駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

木ノ下歌舞伎『桜姫東文章』

2023年02月06日 | 観劇記/タイトルさ行
 あうるすぽっと、2023年2月2日18時(初日)。

 新清水寺の高僧・清玄(成河)には、若いころ、稚児・白菊丸(石川静河)との心中に失敗した過去があった。それから十七年後、吉田家の息女・桜姫(石川静河)が尼になるために新清水寺にやってくる。父と弟を殺され、家宝を失った彼女は、生来開かない左手を前世の罪ゆえと考えて、出家を決意したのだ。だがそこで桜姫が再会したのは、かつて自分を置かした盗賊・釣鐘権助(成河)だった…
 作/鶴屋南北、監修/木ノ下裕一、補綴/木ノ下裕一、稲垣貴俊、脚本・演出/岡田利規。

 いやー、全然わかりませんでした…
 いや、『桜姫~』の筋はわかったんですよ。それを劇中劇のように演じてくれる舞台でしたし、ご丁寧にステージ上の壁にその場面のあらすじの文章が映し出されるので。でも状況を説明する文章ではなく、完全にその場面のネタバレのあらすじが出るので、かなり興醒めでしたが…
 舞台の上には、たとえばかつてのヨーロッパの貴族が別荘で自分たちで芝居を演じて楽しむために作った小さな舞台のような、今は別荘ごと廃墟になっているような、そんなものが設えられていて、開演時間になるとその舞台の幕を開けて役者たちがわらわら出てきて、端や手前で着替え始めたり、その後は寝転んで観客になったりします。そこのステージに上がっているときだけ『桜姫~』を演じている、メタ演劇になっているわけです。ただしそれは別に歌舞伎ではない。というかこれが木ノ下歌舞伎です、と言われればそうなのかもしれませんが、なんせ私は素人で初木ノ下歌舞伎だったのでそれは全然わかりませんでした。
 ステージでのお衣装はなんか派手な色柄の、当世ふうというか下町ヤンキーふう、若者ふうでもあるようなもの。そしてみんなダラダラと、いわゆる棒台詞のように、さらになんかやたらクネクネと揺れながら台詞をしゃべります。これが何を表現しているのか、私にはさっぱりわからなかったのでした。河原の芸人とか? 大根役者とか??
 ただ、みんな声はとてもいい。ちゃんと訓練された役者さんたちで、わざとやっているのだ、ということは十分にわかりました。
 成河がいつもちゃんとしているのは当然として、石川静河が舞台でも素敵な役者さんなんだなと知れたのは収穫でした。あと、荒唐無稽だろうが世間狭いな!だろうが『桜姫~』の筋はわかったのも収穫です。最近までやっていたシネマ歌舞伎が結局見られなかったのですが、円盤化されるというしお友達の誰かが買う気がするので、貸して見せてもらおうかな、そして機会があれば生の歌舞伎の舞台をきちんと観たいな、と思いました。
 観客役の役者さんから大向こうの声が飛ぶのですが、それも「イナゲ屋」「スガキ屋」「ポメラニ屋」「ダルメシ屋」「シルバニ屋」…などなど、というものなのでした。タイミングはバッチリで気持ちよかったし、ものによってはウケていましたが、そういうものか?とも思うし…チェルフィッチュも名前を聞くだけでちゃんと観られていないので、私が良くない観客だっただけかもしれません。すみません。不思議な3時間15分となりました。




コメント
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