駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

藤原よしこ『恋なんかはじまらない』

2020年06月27日 | 愛蔵コミック・コラム/著者名は行
 小学館Cheese!フラワーコミックス全7巻。

 両親の転勤で知り合いの家に居候することになった真琴。でもその家には、親友をフッた学校一のモテ男・カンナがいて…

 最新連載『あしなが王子様は失恋する』も設定がベタで好きでコミックスを買っているのですが、そういえば愛蔵しているこの作品について語っていなかった…と久々に再読して記事を上げています。いやー、カワイイ。めっちゃ好き。
 著作の多い漫画家さんで、出世作は『キス、絶交、キス』だったと思うのですが、あれはやんちゃな男の子と優等生ヒロインのお話でしたかね。でも私はヤンキーとか不良萌えがあまりないので、『恋はじ』(と略されていたかな連載当時…今なら話題は『恋つづ」ですね。てかなんで動詞がひらがななんだろう…)のパターンの方が好きなのです。すなわち、優等生男子とへっぽこ女子、の組み合わせです。これでヒロインがあまりにおバカだったりカマトトだったりすると鼻白むんですが、真琴はもう突き抜けておバカでコドモで単純でまっすぐでいじらしくて可愛いので、許せてしまうのです。そのおバカがカンナに移っちゃうまでのお話、になっているので、それで正解なのです。
 さらに、親の都合でひとつ屋根の下、ドキドキワクワクキャッキャウフフ、なんて少女漫画は手を変え品を変えそれこそ何千何万と描かれてきていて、この作品に関してもカンナの元カノから真琴をいいなと思ってくれる男子、昔憧れていた教生、誕生日、修学旅行、お泊まりデートと出てくるエピソードはベタのオンパレードで、別に目新しいところなんざ何ひとつないわけですが、でもその定番エピソードの描写ひとつひとつがていねいで繊細で、読んでいてとにかくニマニマキュンキュンできるのです。泣いて笑ってときめいて意地張って、喧嘩して仲直りして、またくっついて。ホント可愛すぎます、せつなすぎます、幸せすぎるのです。
 こういうベタな作品はラストもベタにプロポーズないし結婚式で締めるべき、というのが私の持論なのですが、そこをちゃんとクリアしているのも素晴らしいです。
 あと個人的に好きなのが、2巻の最終話、カンナが改めて真琴に好意を告白してくれて交際を申し込んでくれるエピソード。なし崩しになっちゃうんじゃなくてちゃんとしてほしい、してもらえないと不安、っていうのは、甘えかもしれないけれど心情的にすごくわかるじゃないですか。それを真っ赤になりながらでもちゃんとやってくれるカンナが、とにかく愛しいのです。
 というか少女漫画はやっぱりこの、紅潮を示す頬や鼻の上に描かれる斜線ね、コレが大事だよね! コレが多ければ多いほど悶えますよね。クールにスカせない、本気の本音がにじみ出ちゃうって記号ですからね。マジ大事です、試験に出ます。
 あとは再読して気づいたのですが、片目のときもあるけど主に両目に跨がって、瞳の真ん中にまっすぐ一本線を引いて瞬きを表現する漫符(?)、最近の漫画ではあまり見ないなーと思いました。きょとん、パチクリ、みたいなときの瞬きを表しているんですけれど。もう流行らないのかな、伝わらなくなってっちゃうのかな、もったいないなー…
 本編は本誌連載だったわけですが、いつも増刊に掲載されていたショート番外編が巻末に収録されていて、それがまたごく短いながらもいちいち秀逸で、作者の才能とセンスをホントに感じます。オマケページのオマケ漫画もおもろくてカワイイ。ケンケンとタマちゃんが最終巻の表4側カバー袖に載ってる描き下ろしカラーカットでやっとくっついてるんですよ、すごくないですか!? そういえばこういう部分っておそらく電子書籍化されていないんでしょうね…やはり紙だよ、紙で愛蔵してときどき虫干しがてら読み返して愛していくのが大事なんですよ!!
 はー、幸せな再読でした。つらいときにはまた読んで萌えて癒やされますね…






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有間しのぶ『モンキー・パトロール』

2020年06月27日 | 愛蔵コミック・コラム/著者名あ行
 祥伝社フィールヤングコミックスゴールド全7巻&外伝1巻。

 野市巡(26)、ドラッグストアで元気に働く女子、友達多し。花枝香(28)、超売れっ子ライターで収入も問題も多し。清白すずな(28)、主にプーだが男に愛されまくる女子。3人とも「あたしがいちばんちゃんとしてるな」と思っている3人で、とても仲良し。

 この3人の女子と周りの人々を巡る日常ギャグ4コマ連作で、何がきっかけかは忘れましたがずっと買い集めてきて、長く愛蔵してきました。感想を書いていなかったので、久々に再読してここに上げておくことにしました。やっぱりおもしろかったです。
 岡崎京子『くちびるから散弾銃』もそうですが、女子3人のキャッキャウフフというかダラダラガハハとかっていうかって、どうしてこんなにおもしろいんでしょうね。私も高校一年のときのクラスメイトふたりと3人でよくつるんでいるので、このノリはわかります。ちょうどいいバランスがあるんですよね。
 すずはモテモテというか少なくとも男に苦労していないのでともかくとして、基本的にはヒロインたちの「オトコ欲しいよー!」みたいなところからのすったもんだを描いているだけのお話なのですが、今読んでもいつ読んでもおもろい、わかる、ニマニマするし最後はほろりとさせられます。話を適度に忘れていて「結局このあとどうなるんだっけ? 誰と誰がくっつくんだっけ?」みたいになりながら読むのも楽しいので、またそっとしまっておいて、忘れたころにまた読んで泣き笑いしたいです。外伝含めて、ギャグのスタイルながらも愛と人生の機微を十全に描いている、素敵な作品だと思っています。好き。


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