マリモ関係でアイスランドへ出張していたマリモ博士こと、若菜学芸主幹が帰国して、現地の報告を聴く機会がありました。
今回の出張の目的は、第一はマリモの特別天然記念物指定60周年記念事業に供するための展示用マリモの採取と輸送ですが、実は今訪問先のミーバトン湖では大量にあったはずのマリモが急速に減少しているとのことで、その要因について調査支援をしてほしいということもありました。
現在公式に確認されているマリモの群生は阿寒湖とミーバトン湖だけで、阿寒湖との共同研究や保全を巡る協力体制はこれまでも続いてきたものです。
※ ※ ※ ※ ※
アイスランドは北海道と同じくらいの面積。
ミーバトン湖の「ミー」とはユスリカのことで、それをエサにするためにカモや白鳥などが多数飛来する、ヨーロッパでも最も大きな鳥たちの飛来地として有名です。
ラムサール湿地にも釧路よりずっと早く指定されているのだそうで、昔から鳥の楽園だったようです。
湖の出来方は溶岩が川をせき止めてできた湖で、阿寒国に比べても非常に浅いのが特徴。
湖の中は島が多くて流れは複雑。若菜さんは「洗面器のような感じ」と表現していましたが、深いところのある阿寒湖とはちょっと様子が違います。
※ ※ ※ ※ ※
ミーバトン研究所とは10数年来連絡を取ってきましたが、アイスランド政府がマリモを保護種に指定した2006年以来、急速にその数を減らしているというので、若菜さんは現地の湖を実際に潜水調査して現状を確認してきたのだそう。
若菜さんは、99年に初めて現地調査に行き、以来相互に比較して研究するプロジェクトが進んできました。
ミーバトン湖のマリモは阿寒湖の半分くらいのせいぜい10センチほどの大きさですが、分布面積にすると阿寒湖の20倍はあったそうです。
※ ※ ※ ※
しかし今回潜水調査をしたミー湖ではかつてマリモ群落が大量にあった場所がほぼ壊滅。面積は数十分の一になっていて驚いたのだとか。
湖底にはマリモの姿が見えなかったのですが、上層を覆っている泥や他の藻類などをどけるとある程度のマリモが出てきたそう。
上層の堆積物を取り除くとマリモが出てくるので、まだ完全に死滅したわけではないが、このような状態が続けば早晩死滅するのではないか、と危機的な状況です。
マリモを球状に維持するために必要な外部条件は、マリモを適度に動かす風の力と、光合成のための光。
ところがミー湖では今世紀に入ってから、嵐の頻度が全盛期に比べて半減しているのだそうで、これが原因で湖底がかき回されていないらしいのです。
また光の条件の方は、意外なことにここ数年、湖の珪藻土を採取する工場が閉鎖してことで子推譲化が進んで水の透明度は向上してきたのだそう。
ところがこのことで湖底にそそぐ光の強さが強くなり、それまでマリモには有利ながら他の藻には不利という状況が代わって他の藻類の繁殖が旺盛それがマリモの上に積り光合成を阻害し、とうとうつぶれて動けなくなる…という負の連鎖が起きている模様。
若菜さんは、「一見水がきれいになると環境条件は向上したように思いますが、実はマリモが球状に生育できる条件はとても幅の狭いもので、ちょっとしたバランスの乱れが群落の成否に大きく影響することを目の当たりにして、マリモのむずかしさを改めて認識しました。また、だからこそ阿寒湖に球状マリモ群生があることの意味がますます重要になるのではないでしょうか」と語ります。
環境の難しさがよくわかるエピソードです。
※ ※ ※ ※ ※
若菜さんはミーバトン湖から譲り受けたマリモを見せてくれましたが、大きさは10センチほどで良い形をしています。
「マリモって植物でしょう?国内持込みの検疫は大丈夫だったのですか?」と心配になって訊いてみました。
すると答えは、「根と土がついているとかなり厳しいのですが、マリモは根も土もついていないのでそうした検疫には引っかからないのだそうです。今回私も初めて知りました」とのこと。
さて、今年の釧路の秋はマリモで盛り上げましょう。
今回の出張の目的は、第一はマリモの特別天然記念物指定60周年記念事業に供するための展示用マリモの採取と輸送ですが、実は今訪問先のミーバトン湖では大量にあったはずのマリモが急速に減少しているとのことで、その要因について調査支援をしてほしいということもありました。
現在公式に確認されているマリモの群生は阿寒湖とミーバトン湖だけで、阿寒湖との共同研究や保全を巡る協力体制はこれまでも続いてきたものです。
※ ※ ※ ※ ※
アイスランドは北海道と同じくらいの面積。
ミーバトン湖の「ミー」とはユスリカのことで、それをエサにするためにカモや白鳥などが多数飛来する、ヨーロッパでも最も大きな鳥たちの飛来地として有名です。
ラムサール湿地にも釧路よりずっと早く指定されているのだそうで、昔から鳥の楽園だったようです。
湖の出来方は溶岩が川をせき止めてできた湖で、阿寒国に比べても非常に浅いのが特徴。
湖の中は島が多くて流れは複雑。若菜さんは「洗面器のような感じ」と表現していましたが、深いところのある阿寒湖とはちょっと様子が違います。
※ ※ ※ ※ ※
ミーバトン研究所とは10数年来連絡を取ってきましたが、アイスランド政府がマリモを保護種に指定した2006年以来、急速にその数を減らしているというので、若菜さんは現地の湖を実際に潜水調査して現状を確認してきたのだそう。
若菜さんは、99年に初めて現地調査に行き、以来相互に比較して研究するプロジェクトが進んできました。
ミーバトン湖のマリモは阿寒湖の半分くらいのせいぜい10センチほどの大きさですが、分布面積にすると阿寒湖の20倍はあったそうです。
※ ※ ※ ※
しかし今回潜水調査をしたミー湖ではかつてマリモ群落が大量にあった場所がほぼ壊滅。面積は数十分の一になっていて驚いたのだとか。
湖底にはマリモの姿が見えなかったのですが、上層を覆っている泥や他の藻類などをどけるとある程度のマリモが出てきたそう。
上層の堆積物を取り除くとマリモが出てくるので、まだ完全に死滅したわけではないが、このような状態が続けば早晩死滅するのではないか、と危機的な状況です。
マリモを球状に維持するために必要な外部条件は、マリモを適度に動かす風の力と、光合成のための光。
ところがミー湖では今世紀に入ってから、嵐の頻度が全盛期に比べて半減しているのだそうで、これが原因で湖底がかき回されていないらしいのです。
また光の条件の方は、意外なことにここ数年、湖の珪藻土を採取する工場が閉鎖してことで子推譲化が進んで水の透明度は向上してきたのだそう。
ところがこのことで湖底にそそぐ光の強さが強くなり、それまでマリモには有利ながら他の藻には不利という状況が代わって他の藻類の繁殖が旺盛それがマリモの上に積り光合成を阻害し、とうとうつぶれて動けなくなる…という負の連鎖が起きている模様。
若菜さんは、「一見水がきれいになると環境条件は向上したように思いますが、実はマリモが球状に生育できる条件はとても幅の狭いもので、ちょっとしたバランスの乱れが群落の成否に大きく影響することを目の当たりにして、マリモのむずかしさを改めて認識しました。また、だからこそ阿寒湖に球状マリモ群生があることの意味がますます重要になるのではないでしょうか」と語ります。
環境の難しさがよくわかるエピソードです。
※ ※ ※ ※ ※
若菜さんはミーバトン湖から譲り受けたマリモを見せてくれましたが、大きさは10センチほどで良い形をしています。
「マリモって植物でしょう?国内持込みの検疫は大丈夫だったのですか?」と心配になって訊いてみました。
すると答えは、「根と土がついているとかなり厳しいのですが、マリモは根も土もついていないのでそうした検疫には引っかからないのだそうです。今回私も初めて知りました」とのこと。
さて、今年の釧路の秋はマリモで盛り上げましょう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます