの欧風の豪邸と広い庭が見られ、垣根越しにピアノの音が響き渡ってくる雰囲気の街であり、道路には外車のお迎えの車が並んでいる。一昔前の東宝のサラリーマン映画には必ず出てくるシーンであった。
 前のマンションに住んでいる頃、三男の整体の医者が田園調布駅の近くになり、かみさんが三男を連れて行った際に、三男がお寿司を食べたがり、駅前だかのお寿司屋に入り、2人で1万円近く取られた、とぼやいていたことがあった。10年位前に田園調布駅前が改装され、かみさんと出かけていって、ペット連れのレストランに入って、ペットを連れた若い夫婦が多くいて、田園調布も代替わりしたのか、と思ったことがあった。会社の若い社員が田園調布にアパートを借りている、と聞いて、「田園調布に住んでいるのか」と驚いたこともあった。
 それでも、田園調布駅は東横線のシンボル的なイマージがあり、特急に限らず必ず停車するものとずっと思い込んでいた。それが地下鉄の乗り入れとともに他の普通の駅並みの扱いに格下げされるとはまさに時代の移り変わりを象徴する出来事といえよう。もちろん、特急が停まらなくなっても田園調布が東京随一の高級住宅地であるとの事実はすぐには変わらないことだろう。しかし、最寄りの鉄道駅に特急が停車しなくなったということは住宅地としての価値を下げることとなり、ボディブローのように田園調布の土地の価値を棄損する方向にジワジワと効いてくることだけは間違いない。
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