prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」

2024年03月28日 | 映画
若松孝二はじめ、井上淳一、木全純治と登場人物が全員実名(金本法子は在日の通名という別の事情はあるが)とは珍しいのだが、それだけ若松プロの身内で作られたということだろう。

とにかく若松孝二のキャラクターとそれを演じた井浦新が魅力的。
怒りと反抗を抱えた監督としての資質とプロデューサーとしてソロバンを弾ける実務能力と、局面によって違う面がくるりくるりとシームレスに変わる。
スタッフたちの紙コップにも名前書かせたものだから「ケチ」と自分の紙コップに落書きされたというエピソードを思いだした。
それで結果として新人監督を世に出すことになるのが可笑しい。ちょっとロジャー・コーマンを思わせる。

新人をほったらかしにするのかと思うとでしゃばって自分が演出してしまったりと、撮影現場だけでなく若松プロとそれにまつわる人間関係全体を演出しているとも言える。

井上淳一が育ちがよくて若松とは対照的に怒りや反抗といった資質がなく(まあなんと理解のある両親、特に父親であることか)それが逆に負い目になったりしている。
在日だと名乗るタイミングが重くならないのがスタッフキャストがかぶっている「福田村物語」とは対照的。