原作予習、初日、その後、さらに新公などいろいろ書いてきたので今さらアレではありますが、さらにしつこく細々書かせていただきます…
●第3場
姫「カイル様、明日こそ、私の純潔を奪ってくださいませね」
続く場面でナキアに対するカイルの台詞を引っ張るためだとしても、やはりこの時代の「純潔」の定義がわからないというかこの作品内での「純潔」の辞書がわからないうちに聞かされるので、私は引っかかるんだよなー…なんかもっと違う言い回しができないかなー…
カイル「やれやれ、積極的な姫様方だ」
そしてそれを「積極的」と表現すると、カイルが対照に「消極的」みたいで、これまた個人的には引っかかります(ホント細かくてすんません)。カイルは消極的だから地位目当てで言い寄ってくる女たちに手を出さないんじゃないじゃん、自分の立場や将来とその妻の座の意味を重く考えているからこそ慎重になっているんでしょ? まあまあチャラいし(笑)モテることに対してはまんざらではないが、こういうタイプの女たちにはうんざりしていて食傷気味なのである…ということを表すもっといい表現がないかなあ、と考えては、います。
カイル「娘ならこのハットゥサに星の数ほどいるが?」
ところで私は原作漫画を読んだときに脳内で普通に「ハットゥサ」という音をそのまま想像していましたが、今回みんなわりと「ハットゥーサ」って発音していますよね…「ゥ」にはそんな要素はないと思うのだけれど…
カイル「そうでしょう、ウルヒ殿」
芝居の台詞としてよくあるんだけれど、「神官ウルヒ殿」としてもよかったかな、と思いました。実際にはそんなふうに言うことはないんだけれど、芝居ではよくあるでしょ? ウルヒの立場というか役職の説明がここではないままなので、上手く入れられたらいいのにな、と思っただけなのですが。
●第4場
カッシュ「殿下も早く側室を娶るべきです。気が滅入りますよ」
言い方のニュアンスもあるでしょうけれど、今は「今のままだとここは女っ気がなくて気が滅入ります」という意味には私には聞こえなくて、いつも混乱します。「側室がいれば気が晴れますよ」という未来への提言として言っているように聞こえるので。
カイル「ほう…なかなか凜々しいな」
これはどういう意味なのかしら…ユーリに女物の服を着てこいと言ったにもかかわらず、この時代の風俗からしたらあまり女性っぽくない裾の短い服で現れたな、という意味? でもこれ誰が選んだ服ってことになってるのかな? ユーリが長い裾を嫌って短いものを選んだのだとしたら、上着の丈の短さもそのときわかりそうなものだし、ここでうだうだ言うのはヘンな気がします。「凜々しい」というのが男っぽいという意味なのか勇ましげだとということなのか、要するに褒め言葉なのかどうなのか、辞書がわからなくて私は引っかかるのでした。
ユーリ「ちょっと、ごまかすな!」
カイルはユーリを同伴する意味をちゃんと説明しているので、何もごまかしてはいないと思うんですよね…むしろ今まどかちゃんがアドリブとして言っている「1年後!?」とかの返しにした方がいいんじゃないかなあ…
●第6場
ナキア「ジュダを皇位に付けるためなら、私はネルガルとも手を結ぼう」
正しくは「就ける」ですよね。あと、私はオタクなのでバビロニア神話のイシュタル、まではマイ事典辞書にありましたが、ネルガルは知らなくて聞き取れなかったしあとでググりました。一般的にはイシュタルですら「???」なようですし、さすがにマイナーなのではないかしら…「悪魔とも手を結ぼう」でいいのでは?
●第7場
ザナンザ「二人で宮殿を逃げ出して町を駆け回って」
「抜け出して」の方がいいと思いました。カイルやザナンザにとって宮廷は逃げ出したいほど嫌な場所ではなかったと思うんですよね。多少の窮屈さは感じていただろうけれど、そこが家なんだしさ。わりと皇子として、未来の王として前向きなんだし、そんなに忌避したい場所扱いしなくてもよくない?
ザナンザ「そんな私をヒンティ様はわけへだてなく育ててくださったのです」
これまた細かくてすみませんが、個人的には「兄上とわけへだてなく」としたいなと思いました。
ユーリ「あなたには自分の生きる意味があるんだね」
トートツすぎます。それ以前にユーリが、自分の生きる意味がわからなくて悩んでいる、というような描写があるならともかく…尺があればユーリの元の世界に戻りたい、平和な世界に戻りたいという訴えと、でもそこではなんとなく漫然と生きていただけだったな…みたいな述懐場面が入れられたのかもしれませんが。
ユーリ「急にそんなこと言われても信じられないよ」
何が信じられないのか判然としなくて私は引っかかります。ふたりが出会ったことに意味がある、ということが信じられないのか? それはユーリがカイルの妃になるための出会いだった、ということが信じられないということなのか? でもその後の流れからすると「カイルが自分を妃として迎えたいと思うほど、自分に愛情を持っていてくれているということが信じられない。まず愛情を告白してほしい」っていうことなんですよね? 一足飛びすぎると思う…ラブコメパートとしては重要なステップなので、雑にやってほしくないところです。
●第8場
ハディ「ユーリ様、ご用意整いました」
「ご用意」ではなく「お支度」の方が作品の世界観に合う気がします。
●第9場
ナキア「勝手にするがよい」
ここのイル・バーニはこの一連の事件がナキアの策略であろうと思ってはいつつも、証拠がないのでとりあえずタワナアンナの専横を防ぐために元老院との協議を持ち出しているんですよね。ナキアにもそれはわかっているはずで、かつ元老院だけで審議するとは言っていないんだから、「それでかまわぬ」とかの方が正しい返しなんじゃないかなあ…
●第11場
ラムセス「残念だがカイル殿の消息はつかめないままだ」
「残念だが、まだだ」で十分だと思いました。ユーリの直近の台詞を繰り返して、ただでさえ長いここのラムセスの台詞を長くすることはありません。
その後の赤い獅子討伐に関してエジプトとヒッタイトが協力し合うのはおかしい、内通だ、とするのは無理がある理屈なんだけれど(敵対する二国が第三の勢力に対しては団結して対処することはよくあることでしょう)、直しようがないので目をつぶりましょう。ただ「赤い獅子を消す」という言い回しはわかりづらいなーと思います。
●第12場
トトメス「肖像の表情も険しくなってしまいます」
肖像、と言われるとどうしても肖像画を想像しませんかね? のちの場面では「胸像」と言っているし、こちらに統一したら? ところでこれは粘土? それとも石を彫っているの? なら彫像の方がいい?
ユーリ「人間は政治の道具じゃない!」
ネフェルティティは政治の道具になる気がないからエジプトの王太后であってもエジプトなんかどうでもいい、捨てるのだと言っているのです。だから返しとしておかしい。続くユーリの台詞は、王家に生まれた者として政治の道具となって祖国を離れこの国に来たときの覚悟を思い出せ、となっているんだからなおさらおかしい。こういう論旨不鮮明な会話が大嫌いなんだよね私たとえば『カンパニー』とか『カンパニー』とか『カンパニー』のことですけど。
●第14場
ウルヒ(少年)「私はあなたに御子も、女性としての幸せもさしあげられません」
この台詞に、子供を産むことだけが女の幸せだと決めつけられたくない、みたいに噛みついているツイートを見たことがあるのですが、この時代のある程度高位の女性なら政略結婚も当然と教えられて育つだろうしそこで跡継ぎを産んでナンボと洗脳されているでしょう。でも一方で好きな人と沿う幸せも見聞きしていたりあこがれていたりするのだろうし、だからナキアはウルヒとの出奔とその先の結婚、子供、家庭という幸せを夢見ていたのだろうし、ここでウルヒにこう言われてショックを受けるのは正しい反応だと思うんですよね。ウルヒは男だから性的に不能なことがイコール人間として無価値であると思い込みがちである、とか、女の幸せなるものを一方的に決めつけすぎである、ということはもちろんあるだろうけれど、ここではそこまで深く描いていない、というのもあるかな。そしてのちにこのふたりは、肉体関係がなくてもそばにい続け共に歩むことを選んだわけですしね。
ちなみに宦官が何かわからないという意見もわりと多くて驚いたなあ…歴史小説とかファンタジーとか読むとわりと知る知識じゃないですかね? ちなみに以前もここで尋ねて回答が得られなかったのですが、人間の男性の去勢ってどうやるんですかね? 馬みたく睾丸を取るだけでペニスは残すの? でも勃起はしなくなるから性交はできないってことなのかなあ?
●第15場
ユーリ「私、元の世界では毎日、平凡だけど楽しく生きていて」
この一連の台詞も超トートツ。ユーリが元の世界でどんなふうに生きていてそれをどう思っていたかなんて観客には初耳です。事前にちゃんとその描写があって、だけどこの世界でカイルがやろうとしていることの意義を認めて、それに何よりカイルのこととを愛しているし、だから帰らない、残る、ってなれば感動的だったのになあ…残念です。
ユーリ「どこまでもお供します。我が王」
ここで跪くのは、原作漫画でユーリがタワナアンナになる前にまず近衛長官になってみせることを踏まえての仕草なんだろうけれど、ノー説明なので今こうして観るとフェミ的にどうよという話は以前しましたが、だんだんまあこういう時代だからな…と流せるように個人的にはなってきました。もちろんハナから引っかからない人の方が多いかと思いますが。でもゆりかちゃんカイルがマッチョ男に見えかねないように描くのはあまり良くないことだと思うんですよねえ…
●第16場
ラムセス「久しぶりだな。ムルシリ二世」
このときカイルはまだ即位しておらず、なのでムルシリ二世ではないはずなのですが…モンチのアルヌワンダ陛下に謝ってくれなーこたん。ところで彼の病没も描かれていないのですが、まさかラストにカイルが兄を追い落として即位したと思っている人はいませんよね…!?
カイル「じゃじゃ馬で面倒をかけたろう」
お転婆娘、の慣用表現としてのじゃじゃ馬、までは容認できます。でも女を馬に男を乗り手に喩えるのは下品だからやめてくれ、女性差別だし宝塚歌劇ではやめてくれ頼む。
●第17場
ユーリ「この世界に呼び寄せてくれたこと、今となっては感謝しています」
なーこたんの主眼がユーリ、ナキア、ネフェルティティの三者三様の生き方を描くことに置かれているのでまず無理だろうと思いますが、そしてこのくだりは原作漫画でも名場面かつクライマックスのひとつでもありますが、それでも私はこれをカイルに言わせるよう変更した方がいいと思いますけれどね。自分を廃そうとずっと策略を仕掛けてきた、ずっと対立してきた義母を最後に許しむしろ礼を言うカイルは、大きな男としてさらに観客の好感を呼んだと思うんですよねー。
カイル「どうか、私の妻になってほしい。ユーリ・イシュタル姫」
「姫」という呼びかけにはときめきますが、やはりここでは再度「愛している」という言葉が欲しかったです。オロンテス河畔で再会したときに言っているけれど(ちなみにあそこも「お前がどこの世界にいようと、私はお前を愛している」という順番ではなくて、「お前を愛している、たとえお前がどこの世界にいようとも」とかの言い方の方が良かったと思っています)改めて、また何度でも言ってもらいたいものですし、その上で他に妻は持たない側室は持たない、ということの言質も取りたいです(笑)。宝塚歌劇的少女漫画的一夫一婦制ロマンチック・ラブ・イデオロギーはデリケートなのです。私はこのプロポーズでは安心できません。
でもおたおたして応えないユーリに対して、ちゃんと自信があっておどけてみせるカイルは素敵ですよね。そういうト書きはないから、本当に不安で心配でおどおどと「返事はもらえないのか?」と尋ねる芝居にすることもできると思うんだけれど、こういうのは役者の演技なのかなあ演出家の指示なのかなあ? こういうところが舞台のわからないところです。漫画は漫画家さん自身が役者かつ演出家みたいなものですからね…(編集者が演出家になって漫画家の演技を修正する、という場合もあります)
●第18場
(ト書き)遠くに亡くなった者、離れている者たちも浮かぶ。
亡くなった者とはシュッピルリウマ王やザナンザ、シュバス、ゾラ、ティトで、離れている者とは氷室教授や詠美たちのことかな。もしかしたら両セリにナキアとネフェルティティがいてセリ下がる…とかのプランもあったのかもしれない、とも思いました。
ところでまどかちゃんが第8場の王宮や最終場の戴冠式で髪型を変えるようにしたのですが(鬘の手配は愛ちゃん、さすが原作ファンのアドバイザーいい仕事します)、残念ながらル・サンクの写真は古いものですね。ネフェルティティも今はもっと指輪をしているから、舞台稽古とかのものなのかも?
作品の構造としては、何度も言うようですがネフェルティティに尺を取るよりマッティワザやザナンザを描くべきだと思うんだけれど、東京公演のお稽古も二日間だけだと聞くから大きな改変はないということなのでしょうね。台湾公演にかかりきりなのかななーこたん…「金色の都リプライズ」場面には立ってるだけでいいから無理矢理参加しちゃってよ愛ちゃん…(ToT)
とはいえ、馬鹿みたいに回数観ていることでもありますし、キャラクターものとしてこれはこれで、と思えてきて、楽しく通ってはいます。
東京では知人をたくさん同伴する予定なので、その反応も楽しみです。
でもまずは明日の大劇場公演前楽から、また遠征してきますね。バレンタイン事件(笑)に関するお茶会雑記というか毎度の澄輝日記も書きたいのでした!(^o~)
●第3場
姫「カイル様、明日こそ、私の純潔を奪ってくださいませね」
続く場面でナキアに対するカイルの台詞を引っ張るためだとしても、やはりこの時代の「純潔」の定義がわからないというかこの作品内での「純潔」の辞書がわからないうちに聞かされるので、私は引っかかるんだよなー…なんかもっと違う言い回しができないかなー…
カイル「やれやれ、積極的な姫様方だ」
そしてそれを「積極的」と表現すると、カイルが対照に「消極的」みたいで、これまた個人的には引っかかります(ホント細かくてすんません)。カイルは消極的だから地位目当てで言い寄ってくる女たちに手を出さないんじゃないじゃん、自分の立場や将来とその妻の座の意味を重く考えているからこそ慎重になっているんでしょ? まあまあチャラいし(笑)モテることに対してはまんざらではないが、こういうタイプの女たちにはうんざりしていて食傷気味なのである…ということを表すもっといい表現がないかなあ、と考えては、います。
カイル「娘ならこのハットゥサに星の数ほどいるが?」
ところで私は原作漫画を読んだときに脳内で普通に「ハットゥサ」という音をそのまま想像していましたが、今回みんなわりと「ハットゥーサ」って発音していますよね…「ゥ」にはそんな要素はないと思うのだけれど…
カイル「そうでしょう、ウルヒ殿」
芝居の台詞としてよくあるんだけれど、「神官ウルヒ殿」としてもよかったかな、と思いました。実際にはそんなふうに言うことはないんだけれど、芝居ではよくあるでしょ? ウルヒの立場というか役職の説明がここではないままなので、上手く入れられたらいいのにな、と思っただけなのですが。
●第4場
カッシュ「殿下も早く側室を娶るべきです。気が滅入りますよ」
言い方のニュアンスもあるでしょうけれど、今は「今のままだとここは女っ気がなくて気が滅入ります」という意味には私には聞こえなくて、いつも混乱します。「側室がいれば気が晴れますよ」という未来への提言として言っているように聞こえるので。
カイル「ほう…なかなか凜々しいな」
これはどういう意味なのかしら…ユーリに女物の服を着てこいと言ったにもかかわらず、この時代の風俗からしたらあまり女性っぽくない裾の短い服で現れたな、という意味? でもこれ誰が選んだ服ってことになってるのかな? ユーリが長い裾を嫌って短いものを選んだのだとしたら、上着の丈の短さもそのときわかりそうなものだし、ここでうだうだ言うのはヘンな気がします。「凜々しい」というのが男っぽいという意味なのか勇ましげだとということなのか、要するに褒め言葉なのかどうなのか、辞書がわからなくて私は引っかかるのでした。
ユーリ「ちょっと、ごまかすな!」
カイルはユーリを同伴する意味をちゃんと説明しているので、何もごまかしてはいないと思うんですよね…むしろ今まどかちゃんがアドリブとして言っている「1年後!?」とかの返しにした方がいいんじゃないかなあ…
●第6場
ナキア「ジュダを皇位に付けるためなら、私はネルガルとも手を結ぼう」
正しくは「就ける」ですよね。あと、私はオタクなのでバビロニア神話のイシュタル、まではマイ事典辞書にありましたが、ネルガルは知らなくて聞き取れなかったしあとでググりました。一般的にはイシュタルですら「???」なようですし、さすがにマイナーなのではないかしら…「悪魔とも手を結ぼう」でいいのでは?
●第7場
ザナンザ「二人で宮殿を逃げ出して町を駆け回って」
「抜け出して」の方がいいと思いました。カイルやザナンザにとって宮廷は逃げ出したいほど嫌な場所ではなかったと思うんですよね。多少の窮屈さは感じていただろうけれど、そこが家なんだしさ。わりと皇子として、未来の王として前向きなんだし、そんなに忌避したい場所扱いしなくてもよくない?
ザナンザ「そんな私をヒンティ様はわけへだてなく育ててくださったのです」
これまた細かくてすみませんが、個人的には「兄上とわけへだてなく」としたいなと思いました。
ユーリ「あなたには自分の生きる意味があるんだね」
トートツすぎます。それ以前にユーリが、自分の生きる意味がわからなくて悩んでいる、というような描写があるならともかく…尺があればユーリの元の世界に戻りたい、平和な世界に戻りたいという訴えと、でもそこではなんとなく漫然と生きていただけだったな…みたいな述懐場面が入れられたのかもしれませんが。
ユーリ「急にそんなこと言われても信じられないよ」
何が信じられないのか判然としなくて私は引っかかります。ふたりが出会ったことに意味がある、ということが信じられないのか? それはユーリがカイルの妃になるための出会いだった、ということが信じられないということなのか? でもその後の流れからすると「カイルが自分を妃として迎えたいと思うほど、自分に愛情を持っていてくれているということが信じられない。まず愛情を告白してほしい」っていうことなんですよね? 一足飛びすぎると思う…ラブコメパートとしては重要なステップなので、雑にやってほしくないところです。
●第8場
ハディ「ユーリ様、ご用意整いました」
「ご用意」ではなく「お支度」の方が作品の世界観に合う気がします。
●第9場
ナキア「勝手にするがよい」
ここのイル・バーニはこの一連の事件がナキアの策略であろうと思ってはいつつも、証拠がないのでとりあえずタワナアンナの専横を防ぐために元老院との協議を持ち出しているんですよね。ナキアにもそれはわかっているはずで、かつ元老院だけで審議するとは言っていないんだから、「それでかまわぬ」とかの方が正しい返しなんじゃないかなあ…
●第11場
ラムセス「残念だがカイル殿の消息はつかめないままだ」
「残念だが、まだだ」で十分だと思いました。ユーリの直近の台詞を繰り返して、ただでさえ長いここのラムセスの台詞を長くすることはありません。
その後の赤い獅子討伐に関してエジプトとヒッタイトが協力し合うのはおかしい、内通だ、とするのは無理がある理屈なんだけれど(敵対する二国が第三の勢力に対しては団結して対処することはよくあることでしょう)、直しようがないので目をつぶりましょう。ただ「赤い獅子を消す」という言い回しはわかりづらいなーと思います。
●第12場
トトメス「肖像の表情も険しくなってしまいます」
肖像、と言われるとどうしても肖像画を想像しませんかね? のちの場面では「胸像」と言っているし、こちらに統一したら? ところでこれは粘土? それとも石を彫っているの? なら彫像の方がいい?
ユーリ「人間は政治の道具じゃない!」
ネフェルティティは政治の道具になる気がないからエジプトの王太后であってもエジプトなんかどうでもいい、捨てるのだと言っているのです。だから返しとしておかしい。続くユーリの台詞は、王家に生まれた者として政治の道具となって祖国を離れこの国に来たときの覚悟を思い出せ、となっているんだからなおさらおかしい。こういう論旨不鮮明な会話が大嫌いなんだよね私たとえば『カンパニー』とか『カンパニー』とか『カンパニー』のことですけど。
●第14場
ウルヒ(少年)「私はあなたに御子も、女性としての幸せもさしあげられません」
この台詞に、子供を産むことだけが女の幸せだと決めつけられたくない、みたいに噛みついているツイートを見たことがあるのですが、この時代のある程度高位の女性なら政略結婚も当然と教えられて育つだろうしそこで跡継ぎを産んでナンボと洗脳されているでしょう。でも一方で好きな人と沿う幸せも見聞きしていたりあこがれていたりするのだろうし、だからナキアはウルヒとの出奔とその先の結婚、子供、家庭という幸せを夢見ていたのだろうし、ここでウルヒにこう言われてショックを受けるのは正しい反応だと思うんですよね。ウルヒは男だから性的に不能なことがイコール人間として無価値であると思い込みがちである、とか、女の幸せなるものを一方的に決めつけすぎである、ということはもちろんあるだろうけれど、ここではそこまで深く描いていない、というのもあるかな。そしてのちにこのふたりは、肉体関係がなくてもそばにい続け共に歩むことを選んだわけですしね。
ちなみに宦官が何かわからないという意見もわりと多くて驚いたなあ…歴史小説とかファンタジーとか読むとわりと知る知識じゃないですかね? ちなみに以前もここで尋ねて回答が得られなかったのですが、人間の男性の去勢ってどうやるんですかね? 馬みたく睾丸を取るだけでペニスは残すの? でも勃起はしなくなるから性交はできないってことなのかなあ?
●第15場
ユーリ「私、元の世界では毎日、平凡だけど楽しく生きていて」
この一連の台詞も超トートツ。ユーリが元の世界でどんなふうに生きていてそれをどう思っていたかなんて観客には初耳です。事前にちゃんとその描写があって、だけどこの世界でカイルがやろうとしていることの意義を認めて、それに何よりカイルのこととを愛しているし、だから帰らない、残る、ってなれば感動的だったのになあ…残念です。
ユーリ「どこまでもお供します。我が王」
ここで跪くのは、原作漫画でユーリがタワナアンナになる前にまず近衛長官になってみせることを踏まえての仕草なんだろうけれど、ノー説明なので今こうして観るとフェミ的にどうよという話は以前しましたが、だんだんまあこういう時代だからな…と流せるように個人的にはなってきました。もちろんハナから引っかからない人の方が多いかと思いますが。でもゆりかちゃんカイルがマッチョ男に見えかねないように描くのはあまり良くないことだと思うんですよねえ…
●第16場
ラムセス「久しぶりだな。ムルシリ二世」
このときカイルはまだ即位しておらず、なのでムルシリ二世ではないはずなのですが…モンチのアルヌワンダ陛下に謝ってくれなーこたん。ところで彼の病没も描かれていないのですが、まさかラストにカイルが兄を追い落として即位したと思っている人はいませんよね…!?
カイル「じゃじゃ馬で面倒をかけたろう」
お転婆娘、の慣用表現としてのじゃじゃ馬、までは容認できます。でも女を馬に男を乗り手に喩えるのは下品だからやめてくれ、女性差別だし宝塚歌劇ではやめてくれ頼む。
●第17場
ユーリ「この世界に呼び寄せてくれたこと、今となっては感謝しています」
なーこたんの主眼がユーリ、ナキア、ネフェルティティの三者三様の生き方を描くことに置かれているのでまず無理だろうと思いますが、そしてこのくだりは原作漫画でも名場面かつクライマックスのひとつでもありますが、それでも私はこれをカイルに言わせるよう変更した方がいいと思いますけれどね。自分を廃そうとずっと策略を仕掛けてきた、ずっと対立してきた義母を最後に許しむしろ礼を言うカイルは、大きな男としてさらに観客の好感を呼んだと思うんですよねー。
カイル「どうか、私の妻になってほしい。ユーリ・イシュタル姫」
「姫」という呼びかけにはときめきますが、やはりここでは再度「愛している」という言葉が欲しかったです。オロンテス河畔で再会したときに言っているけれど(ちなみにあそこも「お前がどこの世界にいようと、私はお前を愛している」という順番ではなくて、「お前を愛している、たとえお前がどこの世界にいようとも」とかの言い方の方が良かったと思っています)改めて、また何度でも言ってもらいたいものですし、その上で他に妻は持たない側室は持たない、ということの言質も取りたいです(笑)。宝塚歌劇的少女漫画的一夫一婦制ロマンチック・ラブ・イデオロギーはデリケートなのです。私はこのプロポーズでは安心できません。
でもおたおたして応えないユーリに対して、ちゃんと自信があっておどけてみせるカイルは素敵ですよね。そういうト書きはないから、本当に不安で心配でおどおどと「返事はもらえないのか?」と尋ねる芝居にすることもできると思うんだけれど、こういうのは役者の演技なのかなあ演出家の指示なのかなあ? こういうところが舞台のわからないところです。漫画は漫画家さん自身が役者かつ演出家みたいなものですからね…(編集者が演出家になって漫画家の演技を修正する、という場合もあります)
●第18場
(ト書き)遠くに亡くなった者、離れている者たちも浮かぶ。
亡くなった者とはシュッピルリウマ王やザナンザ、シュバス、ゾラ、ティトで、離れている者とは氷室教授や詠美たちのことかな。もしかしたら両セリにナキアとネフェルティティがいてセリ下がる…とかのプランもあったのかもしれない、とも思いました。
ところでまどかちゃんが第8場の王宮や最終場の戴冠式で髪型を変えるようにしたのですが(鬘の手配は愛ちゃん、さすが原作ファンのアドバイザーいい仕事します)、残念ながらル・サンクの写真は古いものですね。ネフェルティティも今はもっと指輪をしているから、舞台稽古とかのものなのかも?
作品の構造としては、何度も言うようですがネフェルティティに尺を取るよりマッティワザやザナンザを描くべきだと思うんだけれど、東京公演のお稽古も二日間だけだと聞くから大きな改変はないということなのでしょうね。台湾公演にかかりきりなのかななーこたん…「金色の都リプライズ」場面には立ってるだけでいいから無理矢理参加しちゃってよ愛ちゃん…(ToT)
とはいえ、馬鹿みたいに回数観ていることでもありますし、キャラクターものとしてこれはこれで、と思えてきて、楽しく通ってはいます。
東京では知人をたくさん同伴する予定なので、その反応も楽しみです。
でもまずは明日の大劇場公演前楽から、また遠征してきますね。バレンタイン事件(笑)に関するお茶会雑記というか毎度の澄輝日記も書きたいのでした!(^o~)