prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「家族のかたち」

2004年08月06日 | 映画
原題ONCE UPON A TIME IN THE MIDLANDSは、音楽と共にほとんどセルジオ・レオーネのONCE UPON A TIME IN THE WESTのノリ。事実、現代のイギリスを舞台にしているにも関わらず、ストーリーは「この町は俺たち二人がいるには狭すぎる。明日の朝までに出ていけ」というほとんどブッシュ好みの定型なのだ。悪の3人組なんてのも出てくるし。

ただし、どっちがよそもので、どっちが残るかという点が微妙なところが見もの。アメリカだったら血のつながりだけが家族の基準ではないという図がもっと出たろうが、舞台のノッティングヒルはローカリティが強いから、どっちがどうなるかラスト近くまでなかなかわからない、ムサい連中ばかり出てくるわりにデリケートな手付き。
グラスゴーにいるとか、ウェールズに帰れといった台詞がどういうニュアンスなのかは、なかなかわからない。
(☆☆☆★)

「69 sixty nine」 

2004年08月06日 | 映画
60年代のアイテムを良い意味でつまみ食いしたノーテンキ青春映画。特に音楽は、ノスタルジアではなくハジけていて、いかにも青春ものという感じになる。
実際激しく反抗と抑圧がせめぎあった時代でもあったわけだが、ラスト「アメリカン・グラフィティ」風にその後を描くのかと思わせてぐるっと冒頭に戻る処理は、その後の時代をうまくオミットしている。実際のその後は反抗した連中が破滅するか堕落するかで、抑圧の勝ちばかりが目立ってしまい、強いてノーテンキにしようとすると盛るべき器がない。青春の血の気が多すぎて方向がわからないまま噴出する感じがよく出た。バカにする意味でなしに健康的。
監督が在日でなかったら、逆になんか各方面から文句が来そう。
(☆☆☆★)

「からみ合い」

2004年08月06日 | 映画
山村聡の3億の遺産を狙って、渡辺美佐子・千秋実・宮口精二・仲代達矢・岸恵子らが陰謀と駆け引きを繰り広げるが、今の目から見るとずいぶん手口もアモラルぶりも甘くて、結末も簡単に読めてしまう。1962年の金銭価値は、今のだいたい10分の1のよう。価値に対する感覚が、今はいかにマヒしているかわかる。
演技陣と映画技術の重厚さは、再現不可能。小林正樹のモラリストぶりが逆に印象づけられ、その本気ぶりはかつてこういうものがあったのだと思うほど。
(☆☆☆)

過ぎたるは

2004年08月06日 | Weblog
それにしても、映画の公式ホームページって、視聴覚表現の広告だからというつもりなのかどうか、FLASHに凝り過ぎてなかなか知りたいスタッフ・キャストのプロフィールに辿り着けないことが多い。あんなに凝ることないよ、おしなべて。

洪水が来て、黒い水が打ち寄せてくる家の中をあちらこちら逃げていると、バカに背の高い韓国人が迫ってくる、という(目が醒めてから考えると)最近流行っているものばかり出てくる夢を見た。なんなんですかね。