鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

公開録画なのに突然「今日は何の日か知ってますか」はないだろう

2013-05-02 | Weblog
 1日は東京・初台の東京オペラシティコンサートホールでの題名のない音楽会の公開録画番組に行った。森山良子がゲストとあって、いつもより大勢の人がつめかけたが、入場の際に配布されたプログラムを見て視聴者参加の「歌ってみまSHOW」の審査員が主な出演とあって、がっかりした。だからといって引き返すわけにはいかず、座席についた。その席は応援団の席が取られるせいか、後ろの方で、出演者の顔も定かに見えず、今日は文字通り、音を楽しむこととなりそうだ、と思った。
 前半の「第4回歌ってみまSHOW」は恒例のオーケストラをバックに視聴者がオペラなどを熱唱するもので、出場5人のうちなんと3人が北海道からの遠征だった。9歳の男の子から78歳の老人まで「グラナダ」や、」私のおじさん」を熱唱したが、いずれもそれほど感激するものではなかった。司会の佐渡裕が終わって、「リハーサルの時から今日はレベルが低いかな、と思っていたが、やってみればそれなりに聴けるものだ。今日一番の功労者はバックの交響楽団だ」と正直に述べていたのが面白かった。最後に審査員の森山良子が「家族写真」を歌ったが、終わった直後に佐渡裕が思わず「うまいですね」と発し、会場の笑いを誘っていたのが印象に残った。散々、素人の歌を聴かされ、うんざりしていた思いが森山良子の歌を聴いて「さすがプロの歌は違う」と思わせた。
 後半は「魂の歌~作曲家たちの祈り2013」と題して、作曲家の岩代太郎氏が3.11の東日本大震災で被災した人たちを励ますねらいで、同じ作曲家8人に呼びかけて、作曲した曲が披露された。震災に直面して、大勢の人が一体、被災者たちのために何ができるだろうか、と自問自答したなかで、作曲家としてやるべきことはやはり曲を作ることで、生きる希望なり、励ましができれば、と思い、賛同した8人の作曲家がそれぞれの思いを込めて曲を作った、という。
 聞いてみれば、なるほどと思われ、披露された渡辺俊幸の「生まれ来る命への祈り」や池辺晋一郎の「もうひとつーオーケストラのために」は心を打つ作品であった。この番組は9月に3.11から2年半を期して記念番組として放送されるとの前提で収録され、司会の佐渡裕もアシスタントのアナウンサーも夏らしい恰好をしていた。途中で、岩代太郎が突然、最前列のお客さんに呼びかけて、「お父さん、今日は何の日か知ってますか」と尋ねた。言われた方はまさか、収録の日で「メーデ-」だと答えるわけにはいかず、戸惑っていると、岩代氏は「今日は私の誕生日なんですよ」と答え、「記念すべき日なんです」と強調したが、すぐに収録であることを想起そしてか、「これはカットですね」と付け加えた。
 最初の方で、司会の佐渡裕が岩代太郎氏を紹介しがてら「この方は優しい曲を作るので優男を想像するのですが、実際は勝新太郎さんみたいにいかつい方なんです」と言ったのが刺激したのか、あとになってこんな暴走を生んでしまった。公開録画の面白さでもある。
 帰りに「魂の歌」のCDを販売コーナーで売っていたので、買おうかな、と思ったが、音楽というのは3.11に限らず常に魂の歌だ、と思い直して見送ってしまった。
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