映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

罪の声(2020年)

2021-09-02 | 【つ】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv67839/

 

以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 平成が終わろうとしている頃、大日新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は既に時効となっている昭和最大の未解決事件を追う特別企画班に選ばれた。事件の真相を追い取材を重ねる中で、犯人グループが脅迫テープに3人の子どもの声を吹き込んだことが阿久津の心に引っかかる。

 一方、京都で亡くなった父から受け継いだテーラーを営み家族3人で幸せに暮らす曽根俊也(星野源)は、ある日父の遺品の中から古いカセットテープを見つける。何となく気に掛かり再生すると、聞こえてきたのは確かに幼い頃の自分の声であるが、それはあの未解決事件で犯人グループが身代金の受け渡しに使用した脅迫テープと全く同じ声でもあった。

 事件の真相を追う阿久津と、脅迫テープに声を使用され知らないうちに事件に関わってしまった俊也ら3人の子供たちの人生が、35年の時を経て、激しく交錯する。

=====ここまで。

 同名小説の映画化。言わずと知れたあのグリコ・森永事件がモデルです。


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 原作は上梓された頃に図書館で借りて読みました。ちょっと買う気にまではならなかったもので、、、(スミマセン)。もう5~6年前なんで詳細は忘れましたが、なかなか面白く読みました。で、その小説が映画化されたというので、これまた劇場まで行く気にはならなかったので(スミマセン・アゲイン)、DVD借りて見ました。2時間超と長めで、思うところはイロイロありましたが、面白かったです。


◆不気味事件

 グリコ・森永事件、、、リアルタイムで知っているのはせいぜい40代以上くらいだろうか。私は高校生だった。当時は連日このニュースが報道されており、正直言って、怖かった。特に怖かったのが、本作のメインテーマである、あの「子どもの声」だった。TVでこの音声が流れたときはゾッとしたのを覚えている。とにかく、事件の異様さと、子どもの無邪気な声との違和感があまりにも強く、不気味以外の何ものでもなかった。

 本作は、その「子どもの声」から事件を紐解いていくという、目の付け所がナイスアイデアである(原作が、なんだけどね)。

 まあ、とにかく登場人物が多い。誰が誰やら、、、という感じになりそうなところを、ちゃんと混乱しないように構成しているシナリオはさすが。でもって、関係者としてチョイ役で出ている方々の顔ぶれが豪華で皆さん芸達者。塩見三省の仕手のドンみたいなオヤジの凄みがインパクト大。雀荘で関係者との麻雀仲間として出て来た正司照枝も、役というより本人そのもののキャラに見える。その他、浅茅陽子、宮下順子、佐藤蛾次郎、火野正平、堀内正美、、、と名脇役がズラリ。彼らの演技は圧巻である。

 そして、ラスボス的に出て来たのが、梶芽衣子と宇崎竜童。梶芽衣子は星野源演ずる俊也の母親役だが、ただの「利用された子どもの母親」であるはずがないよねぇ、梶さんが演じているってことは。宇崎竜童は犯行グループの主要メンバーとして、最後にご登場。彼の若い頃を演じているのが、私の秘かなお気に入り川口覚くんであった。ヘンな髪形だったのがいただけない、、、。

 それはともかく。実際のグリコ・森永事件と、本作でのギンガ・萬堂事件はほぼ経緯は同じに進行していく。原作者の塩田武士氏が、そこは同じにしたと言っているらしいが、背景も当時から言われた説がイロイロと取り入れられている。

 まあ、本作では事件の真相が明らかになっているのだが、現実のグリコ・森永事件については、一連の事件全てが時効成立してしまったのだった。だからこそ、創作意欲を駆り立てられるんだわね。この原作がなかなかの秀作なので、この後、グリコ・森永事件に材をとった小説や映画を作るのは難しいかも。

 

~~以下、本作及び小栗旬くんをお好きな方は自己責任でお願いします。悪意はありませんがちょっと悪口になっていますので。~~


◆新聞記者を買い被りすぎ。

 というわけで、ギンガ・萬堂事件の真相は分かったし、見ていて面白かったのも事実だけど、正直なところ、途中からちょっと白けてしまった。

 なぜか。

 それは、あまりにもスルスルと事件の真相が分かって行っちゃうから。警察がのべ何万人と投じても検挙できなかった事件を、何十年も経ってから、しかも、イチ新聞記者があの程度の取材で核心に辿りつけるほど、現実は甘くないと思うゾ。これは、原作を読んだときにも感じたことだけれど。

 こういう話で決まって狂言回しに使われるのが小栗旬が演じた“新聞記者”。まあ、便利な設定ではある。でも、本作の場合、阿久津の存在抜きで、曽根俊也が一人であのテープの存在を探ることで、ラスボス2人にアッサリ辿りつけちゃうんだよね(俊也が母親に「これ何?」と聞けば良い)。それに、曽根俊也がテープを見つけるのと、阿久津がギン萬事件の特集で取材に動き出すタイミングが偶然同じって、ちょっとね、、、。そんな“たまたま”は現実にはほぼない。俊也が自力で他の2人の子どもたちに辿りつけそうにないから、記者か探偵に協力を仰ぐ、、、とかいう設定にするならまだアリかもだが。

 新聞記者が何でも謎解きできる職業みたいに、特にドラマや映画などの映像系では使われるように思うが、ハッキリ言って新聞記者がここまで鮮やかに事件の核心に迫れることって、あんましないと思うなー。そりゃ、関係者がネタを持ち込めば別だけど。記者にあそこまで親切にベラベラ市井の人たちが喋ってくれるって、、、、いや、犯罪がらみじゃなければそういうこともあるだろうけど、あんなおっかない組織が絡んでいる犯罪だよ? まあ、これは小説&映画だから、そういうのは構わんといえば構わんけど、鮮やか過ぎるよね、ちょっと。

 まあ、そこは百歩譲って良しとしても、私が一番嫌だなと感じたのは、阿久津が宇崎竜童演ずる曽根達雄に説教しているシーン。「あなたは子どもの未来を奪ったんだ」とか何とか、、、。一介の記者がナニサマのつもり? 真相を究明するだけにしておけば良いでしょ。俊也が伯父の達雄に言うならアリだが。映画としても、ああいうラストへの盛り上げ(のつもりだろうが)は浪花節的で安っぽくなるからやめた方が良いと思うな~。まあ、達雄みたいな思想の人間に一発かましてやりたくなる気持ちは分かるけれども、アンタ仕事で来てるんでしょ??と。ああいう記者が書いた記事は情緒的で読む者に余計な情報を与えるからよろしくないね。

 新聞の記事は、たとえ連載や特集であっても、事実を冷静に書けば良いのです。コラムはまあ、別だけど。阿久津の書きそうな記事が想像できてウンザリした。

 
◆その他もろもろ

 小栗旬、、、好きでも嫌いでもないけど、終始、なんか軽いなーーー、と思って見ていた。いかにも軽そうな兄ちゃんが、巨大メディアの名刺一枚差し出すだけであんなにサクサクと真相を暴くってのが、余計に違和感あったのかも。こんな小僧にイギリス来てまで説教される達雄に同情しちゃったよ。彼はルパンとかがお似合いなんでは? ハリウッドから強制送還されたのも分かるわ。来年の大河で、私のこのネガティブなイメージを覆して欲しいものです。

 星野源は、抑制の効いた素晴らしい演技だったと思う。テイラーが似合っていた。自分の幼い頃の声って、テープで聞いて分かるものかね? でも、それを見つけて、ギン萬事件に迫って行く過程の、俊也の切迫した気持ちとかよく出ていたと思う。

 一番印象に残ったのは、やっぱし前述の正司照枝さんかな。ほんの数分の出番だったけど。あと、松重豊は言うに及ばず、さすがの芸達者振り。悪人も善人もすっとぼけたキャラも何でもござれで素晴らしい。

 ちなみに、グリコ・森永事件は、何年か前にNHKが未解決事件シリーズで取り上げていた。ほとんど既知の情報だったけど、やっぱり今見ても、気味の悪い事件だと改めて思った。犯人たちは今どこで何をしているのやら。

 

 

 

 

 

 

 

 

かい人21面相→くら魔天狗、、、かい人21面相の方が気持ち悪い。
 

 

 

 

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