prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「不都合な真実」

2007年02月07日 | 映画
客席が800ある劇場の三分の二がシルバー世代で埋まっていたので、ちょっとびっくり。
映画の中でも自動車の環境基準が今のところ一番高いのが日本で、エコロジー・カーに強いのがトヨタとホンダで、先進国で国民一人当たりの二酸化炭素排出量が低いのも日本、という具合に、けっこうニッポンやるじゃないという感じ。もちろん満足していいわけはないにせよ。

だけれど環境問題が政治の問題である以上、アメリカや中国といった大国のエゴになかなかよその国から口を出せないのも事実で、なんだか切歯扼腕という感じ。

映画はアル・ゴアが主にアメリカ国民に訴えている主張を伝えているわけで、若干こちらの受け取り方は主張そのものをストレートに受け取るのとはズレる。エンドタイトルで今環境のためにできるこで数えたら個人で出来ること四つに当てはまっただけで、「他人に」訴えて影響を及ぼすという効果になると、どうしても懐疑的になる。
中国での講演が好意的に受け取られる情景が出てくるけれど、それが政策に反映されることはアメリカ以上にないのではないか。

正直、ゴアのキャラクターについてはまったく知らなかったし興味もなかったけれど、近寄って見れば支持者が大勢出るのも不思議はない。映画の力でもあるし、これまでの情報の偏りでもある。

なかなか危機に気づこうとしないで煮られてしまう茹で蛙の比喩がアニメで出てくるが、カエルが煮られないでさっと助けられるというユーモアがいい。えてして日本でこの比喩が使われる時の脅す一方の口調とは対照的。
(☆☆☆★★)


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「ディパーテッド」

2007年02月06日 | 映画
「インファナル・アフェア」が男の美学(あの、主役二人が互いに銃を突きつけ合う構図!)に傾いていたのに対して、こちらは警察もマフィアも関係なくどいつもこいつも人を騙し続けるのが当たり前、騙した方が勝ちという状態になっていて、国中身も蓋もなく「ネズミ」(スパイ)だらけという感じ。ホントにネズミが出てきたのは驚いたけれど。

「24」シーズンⅣでもそうだけれど、最近はアメリカ映画で中国絡みのトラブルが描かれること増えたね。これからもっと増えるぞ。オリジナルが香港なことを考えると皮肉。

スコセッシ得意の縦横斜めに動くカメラ、音楽処理、編集などものすごく凝っている割に、不思議といかにも凝ってますといった感じは薄れた。
見やすくなったとも、スタミナがなくなったとも言える。

マーク・ウォルバーグ(セリフにも恵まれ、儲け役)とマーティン・シーンが出てくるシーン、なぜか英語字幕はないのに日本語字幕だけ役の名前と職名が出てくるのだけれど、なんなのだろう。「ユナイテッド91」でも英語字幕がないところに日本語字幕が出てきてその時々の場所を示していたけど、余計なお世話だと思うけどなあ。
(☆☆☆★)


「ストリートファイター(1975) 」

2007年02月03日 | 映画
ブロンソン=コバーンという強力な組み合わせを手に入れたところで満足しちゃったみたい。
ブロンソンが強すぎて危機に陥ったり逆転したり、というところがないし、コバーンが追い込まれるところも自業自得って感じが強いのであまりパンチが効かない。

オープニングが貨車に乗ってやってくるブロンソンというからには、ラストも貨車に乗って去っていくブロンソンでないと結構がとれないと思うのだが。

1933年のニューオーリンズのムードの醸成が撮影・音楽ともども一番の魅力。
(☆☆☆★)


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