鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

デフレで老舗のサービスにも変化が起きてきた

2010-03-20 | Weblog
 19日午後1時からの会議のため、地下鉄青山一丁目の駅を降り、財布に1万円札しかないことに気付き、両替することにしたら、昼時で2人ばかり並んでいる。時間を気にして待っているうちに順番がきたので機械を操作すると、「カードを入れよ」との指示が出た。一瞬、両替専門のカードがあるのか、と思ってよく見ると、キャッシュカードでも可となっているので、いつも持参の三菱東京UFJ銀行のキャッシュカードを差し入れて、事なきを得た。しかし、その後に「利用は1回限りです」と画面に表示された。よく商店の釣銭のために大量の両替をするお客がいるのを排除しているのだろうが、以前はフリーのサービスだった両替が利用制限されるようになるとは、そのうちに両替も有料になるのでは、と思った。
 そして、先日あざみ野へ出かけた際のことを思い出した。ショッピングセンターに「イワキメガネ」店があったので、メガネの掃除をお願いに店内に入り、男性店員に「掃除をお願いします」と言って、メガネを手渡すと、受け取った後で、即座に「済みませんが、お名前は」と聞いてきた。苗字を名乗ると、さらに下の名前まで聞いてきた。10数年来、イワキメガネでメガネを作ってきて、いつも掃除を頼んできたが、その際に名前を聞かれたことは一度もなかったので、驚いた。さすがのイワキも路線を変えたのか、と思ったのだ。
 イワキメガネはよそより高いけれど、いつ行ってもメガネの掃除を気軽にしてくれるサービスの良さが売り物だった。メガネを見て、うちの顧客だ、とわかるものなのか、という気もしたが、そんなことにお構いなく、新宿、渋谷、二子玉川など主要な街にあるイワキのチェーン店に立ち寄り、掃除を頼んできた。メガネを掃除した際に掃除のための液の補充も無料でしてくれたので、ずっと愛用してきた。
 あざみ野のイワキメガネ店ではおそらくメガネを受け取った後に、端末を叩いて、こちらが顧客であることを確認して、もし顧客でないことが判明したら、断ったのだろう。いくら無料で掃除のサービスをします、といってもなかには関係ない客まで紛れ込んでいて、買い上げ客でない人にまではしない、ことに決めたのだろう。
 イワキメガネは東京・渋谷に本店を置くメガネ専門店としては老舗といってもいい企業で、長らく業界トップの座を保ってきた。ずっと以前に日経流通新聞の専門店調査で、売上高粗利益率が60%を超え、業種別ではメガネ店がトップだった。なかでもイワキはその最たる位置にランキングされていた。メガネは検眼し、調整するという半ば眼科医の領分に入るようなところがあって、単にフレーム、レンズの価格だけでなく技術料的なものが加わる価格体系となっていて、店によって価格の差が千差万別である。イワキメガネはその技術を売り物にしているので、よそよりも価格が高いが、その分アフターサービスの良さを売り物に業績を伸ばしてきた。しかし、最近のインフレでメガネドラッグやメガネスーパーなど安売り店の攻勢に押されて、さすがに売り上げが伸び悩んでいるのだろう。
 メガネ掃除の顧客限定もその証左とみられ、そのうちにメガネ掃除も有料となるのかもしれない。イワキは次は技術料なるものを見直して、価格戦略も変えてくることだろう。サービスの良さは老舗の売り物でもあるが、デフレはそんな昔ながらのお店の持ち味も破壊していくものなのかもしれない。
コメント (4)
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