prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「TATSUMI マンガに革命を起こした男」

2014年12月02日 | 映画
辰巳ヨシヒロの劇画短編を原作にしたオムニバスに辰巳自身の生い立ちや劇画家としての歩みを組み合わせた作り。

監督のエリック・クーがシンガポール生まれなのをはじめ、全部で9ヵ国のスタッフが集まって作ったというのだが、不思議なくらい戦後の日本の匂いがする。原爆や戦後風俗を扱っているからには違いないのだが、貧しさとかそれと裏腹の猥雑なエネルギーなどは今のアジア全般あるいは世界に通じるということだろうか。

収録されている短編のひとつ、「はいってます」がOCCUPIEDという英語タイトルなのが、否応なくOCCUPIED JAPAN(占領下の日本)を連想させ、今だって占領は続いていると思わせる。

古い劇画の絵柄をアニメに生かしているのに驚く。
あまり過剰に色をつけたり目立った映像処理をしたりアニメだからと動かしすぎたり、つまりいじりすぎないようにしておいてペンタッチは再現しているのだから、どういう作り方をしたのかと思う。

欲をいうとマンガの神さまとしての手塚治虫は出てきても、劇画工房の仲間たち(石川フミヤス、K・元美津、桜井昌一、山森ススム、 佐藤まさあき、さいとう・たかを、松本正彦 )といった人たちについてはあまり描きこまれていない。
そこまで手を広げたら収拾がつかなくなるには違いないが。

個人的には長井勝一の「『ガロ』編集長」で描かれた戦後から劇画創成記のドタバタを映像なり劇画なりで見てみたいと思う。
(☆☆☆★★)


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TATSUMI マンガに革命を起こした男@ぴあ映画生活

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