駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『バンズ・ヴィジット』

2023年02月18日 | 観劇記/タイトルは行
 日生劇場、2023年2月15日18時半。

 1996年。エジプトのアレクサンドリア警察音楽隊がイスラエルの空港に到着した。ペタハ・ティクヴァのアラブ文化センターで演奏するために招かれた彼らだったが、待てど暮らせど迎えが来ない。楽隊長トゥフィーク(風間杜夫)は自力で目的地に向かおうとするが、若い楽隊員カーレド(新納慎也)が行き先を言い間違えたか案内係が聞き間違えたのか、彼らの乗ったバスは微妙に違う名前のベイト・ハティクヴァという辺境の町に到着してしまい…
 原作/エラン・コリリンによる映画脚本、音楽・作詞/デヴィッド・ヤズベック、台本/イタマール・モーゼス、翻訳/常田景子、訳詞/高橋亜子、演出/森林太郎。2007年にカンヌ映画祭で上映された映画『迷子の警察音楽隊』を原作に、2016年オフブロードウェイ初演、17年にブロードウェイ公演が開幕し、18年のトニー賞で10部門を受賞したミュージカル。全1幕。

 特に何が起きるということもない、一夜のほのぼの物語…みたいなことは聞いていたのですが、それでも私は退屈しました。音楽はエキゾチックでおもしろいなと思ったし、みんな歌が上手かったので(お笑い芸人のこがけん演じる電話男の歌が一番よかったかなー)それはよかったんですけれど…やはりハコが大きすぎたのかもしれない、とは思いました。ただぐるぐる回る赤い装置(美術/堀尾幸男)はよかったので、これは舞台にある程度の大きさがないとできなかったのでは、とも思いました。
 別に極度に政治的な物語にしたかったわけではない、ということなのでしょうけれど、それでも絶対に横たわっていたであろうエジプトとイスラエル、アラブとユダヤの緊張感含めた関係性がやはり私たちにはよくわからないので、ましてこの舞台ではそれがことさらに描かれていたとは思えないので、なおのこと「…だから?」と私は思ってしまったのです。謎の旅人に一夜の宿を貸すくらいは親切な人ならするだろう、それでも日常はあるので赤ん坊は泣き男は浮気をしあるいは喧嘩しあるいはデートに出かけあるいは電話を待つ、相応に女にもいろいろある…というだけのことで、これまた特に何かが解決されるわけでも新たに生まれるわけでもなく朝が来て楽隊は去っていく。うーん…それが人生だ、というのはもちろんわかるんですけど…あとやはりカーレドとディナ(濱田めぐみ)がやっちゃうのが私には全然わかりませんでした。イヤそういうこともあるよ、ってのもわかるし全然いいんだけど、でも「えええぇ~…」って思ってしまった。必然性がない気がしたし、ロマンチックだわとときめくとかせつなくなるとかもしなかったので…疲れていたのかもしれません、すみません。
 アフタートークがついている回でしたが、これがまた、かしこまりたくなくてフランクな感じを見せたかったのかもしれないけど、でも楽屋でやっているようなことを見せてもしょうがないじゃん、単なるサービスタイムでただ働きかもしれないけどせっかくなんだからもうちょっとなんとかしたら?と私は思ってしまいました。
 早くから宣伝していたホリプロ肝煎り企画で、いいキャストも揃っていただけに、私はハマらずちょっと肩すかしで、残念でした。
 



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