鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

またぞろサクラ動員で非難の裁判PRセミナー

2007-02-01 | Weblog
近々導入される裁判員制度のPRをするためのセミナーの運営を任された産経新聞と千葉日報両社が、受講者を集めるため、アルバイトとして1人5千円を払って動員したことが明らかとなった。今回はこうしたことの常連の電通ではなく、マスコミであったが、貴重な税金をサクラの動員に使うとは言語道断と批判されている。セミナー運営責任者をしたことのある人なら経験があるだろうが、受講者が集まらない場合の苦労は大変だ。施主に安請け合いでもしていようなら、それこそ逃げ出したくなる。が、そうしないのがプロたる所以だろう。
「裁判員制度全国フォーラム」は最高裁が全国各地でこれまでに64回開催しているが、このうち4カ所の会場で、共催の新聞社2社がサクラの受講者を集めていたことが判明した。産経大阪本社は今年1月20日に大阪で開いたフォーラムで、人材派遣会社に1人5千円を払い、70人集めたほか、昨年10月の大阪、同年11月の和歌山でも人材派遣会社や広告会社などを通じ、計174人を集めた。また、千葉日報社は昨年1月、1人3千円を払い、38人を集めた。
両社とも謝礼は社内経費から出したし、サクラの参加者に質問の依頼はしてあない、という。やらせ質問をしたタウンミーティングほどは悪質ではないが、フォーラムの趣旨、目的に沿わない不適切な行為であることであるのは間違いない。
最高裁としては新聞社なら受講者を集めるのに頼りになる、と思ったのたろうが、裁判員制度のような固いテーマのイベントのPRには向いていないのだろう。もっと適したメディアなり、情報伝達の方法があるだろう。それでも集まりがよくない、ということなら、裁判員制度そのものを見直せばいいことだ。だから、サクラを動員する前に施主の最高裁に正直な反応を伝えるのが筋だった。もちろん、その前にフォーラム開催にあたって、きちんとした企画と受講者動員のためのプロモーション計画が立てられていなければならない、のはいうまでもない。そのあたりをいい加減にしているから、今回のような問題が生じる。むしろ、責められなければならないのはこの点である。
かつて鈍想愚感子はセミナーを主催運営する立場にいたことがある。厄介なのは有料セミナーで、ぎりぎりまで受講者が集まらない時だ。講師を頼んだ会社にも顔向け出来ないし、事業収支にも響いてくる。こんな時に時間に余裕があり、それなりに格好がつき、なおかつ秘密が保てる悠々自適の老人クラブみたいな組織でもあり、メールで手軽に動員できれば便利なのに、と本当に思ったことがある。
いまどきのセミナー主宰者たるもの、そのくらいの準備が必要かもしれない。

追記 2日付けの朝日新聞33面に「16億円かけ必死のPRも裁判員参加ムード低調」との記事が掲載されている。最高裁の予算は年間13億円で、そのうち6億円はメディア広告に投じている。セミナーでは電通の出番はなかったようだが、こっちではガッチリ掠め取っているようだ。他に法務省が3億円。日弁連が2400万円投じてPRに努めていても、国民の裁判員に応じよう、との気にはつながっていない。こんな無駄ガネを放っておく政府もだらしない、といえばだらしない。女性蔑視発言の柳沢厚労相の首も取れなくて、こんなことが次から次へと暴露されるようでは真面目に税金を納めている国民の怒りが爆発するのは当たり前だ。

追記2 2日夕違うテーマの講演会で、実はこの裁判PRセミナーも電通がかんでいたとの情報を聞いた。電通がついていながら、こうした事態が起きているとは、まさに驚きである。電通がついていたのなら、経費が大幅に上乗せされているのは間違いなく、タウンミーティングで起きたのと同じようにいま一度経費の水増し請求がクローズアップされるに違いない。
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