prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「リーサル・ストーム」

2021年03月06日 | 映画
明らかに「リーサル・ウェポン」にあやかったタイトルだし、広告でもメル・ギブソンが一番大きいが、ビリング(配役序列)では三番目。
よくある一番おしまいに別格扱いで名前を出す(トメというらしい)のとも違う感じで、メルがユダヤ人差別発言その他でかなり映画界での地位が微妙になったのが伺われる。

原題はForce of Nature 自然の力。ただし、タイトルとは裏腹に自然災害をスペクタクルとして見せるようには作っていない。

プエルトリコに来た台風の最中に安アパートに残っているそれぞれいわくありげな住人たちに避難を促しに来た警官ふたりが、そのアパートにあるお宝を狙って侵入してきた狂暴なギャングたちと戦うという、「ダイ・ハード」と「フラッド」を足して二で割ったみたいな話。まずこういう設定だとつまらなくなりようがないのだが、それ以上の上積みを要求したくなるのは痛し痒し。

アパート内部の部屋の位置関係や空間描写が今ひとつで、主人公の警官がトラウマを克服するあたりも「ダイ・ハード」の脇筋っぽいが、比べてしまう分、損でもある。

住人たちがとんでもない動物を飼っていたり、「トレマーズ」のマイケル・グロスみたいにやたら大量の銃を部屋に隠し持っているのがいたり、お宝の隠し方といった工夫は色々楽しいのだけれど、それらが必ずしも充分に機能しないのは惜しい。