Side Steps' Today

裏版Side Steps' Today

映画「音響ハウス Melody-Go-Round」

2021年01月23日 | CD批評
(4)
(まだご覧になっていない方にはネタバレの危険性あり、ご注意)
その他、印象に残ったコメントをいくつか。インタビューなので脈絡がない構成になっているのは前述の通りだが、デジアナ論争(アナログからデジタルレコーディングへの移行の話)が映画中になぜか出てくる。これはスタジオとは直接的には関係ないが、このスタジオや登場するミュージシャンの全盛が80年代ということが影響している。「アナログのテープ巻き戻しの時間が重要」と云うのは大貫妙子。テイクを重ねる時にこの巻き戻し時間で次のテイクへの心の準備や戦略を練るのだが、デジタルではその時間が少ない、と。現代のPCによるレコーディングなら、非破壊的にループでほぼ無限にテイクを録ることができるので、さらに心の準備や戦略を練る時間はない。その結果、偶(たま)さか録れた良いテイクを採用、という偶然に依存した内容であり、当時の(精神論的だが)「一球入魂」のレコーディングスタイルとは随分違う様相ではある。良し悪しは微妙だが、個人的には(古い人間なので)「一球入魂」が志向だが。また、松任谷正隆は「アナログをデジタルレコーダーに流し込んだ時、重箱に詰まった料理を皿にぶちまけたようにスカスカになった」と述べているが、会話の流れやトーンからアナログ賛美なのかデジタル賛美なのか捉えかねたが、体感的によく理解できる表現方法で、言語における表現能力も流石に卓越。(続)
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