鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

英雄になった警官

2007-02-17 | Weblog
 東京・常盤台駅前の交番のおまわりさん、宮本邦彦警視庁板橋署警部が16日、政府から従七位の旭日双光章を授与されることに決まった。交番横の東武東上線の踏み切りに迷い出た女性を助けようとして、走ってきた電車に巻き込まれて重傷を負い、意識不明のまま死んでしまったから、その勇気ある行動を讃えてのことである。ここ数年、全国の都道府県で毎日のように警官の不祥事が相次ぎ、すっかり警察の権威が地に落ちたところへきて、ふって湧いたような美談に新聞テレビが大きく報道した。しかも最近はバラバラ事件や親子の殺人事件が続発し、すさんだ世相となっていたこともあって、久し振りにお涙頂戴の格好の素材と受け止められたたようだ。
 宮本警部は2年間常盤台交番に勤め、親切で面倒見のいいおまわりさんとして住民から親しまれていた、という。14、15日に東京・板橋区の戸田葬祭場で行われた通夜、告別式にはそれぞれ630人、1500人も参列した異例の事態となった。死亡時には巡査部長であったが、2階級特進して警部となった。
 そして勲章まで授与されることになったのだから、地下に眠る本人もさぞかしびっくりしていることだろう。死んだ直後に弔問に訪れた安倍首相が記者団に聞かれて宮本警部の善行を讃えるなかで、宮本さんというべきところを3回も「三宅さん」と言ってしまったところをまたもやテレビカメラにはっきりととらえられてしまった。だから、今回の叙勲は安倍首相の失言の”お詫びの印”ということになるのかもしれない。
 それにしても安倍首相の頭の中は一体全体どうなっているのだろうか。人の名前を間違えるなんて政治家ともあろうものが考えられない。普通なら、すぐ傍に秘書がついていて、即座に修正するのだろうが、秘書にも見放されてしまった、とは大したVIPである。折角、支持率低下しているので、宮本人気にあやかって少しでも人気浮上の材料にでもしたい、という努力が水の泡、どころか、却ってマイナスとなってしまった。
 それにしても考えてみれば、警官が人の命を救うという行為は当たり前のことである。当たり前のことなのにいまの警官はとてもそんなことはしないし、その行為によって死んでしまったことが美談に拍車をあっけることとなった。死んで英雄になったわけである。本人は死ぬなんて考えていなかった、と思うが、結果として死を招いてしまった。踏み切りにさまよい出た女性が気のふれた人だったようで、身代わりになったことも出来すぎた話となった。後々に心ある人の手になって漫画か、映画が作られ、みんなに語り継がれるようなことにでもなるかもしれない。
 題して「ときわ台交番物語」である。
 
 
コメント
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