Side Steps' Today

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映画「音響ハウス Melody-Go-Round」

2020年12月05日 | CD批評
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(まだご覧になっていない方にはネタバレの危険性あり、ご注意)
ミュージシャン、エンジニア、そして業界人が語る思い出は①贅沢な場所、②空気感という2点に集約。①贅沢な場所、というのは様々な含意があるも、まずは①-1「立地」。冒頭のメンテナンス・エンジニアの通勤風景を見ればそれが銀座であることは分かる。歩く方向と景色から判断するに銀座5~7丁目の昭和通りから首都高の間の地域にあると想像したが、帰宅して調べてみるに銀座1丁目の昭和通りから首都高の間にあって意外(駅は新富町が最寄り)。銀座にあるレコーディングスタジオ、1階は喫茶店となかなか洒落込んでいる。時代の流れに抗えずマンションかオフィスに、という(芸術家からみれば短絡的)発想に陥りがちな場所柄だが、ストリングスを録れる規模のスタジオが都心にあることが贅沢、という具合。「レコーディング中に晴海までドライブをした」と荒井由美が(恐らく)云っていたが、街の雰囲気も気分をアゲるに充分だろう。2つめの含意としては①-2:「実験場」。スタジオは実験場である、と。Side Stepsのレコーディング時にヤマハの方が「スタジオは本当は実験の場」と仰っていたことがあった。映画中では「スタジオで曲作りから」とか1年間もスタジオを仮予約していた坂本龍一のエピソードもあったが、違う意味でタイム・イズ・マネー(コストが直撃する)な我々素人にとってはコストを考えるととてもビビってしまってそんなことはできない。が…「コスト度外視なのが芸術」という妙な感覚もコメントから伝わる。「無駄の多さが文化的であることの証」なのはある程度は真実だが、商業ベースに乗らない芸術が拡散・発展しにくいのも真であり、結果、スタジオ興隆の時期は外部の経済環境がバブル経済に向けて、偶(たま)さか良い時期だったということか。(続)
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