映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

推し活レポート◆2024.June

2024-07-13 | 推し活

◆6月5日 サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン
     CMGプレミアム 小菅 優プロデュース『月に憑かれたピエロ』 @サントリーホール・ブルーローズ(小ホール)

 

 室内楽(というか弦楽アンサンブル)は、あんまし聴かないのだけど、金川さんご出演とあれば、そら聴きに行くわね。しかも、この日は、ヴィオラデビューするという事前ツイートも流れて来て(プログラムに書いてあったんだけど)、楽しみに馳せ参じました。

【プログラム】
 ストラヴィンスキー:クラリネット独奏のための3つの小品 より 第1番
 ストラヴィンスキー:『シェイクスピアの3つの歌』
 ラヴェル:『マダガスカル島民の歌』
 ベルク:室内協奏曲 より 第2楽章「アダージョ」(ヴァイオリン、クラリネット、ピアノ用編曲)
 シェーンベルク:『月に憑かれたピエロ』作品21

 実際、予習として聴くまで、このプログラムのうちこれまで聴いたことがある曲はゼロ! この演奏会のタイトルにもなっている『月に憑かれたピエロ』は割と有名な曲の様で、ネットでも普通に出てくるが、ストラヴィンスキー『シェイクスピアの3つの歌』は出て来ない、、、がーん。

 といって、CDを買ってという時間もないので、前半は演奏会で初めて聴くことに。

 金川さんはその『シェイクスピアの~』のヴィオラで、後半のベルク、シェーンベルクに出演。

 まあ、ヴィオラって大抵埋もれちゃう音色だし、今回金川さんが演奏した曲はどれも歌付で、歌がメインなので金川さんの美音を堪能するという感じではなかった。

 でもでも! 特に『月に憑かれたピエロ』がすご~く面白かったのです。出演者は皆、前半とは違う黒の衣装で統一してご登壇。メゾ・ソプラノのミヒャエラ・ゼリンガーはメイクもちょっとピエロを意識(?)したようで、ささやかながら演出も目に楽しかった。

(画像お借りしました)

 

 何より、ゼリンガーの表現力が素晴らしく、私は普段、ほとんど歌曲は聴かないのだけど、その歌声の力強さと美しさ、そして曲の怪しさを堪能した。

 歌詞の対訳が配られたので、訳を見ながら聴けたのがまた良かった。『月に憑かれたピエロ』は元はアルベール・ジローの詩集がドイツ語訳されて、部分的に書き換えられるなどして出版されたものだそう。それを、シェーンベルクが女優に頼まれてメロドラマ化したのが、この作品。発声が独特だなー、と思って聞いていたら、解説に、語りでも歌でもない発声法を用いているのだと書いてあった。

 で、詞がね、すごい面白いので、ちょこっとだけ、、、

 カサンドロの頭、/わめき散らす奴のぴかぴか頭に/ピエロは偽善者づらして ぐりぐりと刺す/やさしげに――穿頭ドリルを
 穴には 親指で詰めこんでゆく/上等なトルコの煙草を/カサンドロの頭、/わめき散らす奴のぴかぴか頭に
 それからピエロは マハレブ材のパイプを/つるハゲ頭の後ろから捩じ込んで/いかにも悠々 ぷかぷか吹かしてみせる/上等なトルコの煙草を/カサンドロのぴかぴか頭から!

 ……ヘンでしょ。これは、16曲目の「意地悪」というタイトルの歌詞で、もっと陰惨なのやエロチックなのもあるけど、全体にはダークファンタジー。意味など考えずにゼリンガーの時に唸るような、時に囁くような声を聴きながらその世界に没入するのだった、、、。演奏会でこんな感覚を体験したのは初めてかも。

  


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◆6月22日 大阪フィルハーモニー第579回定期演奏会 @フェスティバルホール

 金川さんのチャイコは、昨夏、N響で聴いているのだが、席が近過ぎて、もちろん金川さんの美音はめっちゃ堪能できたのだけど、やはりオケとのバランスがイマイチだなぁ、、、と感じていた。席の位置はなかなか難しい。

 ヴァイオリン協奏曲では、ヴァイオリンという楽器の音量から言ってステージに近い方が良いと言うけど、それはソリストによりけりで、金川さんのように音が遠くまで飛ぶソリストの場合は、むしろ遠めの席の方がバランスが良いように感じる。そもそも、オケだけのシンフォニーとかの場合は、私は2階席の方が良いと思っているし、金川さんも2階席の方が良いだろうと、今回は年明け早々にチケットをゲットしていたのだった。 

【プログラム】
 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
 ストラヴィンスキー/バレエ音楽「火の鳥」(1910年版)

 で、私のこの読みは当たったっぽいのだった。会場はフェスティバルホールで、もちろん初めてだったのだが、かなり大きいホールで驚き。残響も良かった。

 感想を書く前に、この演奏会は、上記画像にあるとおり、デュトワが指揮するはずだった。のだが、直前になって体調不良で降板というお報せがメールで流れて来た。なんと、払い戻しに応じるとまで書いてある。そこまでデュトワって、、、(以下略)と思ったけど、それよりも、金川さんに失礼やろ! と、内心私はちょっとオコでありました。

 デュトワの代役は横山奏氏。初めてお名前を知った。「火の鳥」の1910年版が、よく演奏される版(1947年版かな?)とはかなり違って、本番で振ったことのある指揮者があまりいないのだとか。……というわけで、1910年版を振ったことのある横山氏に白羽の矢が立ったということらしい。

 けど、私のお目当ては、ただただ金川さんのチャイコである。

 ……2階席の後ろまで、その美音が響き渡るのだった。2楽章の美しさよ。弱音、高音の美しさは、世界でも指折りではないかしら。

 とにかく、彼女の演奏は曲に誠実である。毎回、彼女の演奏からは一音一音の意味(レゾンデートル)を感じさせられ、作曲家の意図が見えるよう。こんな演奏家は、そうは居ない。

 どんな曲も丁寧に、でも楽しそうにサラリと弾いて見せる。頑張ってる感がまるでない。それでいて、あの演奏。凄いとしか…言い様がない。曲の終わり頃には、涙が出て来てしまった。

 横山氏の棒が降りた瞬間の割れるような拍手が凄まじかった。ブラボーも止まず。

 アンコールはパガニーニのカプリスで、こちらも超絶技巧。終わった瞬間の客席のどよめき。金川さんも、何度もカーテンコールに応じるが、拍手がなかなか止まず。ちょっと珍しい光景だった。

 正直なところ、もうこの余韻のまま、メインを聴かずに帰りたかった、、、けど、もちろん聴きましたよ。1910年版を。私の知っている「火の鳥」とは大分違って、始めて聴く曲に近い感覚だったかなー。時折、馴染みのある旋律が聴こえてくる、、、みたいな感じ。「展覧会の絵」のラヴェル編曲版じゃない(私が聴いたことあるのはリムスキー=コルサコフ版だけだが)のを聴いたときの感じと近かった。

 それにしても、デュトワ、最近結構日本のあちこちのオケで振っている様子。秋には5年ぶりだか何だかでN響とも久々の共演だとか(行かないけど)。彼がしばらく干された理由はwikiにあるとおりだが、彼が復帰できているのはほぼ日本でだけのようである。実は、金川さんの出演とはいえ、指揮がデュトワなので、正直なところ若干聴きに行くのをためらう気持ちもあった。けど、金川さんが共演を承諾したわけだから、そこは私がとやかくジャッジすることでもないのか、、、と思い直した次第。

 それにしても、日帰り大阪はちょっと、、、いや、めっちゃ疲れた。とはいえ、まあまあ面白かったので、後日、大阪日帰り日記を書きたいと思います。

 

 


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