当時のイタリア映画というのは、政治的混乱と不信の真っただ中で作られたものということ。
ただそれを作者が批判的に捉えているのかというとそうでもなくて、かなり強引にインパール作戦のモチーフが持ち込まれるのだが、インパール作戦というと失敗を認めずに深入りして誰も止めず止められず部下に多大の犠牲を強いてしかも何の責任をとらないという今の日本でもよく見られる失敗の典型なのだが、それとここで描かれる事件あるいはそれに対する対応が結び付くのかよくわからず、どうも強引にくっつけた印象が強い。
今の日本でインパール作戦の失敗のミニチュアなど政界財界他どこにでもいくらでもあるだろうし、作中出てきた「戦争を再び起こそうとする勢力」がその類であることなのは頭でわかるけれど、その失敗ぶり、チェック&回復機能の欠落が具体的に描かれるわけではないので、どうも印象が弱い。
「ローマに散る」などは政界法曹界にわたる陰謀が具体的には描かれず暗示に終始していたけれど凄い不気味な迫力があったなと思ったりした。
法曹を描いた日本映画としては珍しく画面がモダンで垢ぬけている。パキパキした感じの編集はシャープともとれるし、ちょっとうるさい感じもする。
会食シーンが多いけれど、どんな料理なのか一見するわからないくらい凝ったものが多い。原田眞人監督のブログを見ると食道楽であることがうかがわれるので、当然その影響だろう。
キムタクがずらずらっと同じ誕生日の有名人の名前をいかにも英語式の発音で並べていくところで、最後のドナルド・トランプははっきりわかったが、他にイエールジ・コジンスキー(この人の発音表記はいろいろあって、イエジー・コシンスキともジャージ・コジンスキとも表記される)の名前があったような気がして調べてみたら、コジンスキーは6月18日生まれ、トランプは6月14日生まれなので聞き違えか。
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