東京芸術劇場シアターウェスト、2017年10月25日19時(TBCチーム)。
いつの間にか寄り添い、旅をするようになった個性のまったく違う四人の仲間、グレアム(仲原裕之)、アンジー(松本慎也)、サーニン(千葉健玖)、マックス(伊藤清之)。親に見捨てられた子供たちの早すぎる孤独は、彼らをこの世のはみだしっ子にしていたが…
原作/三原順、脚本・演出/倉田淳。1975~82年に断続的に連載された傑作少女漫画の舞台化。全1幕。
ほぼすべての台詞が諳んじられるであろうくらい読み込んでいる、私の魂に染みついている漫画のひとつの舞台版です。おっかなびっくり出かけました。私はスタジオライフはあまり観たことがないのですが、以前もやはり漫画原作舞台を観に出かけて(『11人いる!』だったかな…?)あまり感心しなかった記憶があったので。
今回扱われているエピソードは初期のみっつで、『動物園のオリの中』『だから旗ふるの』『階段のむこうには…』です。どれもファンにはタイトルからすぐ内容が思い浮かべられるでしょうが、レディ・ローズ(曽世海司)のお話と、アンジーがキャプテン・グレアムにグレて密航(笑)しちゃう話、エイダ(宇佐見輝)が来て四人がホテルに泊まるお話です。
舞台には階段と街灯があるだけ。そこが通りになりアパートの部屋になり埠頭になりホテルの非常階段になります。そこに四人が出てきて台詞を言って上手か下手にハケて場面転換…ということが繰り返されるので、最初は単調に感じましたし、基本的に漫画のままなので、なんというかコマ漫画を実演している動く活人画みたいなものかな…とか思えてしまいました。
が、四人がちゃんとそれぞれそのキャラクターっぽい言動をちゃんとしてみせてくれるし、出てくる大人の男女や少年たち少女たちもとても自然でそれっぽいので、いつしか舞台に引き込まれたのでした。哲学的ですらある数々の名台詞も、舞台の上に実在している役者たちが熱を込めて発声すると改めて強いパワーでこちらの胸に響いてくるのでした。逆に、原作漫画では情熱的なモノローグをリアルに発声されると妙に気恥しくてテレる、みたいなこともありましたが…
以前の観劇での記憶にあったような学芸会臭さはまるでなくて、台詞が明晰で演技も的確で、単なる2.5次元みたいなものにはなっていなかったと思います。けっこううっかりほろりとさせられてしまいました。
ただ、アンジーに「びっこ」という言葉を使わないことにしたのなら、レディ・ローズの「年増」もやめるべきだったでしょう。マックスへのデコっぱちとかギョロ目みたいな言葉も変更されていましたね。でもすべてイキママでよかったと思います。舞台作品なんだし、当時悪口として使われていた言葉だったということは現代の観客にも十分理解できると思うので。
個人的にはマックス役の人が本当にいい感じに子供を、マックスを演じていて上手いなあと思いました。逆にエイダは、望みすぎかもしれないけれどもっと硬質な美しさが欲しかったかな。
役替わりは3パターンあり、それぞれ持ち味がかなり違うそうですね。劇団ファンには通うのが楽しい公演かもしれません。原作漫画がまた広く読まれることになればうれしいし、私もこの劇団をもう少し観てみたくなりました。
いつの間にか寄り添い、旅をするようになった個性のまったく違う四人の仲間、グレアム(仲原裕之)、アンジー(松本慎也)、サーニン(千葉健玖)、マックス(伊藤清之)。親に見捨てられた子供たちの早すぎる孤独は、彼らをこの世のはみだしっ子にしていたが…
原作/三原順、脚本・演出/倉田淳。1975~82年に断続的に連載された傑作少女漫画の舞台化。全1幕。
ほぼすべての台詞が諳んじられるであろうくらい読み込んでいる、私の魂に染みついている漫画のひとつの舞台版です。おっかなびっくり出かけました。私はスタジオライフはあまり観たことがないのですが、以前もやはり漫画原作舞台を観に出かけて(『11人いる!』だったかな…?)あまり感心しなかった記憶があったので。
今回扱われているエピソードは初期のみっつで、『動物園のオリの中』『だから旗ふるの』『階段のむこうには…』です。どれもファンにはタイトルからすぐ内容が思い浮かべられるでしょうが、レディ・ローズ(曽世海司)のお話と、アンジーがキャプテン・グレアムにグレて密航(笑)しちゃう話、エイダ(宇佐見輝)が来て四人がホテルに泊まるお話です。
舞台には階段と街灯があるだけ。そこが通りになりアパートの部屋になり埠頭になりホテルの非常階段になります。そこに四人が出てきて台詞を言って上手か下手にハケて場面転換…ということが繰り返されるので、最初は単調に感じましたし、基本的に漫画のままなので、なんというかコマ漫画を実演している動く活人画みたいなものかな…とか思えてしまいました。
が、四人がちゃんとそれぞれそのキャラクターっぽい言動をちゃんとしてみせてくれるし、出てくる大人の男女や少年たち少女たちもとても自然でそれっぽいので、いつしか舞台に引き込まれたのでした。哲学的ですらある数々の名台詞も、舞台の上に実在している役者たちが熱を込めて発声すると改めて強いパワーでこちらの胸に響いてくるのでした。逆に、原作漫画では情熱的なモノローグをリアルに発声されると妙に気恥しくてテレる、みたいなこともありましたが…
以前の観劇での記憶にあったような学芸会臭さはまるでなくて、台詞が明晰で演技も的確で、単なる2.5次元みたいなものにはなっていなかったと思います。けっこううっかりほろりとさせられてしまいました。
ただ、アンジーに「びっこ」という言葉を使わないことにしたのなら、レディ・ローズの「年増」もやめるべきだったでしょう。マックスへのデコっぱちとかギョロ目みたいな言葉も変更されていましたね。でもすべてイキママでよかったと思います。舞台作品なんだし、当時悪口として使われていた言葉だったということは現代の観客にも十分理解できると思うので。
個人的にはマックス役の人が本当にいい感じに子供を、マックスを演じていて上手いなあと思いました。逆にエイダは、望みすぎかもしれないけれどもっと硬質な美しさが欲しかったかな。
役替わりは3パターンあり、それぞれ持ち味がかなり違うそうですね。劇団ファンには通うのが楽しい公演かもしれません。原作漫画がまた広く読まれることになればうれしいし、私もこの劇団をもう少し観てみたくなりました。
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