prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「あの頃。」

2021年03月14日 | 映画
客観的に見たら相当にどうしようもないオタク連中を笑い者にするのでも同化するのでもなく、微妙な距離感をもって描いているバランス感覚に優れているのは美点。
特にアイドルに興味があるわけではない人間でも入り込める。

ただ、その分彼らが時間が経ってもオタクを“卒業”するとも、続けるともつかないで、実際にあったこととはいえかなり外的な要因で終わりを迎える後半はどうも締まらない。
このあたりで終わりそう、と三、四回思ったくらい。

松浦亜弥その人が出てくるシーンで後ろから撮るとかして外すかと思ったら、山崎夢羽が完コピしているのにびっくり。一瞬当人が出ているのかと思った。
ここで一回個人的には“卒業”してはいるのでしょうね。

松坂桃李が引き受けたことで成立したという感じがかなりする。
およそ冴えない外観に成りおおせているのは役者だから当然とはいえ、やったことのない役をやるのと映画企画として成立しにくいものを成立させるのに利するのと、両方の役割を果たしている。

仲野太賀がしきりと標準語だと「おまえ」「あんた」という代わりに関西弁で「自分」と呼ぶのが、本当に自分にかえってくる言葉と機能している感じ。