prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「あるスキャンダルの覚え書き」

2007年07月18日 | 映画

ジュディ・デンチがストーカータイプの女学生みたいな真似を御年72歳で演じてみせるのがまことにコワい。
冷静な無表情の時の抑制と集中と、猫が死ぬと身も世もなく異様に取り乱すあたりのコントラストの見事さ。

普通のドラマ作りだとケイト・ブランシェットが15歳の生徒とデキてしまうのをいかに「正当化」して描くかに腐心するのだが、デンチの眼を通してまことに冷徹に描かれていて感情移入の余地はまるでない。

原作のモデルになった事件はアメリカで起きたらしいが、イギリスに舞台を移して取り澄ました顔と裏の底意地の悪さとを生かしたのが成功。
(☆☆☆★★)