prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「この胸いっぱいの愛を」

2005年11月05日 | 映画
タイムスリップするくだりがひどくメリハリが効かず、なんでわざわざ航空機で一緒になった4人をピックアップして昔に送り込んだのだろう、後に出てくるバスに乗り合わせた設定にしてトンネルを抜けたら20年前でしたとかいう描き方にすればずっとわかりやすいのに、と思い、また過去の自分に会うとどうなるかといったタイムパラドックスにまるで無頓着なのをずっと気にしていたら、後でそれなりの理由があることがわかる。

すると、ここでは過去と現在とか、生者と死者といった区分のはっきりしない、一種、能楽のような世界にしたかったのかと思えて来たら、ラストその通りの場面になったので一応納得。
能のシテがあの世から来てワキに情念を吐露して去っていくような流れになっているわけね。

ただ、ストーリー映画というのはあれかこれかという区分を要求する性格があるのと、場面場面では泣かせのメリハリをつけようとしている割にいくらなんでもと思うような説得力のない設定が目立ったりして、映画に乗りかけるとブレーキをかけられる繰り返しみたい。

写真は、改築中のTBS(この映画の製作会社の一つ)の工事現場の塀に描かれた看板。
(☆☆☆)



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