goo blog サービス終了のお知らせ 

駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『オオカミの誘惑』~韓流侃々諤々リターンズ1

2020年05月10日 | 日記
 2004年、キム・テギュン監督。チョ・ハンソン、カン・ドンウォン、イ・チョンア。

 もしかしたらここでは語っていなかったか、あるいは古くから読んでくださっている方にはご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、私は2000年くらいから約10年ほど韓ドラにハマっていました。『冬のソナタ』の最初の再放送でハマり、ドラマや映画を見て、サントラCDを買い、ソウル旅行に行き、韓国語を習いました。ヨンさま初来日のときに羽田に行って、その群衆のすごさを見開きで捕らえた『AERA』の特集の写真の一角に写り込んだりもしました(笑)。「トモトモの韓流侃々諤々」(前身は「トモトモのヨンヨン日記」だったかな…? 自分ですら記憶が怪しい…だからやはり記録は残しておかないと…(><))というブログをやっていて、ドラマや映画の感想を書いたり、旅行記を書いたりしていました。使っていたブログサービスが終わり、移せないままになくなってしまったのですが、けっこう資料的な価値があったはずだと思っていて、もったいないことをした…と今でも当時の不精を後悔することがあるのでした。
 その後はK-POPブームにはあまりハマらず、宝塚歌劇愛が復活していったりしたこともあって、自然と離れてしまいました。今の韓流アイドルとかは全然わかりません。
 新型コロナウィルス感染拡大防止のための在宅勤務といわゆるSTAY HOMEのために、このところ愛蔵コミックスを再読したり愛蔵映画DVDを再見したりしてきたのですが、ついに韓国映画に手を出すことにしました。持っているのはせいぜい20枚ほどですが、当時観て好きだったものは手元に残していて、でもおそらくほとんど見返したことがなかったと思うのです。老後の楽しみにとっておこうとか思っていたものでしたが、老後どころか私の後半生とこの世界はいったいどーなっちゃうの!?ってくらいの激動となりましたので、やりたいことはやれるときにやっとかんとな!と思ったのです。
 今やっと、読書、漫画再読、映画再見、仕事、食事、運動、睡眠のバランスとリズムが、いい感じに取れてきた気がしています。この先、緊急事態宣言が解除されてもすぐには元のような生活に戻ることはないでしょうし、今を楽しみつつ元気に生きていきたい、と思っています。なので休日にはちみちみ再見し続けようと思うのです。ご興味ありましたらおつきあいいただけると嬉しいです。

 というわけで、第一作はこの作品になりました。特に理由があって選んだわけではなく、DVD棚の一番端にあるものから順に見ようと取り出しました。細かいところは綺麗に忘れていて、とても楽しく観てしまいましたし、なんならうっかり泣きました(笑)。名作です!
 当時18歳の女性作家がネットで発表した小説を映画化したものなんですよね。さもありなん、という感じです。いわゆるケータイ小説というよりは、ザッツ・少女漫画な世界!と呼ぶ方が雰囲気が伝わりやすいかと思います。当時のソウルがいくら東京より多少遅れていたろうとはいえ、まさかこんなヤンキー文化があるわきゃないわけで、すでにしてドリームな設定なわけです。だからこそ、時を超えられるおもしろさ、ときめき、普遍性、萌えと愛とドラマが詰まった、非常によくできた作品で、感心しました。私は『AfO』が普遍的で大衆的で素晴らしくよくできていることをとても高く評価していて、毎年の夏休みにはこの演目を再演することにしたらいい、というようなことを書いたことがありますが(担当した組のスター布陣によってキャラクターの軽重は変えてもいいと思う。そしてとにかく一見さんをこのときとばかり呼び込むといいと思う。ものすごくわかりやすく、華やかで楽しく、宝塚歌劇の醍醐味が味わえるいい作品だと思うのです。ホントはショーのある二本立てがいいとは思うんですけれどね…)、この作品も、5年ごととか10年ごととかにそのときの人気若手スターを起用して何度も映画化していってもいいんじゃない?と思うくらい、ベタでよくできている作品だと思いました。古くなる部分がないタイプの物語だと思うんですよね。もちろんその時にしか生まれない、時代の空気を敏感に反映した新作、というものも生まれていくべきではあると思うのですが、温故知新じゃないけれど、古臭くならずスタンダードであり続ける、もはや古典と言ってもいいくらいの旧作のリメイク、みたいなことも文化の豊かさとして大事かな、とか考えるのでした。

 内容はというと、女子高生のヒロインが田舎からソウルに上京してくると、対立する二大ヤンキー校のそれぞれのボスたる男子生徒ふたりに、それぞれ想われることになってしまい…という、ベッタベタな設定の物語です。でも、ベタ大事!ですよね。
 ヒロインは田舎出身ということで、地味でダサめの、要するにフツーのいい娘です。イ・チョンアが絶妙に上手い! 今なら黒島結菜ってところでしょう。ソウルの流行りにも疎いし、なんならこのふたりの男子の対立なんかも全然知らないし興味ないし、だから忖度もしない。そこが「フッ、おもしれー女」ってなる、アレですアレ!
 では男子ふたりにどういう個性の違いがあるかというと、以下完全にネタバレなので、もしこの映画を未見でこれから見てみようかなと思っていらっしゃる方はこのあたりで引き返していただきたいのですが、チョ・ハンソン演じるヘウォンは男気とリーダーシップにあふれ男女ともに人気があるタイプで、ホットなナイスガイ、かつプレイボーイ、ただし長続きした交際はなく、ヒロインのハンギョンがあまりになびかないので「フッ、おもしれー女」ってなるヤツです。
 片やカン・ドンウォン演じるテソンは、ライバル校のボスですがクールな一匹狼タイプで、男ウケは悪く女にはモテる。でも浮いた話はない。キレると怖いくらいで、でも笑うと可愛い。そしてハンギョンは忘れていましたが、テソンの方は彼女のことを覚えていて、一目で彼女を見分けたのでした。田舎で子供の頃、「姉さん」と呼んで懐いて遊んだというのですが…
 この「姉さん」、「ヌナ」がポイントね! 思えば私はリターンズ第一作にふさわしい作品を選んだものですよね! ブログのユーザー名がトモトモだったように、そしてツイッターのアカウント名がトモヌナなように、私の本名はトモ○なのですが、ヌナはこのヌナなのでした。韓国では、男性は姉、ないし年上の親しい女性をヌナと呼ぶのでした(女性が兄ないし年上の親しい男性を呼ぶのは「オッパ」。『ヒョンナムオッパ』のオッパです)。
 テソンはハンギョンをヌナと呼んで懐き、子供の頃に彼と遊んだことなど忘れていたハンギョンはとまどいつつも歳下の彼を可愛い後輩として扱うのですが…
 というわけで、ちょっと気になるヘウォンは「おまえは俺の恋人だ」とか言って迫ってきて、弟分のテソンは「おまえなんかに姉さんはやらない」と言い、ハンギョンはふたりに囲まれて嬉しいやら困っちゃうやら、結局ふたりの喧嘩のダシに使われているだけのような…という、まあ、ラブコメです。あるあるですね!
 で、さらに韓ドラあるあるかもしれませんが、ハンギョンは知らされていなかったのですが、テソンは実はハンギョンの異母弟だったのでした。つまりテソンの「姉さん」呼びは、本当に肉親としてのものだったのです。
 ですが、テソンにとっては優しくしてもらい楽しく遊んでもらった幸せな記憶であり、そのときは家族と名乗れずその後も離れて暮らした家族なので、単なる肉親以上の好意をハンギョンにぶつけてしまう。ハンギョンは彼を弟として可愛がり心配し気にかけつつも、まっすぐ想いをぶつけてくるヘウォンに惹かれていき、とまどいながらも交際を始める。ヘウォンはテソンに妬くし、テソンもヘウォンを牽制する…「♪喧嘩をやめて、ふたりを止めて、私のために争わないで」ですね! 女子の夢ですネ!! 一方で、ヤクザとの喧嘩では強力タッグを組んじゃう男子ふたり…これまたベタですね! このバトルシーンの撮影の美しさは特筆ものです。
 さて、そこにさらにさらに韓ドラあるあるです。そんなわけでテソンは父親とは離れて暮らし、母親と祖母に育てられたのですが、ふたりとも心臓病で亡くなります。そしてそれはテソンにも遺伝しているのでした…! 今はオーストラリアに移住している父方の祖母が帰国していて、ハンギョンともども会い、ひとりになったテソンを自分が養育しようとオーストラリアに連れて行こうとします。
 テソンは病気のことは隠して、「おもしろそうだし、ちょっと行ってくるね」みたいな態を装って、オーストラリアに旅立ちます。ネット越しに、ガールフレンドができた、盲目だけど、みたいなおどけた近況報告をしてくるテソン。ハンギョンとヘウォンはテソンとの再会を楽しみにしつつ、受験勉強に勤しんだりする。
 けれど数年後、彼らを訪ねたのは、テソンから角膜をもらって視力を回復させた彼女だったのでした。彼女は病院でテソンと親しくなっただけで、恋人などではなく、そしてテソンは手術から帰らず、その角膜が彼女の目に移植されたのでした。口止めされていたけれど、テソンが愛した国と人々をこの目で見たかったから、と彼女は語り、ハンギョンは泣き崩れ、ヘウォンは男泣きに震える…
 姉さんは俺が帰ってくるまでヘウォンに預けておくだけだ…というテソンの嘯き。次は姉さんの弟なんかじゃなく、ただの男として生まれてきたい…というテソンの願い。3人で笑い合った、懐かしく愛しい時間…
 いいところに挿入歌のリプライズがかかって、幕。
 実によくできていると思うんですよ! 過不足がない! いちゃいちゃもいいし家族愛や女子同士の友情もあるしすれ違いのせつなさも描かれていて、ホントにキュンキュンするんです! たまらん!!
 ハンギョンのふたりへの想いがそれぞれブレていないのもいい。最初っから、なんとなくヘウォンの方が気になっていて、テソンのことはあくまで弟分なんですよね。どっちも大事に想っているけれど、フラフラ揺れているヒロインではない。ワイルド男子ふたりも、押せ押せだけどちゃんと彼女を大事にしていてその意志を尊重し、力任せに無理矢理やっちゃったりは決してしない。ラブストーリーとして、とてもきちんとしているのでした。
 そしてきっちり115分、素晴らしい! 完璧です!! 長すぎも短すぎもしない。美しい。よくできた佳作だと本当に思います。

 いやー、細かいところを忘れたころにまた見てキュンキュン、ゼヒしたいです。カン・ドンウォンってまだ人気あるのかなあ、もうおじさんになっちゃったのかなあ、てかまだ俳優さんやってるのかなあ?
 はー、いいリスタートを切りました。韓国語の響きも懐かしい…語学の勉強にもいい機会ですよね、また少し勉強し直そうかなあ。以前は旅行で困らない程度にはしゃべれたので、今も英語より全然できるんじゃないかな(学校ではあんなに勉強したのに…)。
 でもソウルはだいぶ変わったでしょうね。というか問題なく渡航できるようになる日なんていつのことやら…そう考えると、ちょっとしょんぼり、ではあるのでした。
 次回に続く。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。