鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

成功したといえるのか東京マラソン

2007-02-20 | Weblog
 18日午前9時10分、大雨のなか第1回「トウキョーシティマラソン」が約3万人のランナーが参加して、東京・新宿の都庁前をスタートした。ニューヨーク、ロンドン、ベルリンと世界の主要都市で行われている市民マラソンの向こうを張って、石原慎太郎東京都知事が日本陸連とともに一大イベントとして打ち上げたもので、翌19日の新聞、テレビはこぞってその熱狂ぶりを各方面から取り上げた。NHKまでもが夜7時半のクローズアップ現代で引退レースといsて完走した有森裕子をコメンテイターに迎え、取り上げていたほどだった。
 「東京マラソン」は都庁前から皇居、東京タワー、品川。銀座4丁目、浅草を通り、そしてお台場の東京ビッグサイトをゴールとする観光コースを通るもので、まるでマラソンランナーの歩行者天国といったコース。7時間にもわたって交通を遮断するので、警備も含め警察官だけでも5000人を動員し、車の迂回路の指示標識はかつてない規模でのものになった、という。
 3万人の定員のところへ申し込んだ人は9万544人にもなり、結局30780人が参加した、という。それで、7時間で完走したのは2万9852人と約97%にも達した。スタートしてから最後の人までスタートしきるまで20分あっかった。という。他にもボランティアでの運営協力者が数多く現れ、スムーズな大会運営に貢献した。
 市民マラソン大会としては大した事故もなく無事に取り行われ、海外からの参加者からも絶賛され、改めてこうした国際的なイベントを整然と行う力を世界に見せ付けた。
 ただ、東京マラソンに問題がないわけではない。第1に質的なもの。内容的には男子で1位となったのはケニアのジェンガ選手で、日本人トップは2位となった佐藤智之選手であったが、タイムは2時間11分22秒と世界選手権代表には物足りない記録であった。また、女子1位の新谷仁美選手のタイムも2時間31分2秒で好記録というにはほど遠かった。オリンピック出場をねらうような選手にとって東京マラソンが日程を含めて果たして魅力的なものなのか。今回の有森裕子のようにラストランのイベントとして出場するようなレースなのではないだろうか。
 第2には、クローズアップ現代で指摘していたが、今回の東京マラソンには当初からテーマといえるべきものがなかったことだ。たとえば、ロンドンシティマラソンは参加するランナーのほとんどがチャリティを目的としており、昨年のロンドンマラソンでも96億円ものチャリティ資金が集まった、という。
 第3にはまだだれも指摘していないが、収支的な分析を加えなければならないだろう。全体で経費がどれだけかかったのかについては、どのマスコミも触れていない。東京ビッグサイトを全館これにあてているが、これによる機会損失費用は莫大なものがる。
 東京マラソン開催の陰で、伝統の青梅マラソンは日程がぶつかったために、無理矢理青梅マラソンを2週間繰り上げさせ、おかげでお株をとってしまった形となった。
 あれやこれや考えると、来る4月の都知事選で石原知事が負けるようなことがあれば、あっさりと無くなってしむかもしれない。それでなくとも来年は北京オリンピックがあるので、今年のような盛り上がりは望めないだろう。
 単に勝負にこだわらない市民ランナーが楽しむ純粋のお祭り的なイベントとしてなら、生き残ることはできるだろう。質も量もというわけにはいかないだろう。

追記 4月1日に「サンデープロジェクト」に出演した石原知事によると、東京マラソンの経費は18億円で、東京都の出費は4億円、経済効果は180億円だ、という。本当とすれば、大成功ということになるが、我田引水のところがありそうなので、多少割り引いた方がいいだろう。
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