鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

朝青龍に果たし状を突き付けられた日本相撲協会

2010-03-12 | Weblog
 大相撲の前横綱の朝青龍が11日、引退後初めてモンゴルへ里帰りし、首都ウランバートル市内で記者会見し、日本相撲協会に対する積年の恨み、つらみをぶちまけた。しかも引退のきっかけとなった初場所中の暴行殴打事件について、「やってない」と濡れ衣であることを明言した。朝青龍はモンゴルでは国民的な英雄で、その朝青龍の言う通りだとしたら、日本相撲協会は朝青龍を石もて追い出したことになり、ことは日本とモンゴルとの外交問題にも発展しかねない要素を帯びてきた。
 朝青龍は引退後、ハワイでゴルフを楽しんでから帰国し、部屋の行事などにも参加していたが、記者らの問いかけにはずっと無言で通してきた。北京経由でのモンゴルへの里帰りでも空港では仏頂面で通していた。それだけにモンゴルでの記者会見では見違えるような笑顔で地元記者の質問に答えていた。ところが、途中で日本人記者が心境を聞いたところ、日本人記者からの日本語での質問には応じない、と答えなかった。順番は前後するのかもしれないが、引退のきっかけとなった暴行殴打事件については「暴行は一切していない」と否定した。
 さらに日本相撲協会に対しては「気に入らない要求もたくさんあった」と現役時代にずっと不満を持っていたことを明らかにした。そいて、「引退は後悔していない」としながらも「一部に私を辞めさせようとした人もいたのは事実だ」と日本相撲協会の対応について疑問を呈し、さながら果たし状を突き付けたような形となった。
 2月4日の朝青龍の引退記者会見に至るまでの経過を見ていて、不自然なところがうかがえたが、これで朝青龍としては不本意な気持ちを持ちながら、会見に臨んだことがはっきりした。しかも朝青龍が協会の運営なり、対応にかねて不満を持って土俵を務めてきたことも裏付けられた。
 クーリエ・ジャポン4月号で評論家の森巣博が「横審の委員とか識者が土俵のしきたりとか、日本の伝統、横綱の品格など訳のわからん論拠で批判し、あまりにも理不尽なコメントを出し、強ければよろしい横綱を引退に追い詰めた」と怒っているが、モングル人からもそう見えることだろう。日本、および日本相撲協会が朝青龍を無理矢理引退させた、と思っているに違いない。だからこそ、朝青龍は日本では腐っても言えない言辞を堂々と述べたのだろう。
 記者会見の内容を聞かれた日本相撲協会は「詳細を聞いていない」としてコメントを避けていたが、暴行事件の真相を含め、なんらかの対応をしないといけないことは確かだろう。また、朝青龍、ないし周辺が疑問に思っている引退の真相を明らかにしないと事は収まらない。
 14日から大相撲春場所が始まるが、ヒール役だった朝青龍がいなくなったせいか、前売り券の売れ行きが芳しくない、そうだ。強かった横綱がいなくなった分、土俵がさびしくなるわけで、魅力も薄れていることだろうが、いつまでも不明瞭な運営を続けていると、ファンは逃げていき、さらに閑古鳥が鳴くようなことになることだろう。 

追記 日本相撲協会のご意見番の漫画家のやくみつるは12日のテレビ朝日の「スーパーモーニング」で、早速「引退相撲の断髪式を控えているのに子供じみた発言だ」と切り捨てていたが、自身、および日本相撲協会がマスコミを利用して、朝青龍を追い詰め、引退に追いやったことを少しは反省すべきだろう。確かに朝青龍にも礼儀をわきまえない点があったのは事実だし、暴行していなのに示談金を払った不自然な面はある。鈍想愚感子もかつて我儘放題の朝青龍は引退すべきだ、と思ったことがあるが、いざああした形で引退してみると、日本相撲協会の強引やり方に怒りさえ感じる。たったひとり異国で矢面に立っていることや、これまで相撲界を背負って貢献してきたことも認めるべきだろう。森巣博氏の言うようにまず相撲は勝つことが先決で、あとのことは本人より、周囲が教えていくべきことで、高砂親方らがそうしたことをしてこなかったことももっと指摘されてしるべきだろう。
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