駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『ザ・ミュージックマン』

2010年05月10日 | 観劇記/タイトルさ行
 東京芸術劇場、2010年5月4日ソワレ。

 1912年、夏。行く先々で天才的な手口で楽器を売りつけ大金を得ている詐欺師ハロルド(西川貴教)は、アイオワのリバーシティにやってくる。ここでもハロルドは音楽教授と称して、子供の情操教育のためにブラスバンドを市民たちに提案し、あれよあれよと丸め込んでしまう。ただひとりハロルドに心を開かない人物がいた。図書館の館長で街のピアノ教師でもあるマリアン(彩乃かなみ)である…原作/メルディス・ウィルソン、フランクリン・レイシー、脚本・作詞・作曲/メルディス・ウィルソン、演出/鈴木裕美、翻訳/山内あゆ子、上演台本/鈴木哲也。1957年初演のブロードウェイ・ミュージカル。

 いわゆる「オールドタイプのミュージカル」で、ベタなストーリー、盛り上がる数々の楽曲という、楽しい舞台でした。やや長く感じましたけれどねー。
 子役が嫌味なくらい達者で、子供嫌いの私は当初は鼻白んでいたのですが、ウィンスロップ(ダブルキャスト、この日は石川新太)には泣かされました…

 ミホコはオールドミスの物堅いヒロインにぴったり。街の人々が噂好きで本なんか読まなくてシェイクスピアもベートーベンも解さないのにうんざりしていて、白馬の王子様が迎えに来るなんてことはないと知りつつも、もうちょっとだけ教養があって話が合う優しい紳士が現れないものかと夢見ている、とても可愛い女性を好演していました。
 まろやかな歌声も健在で、もっともっと現役時代にこの人を観ておけばよかったよ、と歯噛みする思いでした。
 今スカステでいろいろ観ているけれど、アサコとミホコとユウヒなんて私のための組み合わせみたいなのになあ、一番宝塚歌劇から遠ざかっていたころだったからなあ…
 竹内結子演じるミセス・パルーとの母娘関係もとても微笑ましく、すばらしかったです。

 印象的だったのは、嫌味な市長だったジョージ(佐渡稔)が最後にハロルドを許し、長女の恋を認める役になったこと。悪い人なんていない、という世界観なんですね。
 あ、ハロルドに迷惑をかけられて、その正体を暴くことに躍起になっているチャーリー(今井ゆうぞう)だけは、しんどい役回りだったかもしれませんけれど…

 主人公は…実は意外に印象に残らなかったんですよね。もっとハジけて演じてもらいたかったかな…?
 出ずっぱりでタイヘンだとは思うのですが、その魅力で引っ張るべき座長らしさ、カリスマ性に、欠けて見えたのは残念でした。
 フィナーレのマーチングバンドシーンでは、実はミュージシャンなのにもかかわらず、指揮のみ、でしたしね(^^;)。
 日本はブラスバンド大国でスクールバンドは世界一レベルとのことですが、私も保育園でやりました、鼓笛隊。懐かしかったなー…
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今週の言葉

2010年05月10日 | MY箴言集
円らな目ん玉が
はだかで うるんでいるのが
いま 神さまに
洗っていただいたばかりのようで
その神さまのお顔のほかには
なんにも映していなさそうで


       まどみちお「馬の顔」より
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