世田谷パブリックシアター、2018年12月5日18時半。
ひとつの家族の歴史が日本の歴史をなぞっている、ホームドラマ・ミュージカル。
作・演出/三谷幸喜、音楽/荻野清子。全2幕。
七人の芸達者揃いの役者が何十役にも扮して歌い紡ぐミュージカルで、シンプルな美術が生き、役者の個性と技量が素晴らしかったです。初ミュージカルだという中井貴一の孝謙天皇とか宮澤エマの平清盛とか性別の超越もなんのその。そしてオカロの硬質な美貌がとても生きていました。ナンバーもたくさんあって、着替えも大変だろうけど歌もそもそも覚えるのがホント大変だったろうなと感心しましたが、みんなホント上手いんで、安心して楽しめました。
ただ、作品としては、私は結局のところよくわかりませんでした。テキサスのとある一家で起きるさまざまな感情のドラマは日本の歴史がたどってきたことと同じだ、というコンセプトはわかりましたし、それは国や時代が違っても人間って結局同じだ、みたいなことなのかなとか思いましたが、では何故テキサスなのか? 土地から金、そして娯楽へみたいな変遷が日本の国の在り方と似ているということなのかもしれないけれど、要するにあそこはラスベガスになるってことなんじゃないの? だとしたら歴史はショーだショーは歴史だ、人間の営みはショーマストゴーオンだ…みたいなまとめになるのかな?とか思っていたのですが、特にそんなことはありませんでしたよね? いや、別にオチが私の予想どおりでなくても全然いいんですけれど、でも、じゃあ、オチてました? この話。1幕ラストはイケコ一本立ての1幕ラストもかくやという全員の歌い上げで、内容的にもああ1幕ラストねとわかりましたけど、2幕ラストが来たときには私は「え? 全員揃って歌い出しちゃったけどコレで終わり? 直前の場面なんだっけ?」となりました。だってパット(宮澤エマ)はジュニア(川平慈英)を失ってこの家族には跡継ぎがいないし、トーニョ(香取慎吾)も出自を認めたはいいものの恋人には去られちゃったじゃないですか。このふたつの家は途絶えてしまうのではないの? いやカール(新納慎也)やジョセフ(中井貴一)に子供がいたのかもしれませんが、それは描かれていないのだし。それともそんな感じで日本も終了って話? 歴史の先生(秋元才加)は出産しているので、そこには続く新たな命があるわけですが…
もちろん、あえて今回はここまでで、だって続いているんだから、という中途半端感をあえて、わざと出したかったのかもしれませんが…ううーん、私はそこはよくわかりませんでした。因果、というのも正直よくわかりませんし。
舞台としてはとてもおもしろかったんだけれど、戯曲としてというかお話としてはよくわからなくてあまり感心しなかった、という残念な観劇でした。豪華キャストで人気の演目と聞きますが…私は三谷作品にはわりと当たり外れがあると感じるタイプなので、そのあたりもあるのかなー。大好きで大絶賛の方、すみません。
ひとつの家族の歴史が日本の歴史をなぞっている、ホームドラマ・ミュージカル。
作・演出/三谷幸喜、音楽/荻野清子。全2幕。
七人の芸達者揃いの役者が何十役にも扮して歌い紡ぐミュージカルで、シンプルな美術が生き、役者の個性と技量が素晴らしかったです。初ミュージカルだという中井貴一の孝謙天皇とか宮澤エマの平清盛とか性別の超越もなんのその。そしてオカロの硬質な美貌がとても生きていました。ナンバーもたくさんあって、着替えも大変だろうけど歌もそもそも覚えるのがホント大変だったろうなと感心しましたが、みんなホント上手いんで、安心して楽しめました。
ただ、作品としては、私は結局のところよくわかりませんでした。テキサスのとある一家で起きるさまざまな感情のドラマは日本の歴史がたどってきたことと同じだ、というコンセプトはわかりましたし、それは国や時代が違っても人間って結局同じだ、みたいなことなのかなとか思いましたが、では何故テキサスなのか? 土地から金、そして娯楽へみたいな変遷が日本の国の在り方と似ているということなのかもしれないけれど、要するにあそこはラスベガスになるってことなんじゃないの? だとしたら歴史はショーだショーは歴史だ、人間の営みはショーマストゴーオンだ…みたいなまとめになるのかな?とか思っていたのですが、特にそんなことはありませんでしたよね? いや、別にオチが私の予想どおりでなくても全然いいんですけれど、でも、じゃあ、オチてました? この話。1幕ラストはイケコ一本立ての1幕ラストもかくやという全員の歌い上げで、内容的にもああ1幕ラストねとわかりましたけど、2幕ラストが来たときには私は「え? 全員揃って歌い出しちゃったけどコレで終わり? 直前の場面なんだっけ?」となりました。だってパット(宮澤エマ)はジュニア(川平慈英)を失ってこの家族には跡継ぎがいないし、トーニョ(香取慎吾)も出自を認めたはいいものの恋人には去られちゃったじゃないですか。このふたつの家は途絶えてしまうのではないの? いやカール(新納慎也)やジョセフ(中井貴一)に子供がいたのかもしれませんが、それは描かれていないのだし。それともそんな感じで日本も終了って話? 歴史の先生(秋元才加)は出産しているので、そこには続く新たな命があるわけですが…
もちろん、あえて今回はここまでで、だって続いているんだから、という中途半端感をあえて、わざと出したかったのかもしれませんが…ううーん、私はそこはよくわかりませんでした。因果、というのも正直よくわかりませんし。
舞台としてはとてもおもしろかったんだけれど、戯曲としてというかお話としてはよくわからなくてあまり感心しなかった、という残念な観劇でした。豪華キャストで人気の演目と聞きますが…私は三谷作品にはわりと当たり外れがあると感じるタイプなので、そのあたりもあるのかなー。大好きで大絶賛の方、すみません。