prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アイアンクロー」

2024年04月10日 | 映画
父フリッツ・フォン・エリックがテキサス大学時代にクラリネットで奨学金を得ていたというのにびっくり。
星一徹のアメリカ版みたいなキャラからはちょっと想像つかない。

フリッツは息子たちに自分がとれなかったNWAチャンピオンの座につかせるのに執念を燃やしているわけだが、当時のNWA王者というのがハーリー・レイスとかリック・フレアーといったなんだか軽い(対戦した相手によるとそれなりの上手さはあるらしいが)相手なもので、なんだか今ひとつピンと来ない。

ここでは出てこないがNWAの権威というのはおそらくルー・テーズの名前と936連勝記録と共にあったわけで、それに比べるとチャンピオンの座の重さがチャンプその人の重量感と逆転してしまっている。

とはいえドラマの中心になるケビン・フォン・エリックは早く亡くなった長男のジャックJrを除けば最年長で、弟たち(全部男兄弟なのね)とも仲は良い。
その仲のよさと素直さが良くも悪くも父親への反発や葛藤にはなかなか結びつかないわけで、そのあたり星一徹と星飛雄馬とは違う。

東京高輪東武ホテルでの三男(事実上の次男)のデビッドの急死をどう描くのかと思ったら、父親が電話を受けるだけで日本の場面など出てこないあっさりした描き方で、以降も悲劇の描写はあっさりしたものに抑えられている。
いきなり全部見せずに省略を効かせながら少しづつ見せていくといった演出をとっている。

プロレスの描写などはずいぶんこってり凝っており、俳優たちの身体の作り方からそっくりぶりからまあ凄い。

団体間の競争が激しくなってレスラーも薬物に頼ることが増えたのがエリック一家の悲劇の原因かと思っていたが、ドーピングが問題になってきたのは2005年のエディ・ゲレロや2007年のクリス・ベノワの死からで、1985年のデビッドの死とはタイムラグがある。それだけ長いことほったらかしにしていたということかもしれない。






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