宝塚バウホール、2018年10月13日11時。
19世紀のフランス。男爵家の次男として生まれたイヴ(瀬央ゆりあ)は、家督を継ぐ必要もなく早くに実家を出ていたが、定職にも就かず上流階級相手の便利屋のようなことをしていた。あるとき、イヴは社交界デビューの場となる舞踏会、デビュタント・ボールを取り仕切るリーズ侯爵夫人(音波みのり)から、これまで一度も人前に出たことがないという伯爵令嬢ミレーユ(星蘭ひとみ)のエスコートを頼まれる。イヴは友人の古美術商のビュレット(紫藤りゅう)とその妹ナタリー(桜庭舞)から改めてワルツの指南を受けなければならない有様だったが、舞踏会当日、ミレーユの緊張をほぐそうとするうちにイヴのリードは舞踏会にふさわしくないものになり…
作・演出/正塚晴彦、作曲・編曲/玉麻尚一、振付/伊賀裕子、平澤智。星組4番手スターの初主演作、全2幕。
何度も何度も書きますが、私はそれこそデビュー(笑)が『メラジゴ』だったため、ハリーの作風が好きですし評価が甘い自覚もあります。意外と浅薄な知識とイメージだけで書いている感のある古美術商とか故買屋とか王侯貴族とか革命とかテロリストとかのモチーフも嫌いではありません。しかしいつまでもいつまでも縮小再生産ギリギリの同工異曲を繰り返していてもいいものなのでしょうか。作家って、書きたいものが次から次に湧いてきて自分でも止められなくて、懸命にプレゼンし発表の場を獲得して、渾身の力で練って盛り込んで仕上げて発表して、評価される…ものなのではないのでしょうか。なんとなく順番に登板機会が回ってくるので、じゃあ、と冷蔵庫開けて入っている材料でちゃちゃっと料理して出すか…みたいな態度は許されないものなのではないでしょうか。でも今、私には、ハリーの創作活動は残念ながらそう見えます。
ウィーンのものが有名ですが、今なおヨーロッパには貴族階級なんでものがあるのか極東の島国のド平民たる私にはわかりませんが、デビュタント・ボールなるものがある、ということ自体は私でも知っています。少女漫画とかからかつて得た知識です。それが、近年ではオートクチュールのドレスや宝石の発表の場になっている、というのは初耳でしたし、おもしろいなと思いましたし、そこから着想を得て…というならそれは目新しいはずなのですが、しかし他はあまりにいつもの…そしてところどころ劣化している部分もあるハリー脚本で…そんな仕事の仕方でいいの本当に?と首根っこ捕まえて揺さぶってやりたい気分です。
その宝石が盗難に遭って、その解決を主人公が頼まれて…というのは、いい。でも結局、主人公はなーんにもしないままに事件は勝手に解決しちゃうんですよね。それもこれも朝水りょうがカッコいいからですよ。そりゃ正解ですよ? この生徒の正しい起用法ですよ? イヤ正確には、朝水りょう演じるアダム、「とある組織の幹部」(「幹部」なのか? ボス、首領ではなかったのか?)がとてつもなくいい男、というかプライドみなぎるすんばらしい人格者だったので、さくっと善処してくれちゃうわけですが、しかしそんなんでいいのかストーリー運びとして? 主人公の活躍をもう少しくらい描くべきではないのか?
またその主人公像が、要するにハリーお得意の、というかよくある、というかおそらくご自分の理想の青春時代、生き方、見果てぬ夢なんでしょうが、単なるモラトリアム青年、にすぎないんですよね。この作品は、デビュタントをエスコートするよう依頼された実はモラトリアムの青年が、真の人生にデビューすることになるまでの経緯を描いた物語…というのかキモであり、そのワンアイディアだけの作品なんだけれど、本当にそれしかないので、もっと凝れよ盛れよ作家だろ?と言いたい気分になるのです。エンタメなめんなよと言いたい。
カモフラージュのタイトルロールたるミレーユのせーらちゃんがヒロイン扱いされていないのも引っかかりました。まあこれはハリーのせいではなくて組の人事都合なんでしょうけれど、新公ヒロインもきっちり務めている、劇団が押しに押している美人娘役なので、これが初バウヒロインかと思っていただけに意外でした。どうした急にこの扱いは? マメちゃんが歌えるのは知っていますが、組替えしてきたばかりの生徒だし、並べるほど今後起用する意図があるというの? でもなんかちょっとルリルリしていないというか、上手いしお化粧も綺麗なんだけれど、娘役さんというよりは女優さんっぽくて、私はそれより何もできなくてもせーらちゃんの娘役としての華がとにかく素晴らしいと思っているので、これが人事上の都合だというならホント謎です。
まあでもまこっちゃん嫁はくらっちで決まりで、そのあとはなんとも読めないからな…せおっちなのかどうか、という点も含めてね。これは私がせおっちの顔があまり好みじゃなくてピンときていないせいもありますが(しかし最近本当に垢抜けてきたとは評価しています)、今回もしどりゅーが本当に上手くて華もあって、このまませおっちの2番手ポジションみたいなところしか与えないんじゃもったいないんでじゃないのぴーとかかりんとか詰まってるけどならたととえば組替えしたらもっと活躍できたりしないの?とか妙に心配になってしまったからで、人事のことは本当にわからないし余計なお世話なのでしょうが…ホント謎でした。
水乃ゆりちゃん含めトリプルヒロインで、男役陣もせおっちしどりゅーかりんと揃えてフィナーレも3組デュエダンで…とかならまだよかったと思うのですが、男1女2のパ・ド・トロワは『太陽王』のときにも言ったかもしれませんが男役が単なるプレイボーイに見える、というか女を両天秤にかける最低の男に見える気が少なくとも私はするので、スターの人気を上げるためにはあまり得策ではない気がするのですよ…ラストにイヴとナタリーが話すくだりがあったのだから、そのあとイヴとミレーユの場面も作って、「あなたのおかげで人前に出られるようになった。感謝している、愛してる。あなたがどこに旅立とうと、あなたの帰りを待っているわ」とか言わせてヒロイン扱いしてあげてもよかったと思うんですけどねえ…てかその方が自然だし、マジで客ウケがいいと思います。女は男が考える以上に一夫一婦制を支持しているものですよ、というかフィデリティ上等、と思っているものなのです。一対一のロマンチック・ラブ・イデオロギーには下手に喧嘩を売らないことをお勧めします。
しかし水乃ゆりちゃんは、確かに当初はダンサー抜擢だったと思うし美貌に注目してきましたが、いざしゃべらせ歌わせたら発声の訓練が全然できていなくて、今後も路線で起用する気があるなら早急になんとかしてください、というレベルでしたね。可愛い顔して意外にかかあ天下っぽい役作りは良くて、脚本なのか本人の芝居なのかはわかりませんが、そこは期待したいなとは思ったんですけれどね。
それからかなえちゃんとかとりーぬもある種正しい起用だと思うのだけれど、かなえちゃんのマイク音量含め、もうちょっと調整しないと笑えなくてイタい…
この両親から繊細すぎてある種イタいミレーユが生まれるのはもしかしたら当然のことのようだし、ちょっとダイコンっぽいせーらちゃんのこれまた正しい起用法でもあると思うのですが、だからこそヒロインとしてきちんと遇してあげてほしかったです。
でもナタリーとミレーユのシスターフッドには痺れたけどね! 気っぷのいいお姉さんキャラ、みたいなのはハリーあるあるなんだけれど、路線娘役で作ってきてヒロインにとってのヒーローはほとんど彼女だろ、という作りは新しかったです。だからこそイヴはひとりで旅立てるのかもしれないけれど、これもやりすぎちゃうと、なら男も男役もいらないよ女たちで勝手にやるよ、にいきつくので注意が必要なんです。そういうところ、わかってる?ハリー。
イヴも何もしていないんだけれどビュレットも何もしていないことは私はけっこう気になりました。しどりゅーにポテンシャルを感じただけに余計にね。
事件に対し活躍はしないまでも、主人公にもっと有意義な助言をする役まわりにすることはできたはずだし、主人公の対比としてもキャラクターをもっと作り込む余地はありました。イヴが、自分が何を好きで何をしたいのかわからずさまよっている青年なのだとしたら、ビュレットは本当に古美術が好きでロマンを感じていて商売をしていることにするか(そんなような歌を一応歌わせているつもりなのでしょうが、甘い)、好きではないけど親から継いだ仕事だし家族を食べさせるために仕方なくということにするか(イヴは次男で家督を継げないのでこれしいい対比になります)、好きではないけど目利きの才能に恵まれてしまったので生計のために仕方なくとか、とにかくもっと掘り下げることはできたでしょう。妹もいるしステディな彼女もいて、ちゃんと結婚して、自由はなくなるようでイヴをうらやましがったりもするけれど、明らかに充実して見えるのはビュレットで…というふうに描けたら、もっと際立つのになー。しどりゅーはハリー芝居の「明るい親友役」を非常にきっちり演じていたとと思いました。
それで言うとせおっちってもっとホットだったりウェットだったりするところが長所だし持ち味だと私は思っているので、ハリー芝居をやるにはもう少しドライにアンニュイにやってほしかったかな…とは思いました。そういうところがやっぱりミスマッチで、当て書きできていない感が気に障ったんですよねえ…ホント仕事なめんなよハリー!
私が「何もできない、だが愛しい」と愛でているかりんちゃん(オイ)は、ハリー芝居のこれまたあるあるのお堅い刑事の役を意外にもきっちり務めていて、とてもよかったです。本人もはるこも意識していないだろうしそう作っていないのでしょうが、リーズ侯爵夫人とオットー(極美慎)の間にはナニかありますよねでなきゃ依頼しませんよねオットーも警察の業務以外としてわざわざ引き受けたりしませんよねドキドキ!?みたいな隙間が見えたのも個人的にはツボでした。フィナーレで一瞬このふたりが組んで踊るのに、盛大にたぎりました私! (笑)
そして最近とみに素晴らしいはるこには役不足で残念…
あまじぃにはミサノエールみたいなことをやらせたかったんだろうけど、そういう十年一日のことでいいの?ハリー、としか言えません…
下級生にはいい経験になっているのかもな、とも思うのだけれど、他にはほぼ役がないし、みっちり指導してハリー芝居をさせている感じもしないので、どうなのかなあ…せおっちがデキる人でファンも多いと聞くだけに、せっかくの主演作を、もったいなかった気が私はしてしまいました。
が、それも含めてどうにかするしかないのがスターだ、がんばれ!
そして劇団は作家の育成と起用について真剣に考えてください、マジで…
19世紀のフランス。男爵家の次男として生まれたイヴ(瀬央ゆりあ)は、家督を継ぐ必要もなく早くに実家を出ていたが、定職にも就かず上流階級相手の便利屋のようなことをしていた。あるとき、イヴは社交界デビューの場となる舞踏会、デビュタント・ボールを取り仕切るリーズ侯爵夫人(音波みのり)から、これまで一度も人前に出たことがないという伯爵令嬢ミレーユ(星蘭ひとみ)のエスコートを頼まれる。イヴは友人の古美術商のビュレット(紫藤りゅう)とその妹ナタリー(桜庭舞)から改めてワルツの指南を受けなければならない有様だったが、舞踏会当日、ミレーユの緊張をほぐそうとするうちにイヴのリードは舞踏会にふさわしくないものになり…
作・演出/正塚晴彦、作曲・編曲/玉麻尚一、振付/伊賀裕子、平澤智。星組4番手スターの初主演作、全2幕。
何度も何度も書きますが、私はそれこそデビュー(笑)が『メラジゴ』だったため、ハリーの作風が好きですし評価が甘い自覚もあります。意外と浅薄な知識とイメージだけで書いている感のある古美術商とか故買屋とか王侯貴族とか革命とかテロリストとかのモチーフも嫌いではありません。しかしいつまでもいつまでも縮小再生産ギリギリの同工異曲を繰り返していてもいいものなのでしょうか。作家って、書きたいものが次から次に湧いてきて自分でも止められなくて、懸命にプレゼンし発表の場を獲得して、渾身の力で練って盛り込んで仕上げて発表して、評価される…ものなのではないのでしょうか。なんとなく順番に登板機会が回ってくるので、じゃあ、と冷蔵庫開けて入っている材料でちゃちゃっと料理して出すか…みたいな態度は許されないものなのではないでしょうか。でも今、私には、ハリーの創作活動は残念ながらそう見えます。
ウィーンのものが有名ですが、今なおヨーロッパには貴族階級なんでものがあるのか極東の島国のド平民たる私にはわかりませんが、デビュタント・ボールなるものがある、ということ自体は私でも知っています。少女漫画とかからかつて得た知識です。それが、近年ではオートクチュールのドレスや宝石の発表の場になっている、というのは初耳でしたし、おもしろいなと思いましたし、そこから着想を得て…というならそれは目新しいはずなのですが、しかし他はあまりにいつもの…そしてところどころ劣化している部分もあるハリー脚本で…そんな仕事の仕方でいいの本当に?と首根っこ捕まえて揺さぶってやりたい気分です。
その宝石が盗難に遭って、その解決を主人公が頼まれて…というのは、いい。でも結局、主人公はなーんにもしないままに事件は勝手に解決しちゃうんですよね。それもこれも朝水りょうがカッコいいからですよ。そりゃ正解ですよ? この生徒の正しい起用法ですよ? イヤ正確には、朝水りょう演じるアダム、「とある組織の幹部」(「幹部」なのか? ボス、首領ではなかったのか?)がとてつもなくいい男、というかプライドみなぎるすんばらしい人格者だったので、さくっと善処してくれちゃうわけですが、しかしそんなんでいいのかストーリー運びとして? 主人公の活躍をもう少しくらい描くべきではないのか?
またその主人公像が、要するにハリーお得意の、というかよくある、というかおそらくご自分の理想の青春時代、生き方、見果てぬ夢なんでしょうが、単なるモラトリアム青年、にすぎないんですよね。この作品は、デビュタントをエスコートするよう依頼された実はモラトリアムの青年が、真の人生にデビューすることになるまでの経緯を描いた物語…というのかキモであり、そのワンアイディアだけの作品なんだけれど、本当にそれしかないので、もっと凝れよ盛れよ作家だろ?と言いたい気分になるのです。エンタメなめんなよと言いたい。
カモフラージュのタイトルロールたるミレーユのせーらちゃんがヒロイン扱いされていないのも引っかかりました。まあこれはハリーのせいではなくて組の人事都合なんでしょうけれど、新公ヒロインもきっちり務めている、劇団が押しに押している美人娘役なので、これが初バウヒロインかと思っていただけに意外でした。どうした急にこの扱いは? マメちゃんが歌えるのは知っていますが、組替えしてきたばかりの生徒だし、並べるほど今後起用する意図があるというの? でもなんかちょっとルリルリしていないというか、上手いしお化粧も綺麗なんだけれど、娘役さんというよりは女優さんっぽくて、私はそれより何もできなくてもせーらちゃんの娘役としての華がとにかく素晴らしいと思っているので、これが人事上の都合だというならホント謎です。
まあでもまこっちゃん嫁はくらっちで決まりで、そのあとはなんとも読めないからな…せおっちなのかどうか、という点も含めてね。これは私がせおっちの顔があまり好みじゃなくてピンときていないせいもありますが(しかし最近本当に垢抜けてきたとは評価しています)、今回もしどりゅーが本当に上手くて華もあって、このまませおっちの2番手ポジションみたいなところしか与えないんじゃもったいないんでじゃないのぴーとかかりんとか詰まってるけどならたととえば組替えしたらもっと活躍できたりしないの?とか妙に心配になってしまったからで、人事のことは本当にわからないし余計なお世話なのでしょうが…ホント謎でした。
水乃ゆりちゃん含めトリプルヒロインで、男役陣もせおっちしどりゅーかりんと揃えてフィナーレも3組デュエダンで…とかならまだよかったと思うのですが、男1女2のパ・ド・トロワは『太陽王』のときにも言ったかもしれませんが男役が単なるプレイボーイに見える、というか女を両天秤にかける最低の男に見える気が少なくとも私はするので、スターの人気を上げるためにはあまり得策ではない気がするのですよ…ラストにイヴとナタリーが話すくだりがあったのだから、そのあとイヴとミレーユの場面も作って、「あなたのおかげで人前に出られるようになった。感謝している、愛してる。あなたがどこに旅立とうと、あなたの帰りを待っているわ」とか言わせてヒロイン扱いしてあげてもよかったと思うんですけどねえ…てかその方が自然だし、マジで客ウケがいいと思います。女は男が考える以上に一夫一婦制を支持しているものですよ、というかフィデリティ上等、と思っているものなのです。一対一のロマンチック・ラブ・イデオロギーには下手に喧嘩を売らないことをお勧めします。
しかし水乃ゆりちゃんは、確かに当初はダンサー抜擢だったと思うし美貌に注目してきましたが、いざしゃべらせ歌わせたら発声の訓練が全然できていなくて、今後も路線で起用する気があるなら早急になんとかしてください、というレベルでしたね。可愛い顔して意外にかかあ天下っぽい役作りは良くて、脚本なのか本人の芝居なのかはわかりませんが、そこは期待したいなとは思ったんですけれどね。
それからかなえちゃんとかとりーぬもある種正しい起用だと思うのだけれど、かなえちゃんのマイク音量含め、もうちょっと調整しないと笑えなくてイタい…
この両親から繊細すぎてある種イタいミレーユが生まれるのはもしかしたら当然のことのようだし、ちょっとダイコンっぽいせーらちゃんのこれまた正しい起用法でもあると思うのですが、だからこそヒロインとしてきちんと遇してあげてほしかったです。
でもナタリーとミレーユのシスターフッドには痺れたけどね! 気っぷのいいお姉さんキャラ、みたいなのはハリーあるあるなんだけれど、路線娘役で作ってきてヒロインにとってのヒーローはほとんど彼女だろ、という作りは新しかったです。だからこそイヴはひとりで旅立てるのかもしれないけれど、これもやりすぎちゃうと、なら男も男役もいらないよ女たちで勝手にやるよ、にいきつくので注意が必要なんです。そういうところ、わかってる?ハリー。
イヴも何もしていないんだけれどビュレットも何もしていないことは私はけっこう気になりました。しどりゅーにポテンシャルを感じただけに余計にね。
事件に対し活躍はしないまでも、主人公にもっと有意義な助言をする役まわりにすることはできたはずだし、主人公の対比としてもキャラクターをもっと作り込む余地はありました。イヴが、自分が何を好きで何をしたいのかわからずさまよっている青年なのだとしたら、ビュレットは本当に古美術が好きでロマンを感じていて商売をしていることにするか(そんなような歌を一応歌わせているつもりなのでしょうが、甘い)、好きではないけど親から継いだ仕事だし家族を食べさせるために仕方なくということにするか(イヴは次男で家督を継げないのでこれしいい対比になります)、好きではないけど目利きの才能に恵まれてしまったので生計のために仕方なくとか、とにかくもっと掘り下げることはできたでしょう。妹もいるしステディな彼女もいて、ちゃんと結婚して、自由はなくなるようでイヴをうらやましがったりもするけれど、明らかに充実して見えるのはビュレットで…というふうに描けたら、もっと際立つのになー。しどりゅーはハリー芝居の「明るい親友役」を非常にきっちり演じていたとと思いました。
それで言うとせおっちってもっとホットだったりウェットだったりするところが長所だし持ち味だと私は思っているので、ハリー芝居をやるにはもう少しドライにアンニュイにやってほしかったかな…とは思いました。そういうところがやっぱりミスマッチで、当て書きできていない感が気に障ったんですよねえ…ホント仕事なめんなよハリー!
私が「何もできない、だが愛しい」と愛でているかりんちゃん(オイ)は、ハリー芝居のこれまたあるあるのお堅い刑事の役を意外にもきっちり務めていて、とてもよかったです。本人もはるこも意識していないだろうしそう作っていないのでしょうが、リーズ侯爵夫人とオットー(極美慎)の間にはナニかありますよねでなきゃ依頼しませんよねオットーも警察の業務以外としてわざわざ引き受けたりしませんよねドキドキ!?みたいな隙間が見えたのも個人的にはツボでした。フィナーレで一瞬このふたりが組んで踊るのに、盛大にたぎりました私! (笑)
そして最近とみに素晴らしいはるこには役不足で残念…
あまじぃにはミサノエールみたいなことをやらせたかったんだろうけど、そういう十年一日のことでいいの?ハリー、としか言えません…
下級生にはいい経験になっているのかもな、とも思うのだけれど、他にはほぼ役がないし、みっちり指導してハリー芝居をさせている感じもしないので、どうなのかなあ…せおっちがデキる人でファンも多いと聞くだけに、せっかくの主演作を、もったいなかった気が私はしてしまいました。
が、それも含めてどうにかするしかないのがスターだ、がんばれ!
そして劇団は作家の育成と起用について真剣に考えてください、マジで…
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